ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい

珂里

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ここに居てもいいですか

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「サイラス!おはよう!」

『…………おはよう、ユーカ。』


今日も朝日が昇って早々に、ベッドの上で正座してサイラスの体をユサユサと揺する。

サイラスは朝も早くから叩き起こされてボーッとしながら私に挨拶をしてくれている。



イケメンさん…………サイラスに助けられてから一週間経っても、私はサイラスの家に居た。

あれから何とか自己紹介することに成功してイケメンさんの名前をゲットしたのだ。

それでもやっぱりお互いに言葉が通じないから意思疎通が全然できないんだけど、サイラスは私を無理矢理追い出すなんてことはせずに、今もずっと家においてくれている。


サイラスはこの家に一人で住んでいた。

こんな森の奥に、なんで一人で住んでいるのかな……とか、一人で住んでいて寂しくないのかな……とか、家族はいないのかな……とか、気になることは色々あったけど。

言葉が通じないから質問なんて出来ないし。


サイラスも、きっと、なんで私が森に一人でいたのかとか、なんで自分の家に帰りたがらないのかとか、思っていると思う。

でも、サイラスは何も言わない。

言葉が通じないから半分諦めてるっていうのもあると思うけど、何も言わず、何も聞かずに私を家においてくれている。


一緒にいて分かったことは、サイラスは普段からあまり口数が多い方では無いということ。

そして感情表現が苦手らしく、表情があまり変わらない…………っていうか、いつもほぼ無表情だ。

だから、目覚めて初めてサイラスに会った時の、あのサイラスの微笑んだ顔は凄くレアだったんじゃないかな。



サイラスは、早朝に無理矢理叩き起こされたのに嫌な顔もせずに黙々と朝食の準備を始めている。

私はサイラスの側にくっついて、サイラスが卵を焼くのを見ていたり、お皿やフォークをテーブルに並べたりいそいそと動き回った。

準備が出来たら2人で手を合わせて

「「いただきます」」

と、食べ始める。これが、最近のパターンになっていた。


初めてサイラスにご飯を作ってもらった時に、私の為にご飯を作ってくれたって事が嬉しくて……私は感謝の気持ちを込め、サイラスに「いただきます」と、手を合わせてペコリと頭を下げた。


サイラスはそれを見てキョトンとしていたけど、次のご飯の時には私を真似て「いただきます」と一緒に言って手を合わせるようになった。

よく分からないけど、サイラスが気に入ってくれたみたいで嬉しい。


誰かがいつも一緒にいて、一緒にご飯を食べて、一緒に寝て。

そんな風に誰かがずっと私と一緒にいてくれるなんて初めてで。

サイラスといると、''嬉しい''がいっぱいで、ずっと側にいたくて、サイラスが動くと私もその後を付いて歩く。

サイラスはずっと私が後ろを付いて回っても、嫌そうな素振りは見せずにそれを許してくれている。

たまにジッと私を見下ろすから、迷惑なのかなとサイラスを見上げて様子を伺うんだけど、頭を撫でてくれるから多分大丈夫なんだと思う。

嬉しくて、サイラスを見上げたままニッコリ笑顔になると、サイラスも笑顔……とまではいかないまでも、目を細めて答えてくれてるから、嫌われてはいない筈。…………多分ね。


これから、もっともっとお手伝いもするし、何でも一人で出来るように頑張るから。


だから…………ここに居てもいいですか?




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