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シックザール学園 第三章
ほうきに乗って飛んでみよう
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「ゴホッ……ゴホッ……!!」
「スピカ、遅くなってすまなかった! もう大丈夫だ!」
「サイモン! スピカ!」
「ミランダ? ミランダァ!!!!」
「サイモン、私はここよ!!」
「すぐに行く!!」
「チッ……お前、あの夜もいたな?」
息を整えるのに必死で、お父様の言葉には答えられなかったが、大丈夫という意味を込めて、私は何度も頷く。
ゴードンの方を見ると、片腕を抑えてお父様を睨んでいる。
悪魔のような形相だ、きっと、お父様に斬りつけられでもしたのだろう。
はっきり言って、ざまあみろだ!!
みんなはそれぞれゴードンに向き合うように剣を向けるが、部屋の様子に気が付くとあからさまに顔を引くつかせる。
これが心の病気か……と言ってるのが隣から聞こえた、ニック、思っても今は言っちゃダメだよ?
「私の家族が随分と世話になったな!!」
「サイモン、冷静にだぞ? セドリックも気を付けろよ?」
「親父の心配なんていらねえよ!」
「やっと、伝説の大魔王のお出ましか」
「一瞬で終わらしてやる!!」
「スピカ、ベロニカとここにいろ」
お父様が走り出すと、あっという間に玉座の間は大乱戦となった。
ゴードンは闇魔法で黒い影のような獣を操り、飛び回って攻撃をしてくる。
お父様はお母様に近づこうとする度にヴァプラが炎で邪魔をする。
明らかに私達の方が劣勢だった。
「スピカ、口を開けろ」
未だに息が苦しい私は、ベロニカ言われた通りに上を向いて口を開ける。
ベロニカが手を一回振ると、そこから何と水が溢れてきた。
重力で強制的に私の口に入ったその水を私は飲み込んでいく。
「楽になったか?」
「大分ね……ありがとう、ベロニカ」
「気にするな……スピカ? お前はまだ戦えるか?」
「当たり前よ!」
「……そうだろうな」
「けど、まともにやり合っても勝ち目は絶望的よね……何か考えないと……」
「スピカ、この戦いに勝つためならお前はどうにでもなる覚悟があるか?」
「どういうこと?」
***
「あの影なんなんだ!? 速すぎる!」
「間合いを詰められねえな……」
「あのドラゴンも何とかしないと……」
「サイモン! 無闇に突っ込むな!」
「けど、そこにミランダがいるんだ!」
「冷静になれ! それで、お前が丸焼きになったら元も子もないだろ!!」
「しかし、オリオン殿下……!!」
戦いが極めて劣勢なのは、依然として変わらなかった。
そもそも、地上でしか戦えない私達と自由自在に宙を舞う相手とでは、誰が考えても勝ち目はなかった。
そう、地上でしか戦えないなら……
「お前……僕の強さに恐れをなして気でも狂ったのか?」
「手遅れなのは、あんたでしょ?」
私はゴードンの前に、剣を抜かずに真っ直ぐと向き合った。
「その生意気な口だ……お前が一番腹が立つんだよ!! お前の目は、僕からパメラを奪ったあの男と一緒だ!!」
「奪った? あんたが勝手に恋して、付きまとって、振られただけじゃないの」
「……ぼ、僕に向かって……二度とその口を開くなあああ!!!!」
私の言葉に逆上したのか、ゴードンは背に宿る黒い影を私に放った。
みんなが避けろ、逃げろと私の名前を叫ぶけれど、私は絶対に動かない。
私の視界はあっという間に闇の中。
何も見えないし、何も聞こえないその空間はとても孤独だった。
こんなとこにいるのは御免だ。
「――我が手中に、炎の力を与えよ」
私が呪文を唱えると、両の手の平から炎が吹き上がり、闇を消し去った。
「は……!? お、お前、魔女なのか!?」
「普通の人間だけど?」
「そんなわけあるか!! 嘘を言うな!!」
「――稲妻の精霊よ、我が目の前の男に雷を解き放て」
私が右手をゴードンに向けると、目を開くのも幅かれる幾多の光が放たれ、次の瞬間には雷音がゴードンを打った。
「まあ、何にせよ、あんたなんかには教える義理ないって話?」
「スピカ、遅くなってすまなかった! もう大丈夫だ!」
「サイモン! スピカ!」
「ミランダ? ミランダァ!!!!」
「サイモン、私はここよ!!」
「すぐに行く!!」
「チッ……お前、あの夜もいたな?」
息を整えるのに必死で、お父様の言葉には答えられなかったが、大丈夫という意味を込めて、私は何度も頷く。
ゴードンの方を見ると、片腕を抑えてお父様を睨んでいる。
悪魔のような形相だ、きっと、お父様に斬りつけられでもしたのだろう。
はっきり言って、ざまあみろだ!!
みんなはそれぞれゴードンに向き合うように剣を向けるが、部屋の様子に気が付くとあからさまに顔を引くつかせる。
これが心の病気か……と言ってるのが隣から聞こえた、ニック、思っても今は言っちゃダメだよ?
「私の家族が随分と世話になったな!!」
「サイモン、冷静にだぞ? セドリックも気を付けろよ?」
「親父の心配なんていらねえよ!」
「やっと、伝説の大魔王のお出ましか」
「一瞬で終わらしてやる!!」
「スピカ、ベロニカとここにいろ」
お父様が走り出すと、あっという間に玉座の間は大乱戦となった。
ゴードンは闇魔法で黒い影のような獣を操り、飛び回って攻撃をしてくる。
お父様はお母様に近づこうとする度にヴァプラが炎で邪魔をする。
明らかに私達の方が劣勢だった。
「スピカ、口を開けろ」
未だに息が苦しい私は、ベロニカ言われた通りに上を向いて口を開ける。
ベロニカが手を一回振ると、そこから何と水が溢れてきた。
重力で強制的に私の口に入ったその水を私は飲み込んでいく。
「楽になったか?」
「大分ね……ありがとう、ベロニカ」
「気にするな……スピカ? お前はまだ戦えるか?」
「当たり前よ!」
「……そうだろうな」
「けど、まともにやり合っても勝ち目は絶望的よね……何か考えないと……」
「スピカ、この戦いに勝つためならお前はどうにでもなる覚悟があるか?」
「どういうこと?」
***
「あの影なんなんだ!? 速すぎる!」
「間合いを詰められねえな……」
「あのドラゴンも何とかしないと……」
「サイモン! 無闇に突っ込むな!」
「けど、そこにミランダがいるんだ!」
「冷静になれ! それで、お前が丸焼きになったら元も子もないだろ!!」
「しかし、オリオン殿下……!!」
戦いが極めて劣勢なのは、依然として変わらなかった。
そもそも、地上でしか戦えない私達と自由自在に宙を舞う相手とでは、誰が考えても勝ち目はなかった。
そう、地上でしか戦えないなら……
「お前……僕の強さに恐れをなして気でも狂ったのか?」
「手遅れなのは、あんたでしょ?」
私はゴードンの前に、剣を抜かずに真っ直ぐと向き合った。
「その生意気な口だ……お前が一番腹が立つんだよ!! お前の目は、僕からパメラを奪ったあの男と一緒だ!!」
「奪った? あんたが勝手に恋して、付きまとって、振られただけじゃないの」
「……ぼ、僕に向かって……二度とその口を開くなあああ!!!!」
私の言葉に逆上したのか、ゴードンは背に宿る黒い影を私に放った。
みんなが避けろ、逃げろと私の名前を叫ぶけれど、私は絶対に動かない。
私の視界はあっという間に闇の中。
何も見えないし、何も聞こえないその空間はとても孤独だった。
こんなとこにいるのは御免だ。
「――我が手中に、炎の力を与えよ」
私が呪文を唱えると、両の手の平から炎が吹き上がり、闇を消し去った。
「は……!? お、お前、魔女なのか!?」
「普通の人間だけど?」
「そんなわけあるか!! 嘘を言うな!!」
「――稲妻の精霊よ、我が目の前の男に雷を解き放て」
私が右手をゴードンに向けると、目を開くのも幅かれる幾多の光が放たれ、次の瞬間には雷音がゴードンを打った。
「まあ、何にせよ、あんたなんかには教える義理ないって話?」
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