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キングダム・レボリューション 開幕(シックザール学園 第四章)

それはいつかの仕返しみたいに

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「サンダーソン様、何の真似ですか?」
「いつかの君への仕返しだよ」
「申し訳ございませんが、生憎、さっぱり記憶にないもので」
「うん、知っているよ?」
「帰ってもよろしいでしょうか」
「まあまあ、そこに座って」


 ものすごく嫌そうな顔をスピカは僕に向けた。
 僕はスピカがしたようにもう不要になってる飼育棟の最上階に、手紙でスピカを呼び出した。
 アダムからの話では、最後までここには来ないつもりだったらしい。
 けれど、呼び出したのが四大貴族の僕だと分かると、不敬罪になることを恐れて渋々来る気になったらしい。


「……何のご用でしょうか」
「警戒しないで? 話がしたいんだ」
「手短にお願い出来ますか?」


 権力を盾にするようなことをしても以前の君なら、真っ向から反抗するよね。
 ごめんね、こんなことをして……
 けど、最初はお互いに恐がって避けるような関係だったよね?
 そして、自分の欲望のままに動いた僕に君は真っ直ぐに向かってきた。


「卒業したら、少し王国を離れるんだ」
「また留学されると聞きました」
「知っててくれたんだ?」
「最近の学内は、どこもその話題で持ちきりですから」
「そ、そっか……」
「何を学ばれるのです?」
「……僕、王国専属の心理カウンセラーになろうと思うんだ」


 僕にとってスピカは、エレノアとは違った愛しさを僕に与えてくれた。
 例えるならそれは妹のようで、甘やかして守りたいし、愛でたくなるのだ。
 友人達からは何とも気の毒な扱いを受けることが多いスピカは、決まって僕のとこに慰めを求めにやって来る。
 スピカ曰く僕は避難場所なんだそう。
 まあ、友人達からの圧は凄まじいけどそれを譲る気はなかった。
 けど、スピカは記憶を失うと僕を頼ることはなく、一人を好むようになった。


「私が言ったんですか?」
「そんなとこかな」
「人様の未来に口を出すなんて……」


 この世でスピカほど孤独という言葉が似合わない人もいないだろう。
 一瞬でもその笑顔を奪ってしまったことは、この先後悔してもし切れない。
 大切なものを奪われることがどんなに辛くて苦しいか、今は痛いほど分かる。

 きっと、僕はスピカ・アルドレードに出会ってなかったら、今頃何か取り返しのつかない罪を犯していただろう。
 本当に大切なものを見失って、闇の底まで堕ちて行き、今の幸せを知ることは絶対になかっただろう。
 誰からも必要とされなかった僕のことを必要だと言ってくれた。
 君の大切なものを壊そうとした僕を君は許し、その中に入れてくれた。
 光をあてられたようだったんだよ?


「君のおかげだよ? 君が僕に明るい未来と希望を導いてくれたんだ」


 これから先も、ずっと君の描く未来を見たいと思ってしまうんだ。
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