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第二章 未知の世界への移住
総員無傷で生還しました
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「それで、外はどうだったの!?」
ソニアのワクワクして仕方ないという素直な声がコックピットに響いた。
俺達は、どうにか全員が無傷でナサニエルに帰って来ることができた。
そして、休む間もなく今回のことを知っているアーデルやチーム・ロジャーとの今後の話し合いが始まった。
「教科書や、古い映画で見たような人工物じゃない自然が広がってたよ」
「あと、大発見! 僕達が今いる位置は日本だった場所ってことがわかった!」
「ナサニエルの周りは森で、しばらく行くと荒廃した大都市だ!」
地上の調査報告は包み隠さず、ほぼほぼ俺、サトル、ハロルドが話した。
「ライオンという猛獣が、群れで何頭も目の前に現れてだな? しかし、そこで慌てふためいてはアーデルの実習班長の名に恥じる! 私は冷静な判断で、全員を木の上に誘導し……」
というか、後半部分はハロルドの独壇場だったと思う。
そしてなぜか、ライオンの話になるとハロルドは得意げに壮大なフィクションを語り始めた。
まあ、ほとんどの人間がハロルドの大活躍したという話は受け流し、ライオンの話題だけを上手いこと聞き分けていたようだけど……
あのクレアでさえも苦笑いだ。
一方で、望とアランが無口なのは通常運転だったが、ゾーイが大人しいことを俺は不審に思っていた。
あの拒絶は本当に一瞬だったけど、史学科に入ったことをそんなに触れられたくない理由とは何なのだろうか……
「それなら、当面は食料や飲み水に問題はなさそうね。よかった……」
「まあ、少し……いや、かなり遠いってことが課題だけど……」
「何人かでチームを作って、三日に一度ほどのペースで食料と飲み水を調達しに行きましょう」
報告が終わり、その場のクレアに安堵の表情が浮かんだ。
それにサトルが苦笑いで返すと、モーリスがその場で的確な提案を出す。
誰もがその案でいこうという空気を出して、解散かとなった時……
「それ、本気で言ってるの?」
やっぱり、大人しいままでいるなんてゾーイじゃないよな……
「話はまとまったではありませんか」
自分の提案を否定されたことがカンに触ったのか、モーリスは絶対零度の目でゾーイに噛み付いた。
「あのね? 三日に一度、行きはまだマシだけど、帰り道を想像した? 全員分の食料と飲み水を担いで、あの遠い距離をまた戻る。それって果てしなく時間の無駄だと思わない?」
「そ、それは何か対策を……」
「それに、いつまで続けられると思う? そのうち誰かの不満が爆発して、あっという間に今より悲惨な状況になると思うけど?」
「それでは、どうしろと……!!」
「エリートでしょ? それぐらいのことわからないの?」
こんなに感情的になっているモーリスは初めて見た。
けど、その対象になっているゾーイは悪気もなく、また挑発するようなことを言う。
二人の温度差はひどいものだった。
「ナサニエルを捨てて、地上に移り住むって言いたいのか」
「あら、一番の悪人面の君が真っ先に答えを出すとは、予想外だった」
「ぞ、ゾーイ……? 今は顔のことは関係ないだろ……な、なあ?」
そんなモーリスとゾーイの気まずい空気に割って入ったのは、アランだ。
けど、またまたゾーイは余計な一言を言ってアランに睨まれる。
堪らずに、シンが止めに入っていく。
一連の流れに、全員が顔の引きつりと冷や汗が止まらなくて困っている。
「……どうすることが効率的かぐらいのこと、バカでもわかるだろ」
「まさかの伏兵か。これは驚きね?」
「あ? 別にお前なんかの味方をしたわけじゃない。勘違いするな」
「そこは心配無用ですわよ、兄さん」
俺達の方が驚いた、意外なことに今回の二人の議論は平和的解決の方向に向かっているようだ。
けど、そんな二人のやり取りにあからさまに面白くなさそうな人間が一人。
「お前らの脳みそは、花畑か何かか?」
「……何だと?」
突っかかったのは望だった。
ソニアのワクワクして仕方ないという素直な声がコックピットに響いた。
俺達は、どうにか全員が無傷でナサニエルに帰って来ることができた。
そして、休む間もなく今回のことを知っているアーデルやチーム・ロジャーとの今後の話し合いが始まった。
「教科書や、古い映画で見たような人工物じゃない自然が広がってたよ」
「あと、大発見! 僕達が今いる位置は日本だった場所ってことがわかった!」
「ナサニエルの周りは森で、しばらく行くと荒廃した大都市だ!」
地上の調査報告は包み隠さず、ほぼほぼ俺、サトル、ハロルドが話した。
「ライオンという猛獣が、群れで何頭も目の前に現れてだな? しかし、そこで慌てふためいてはアーデルの実習班長の名に恥じる! 私は冷静な判断で、全員を木の上に誘導し……」
というか、後半部分はハロルドの独壇場だったと思う。
そしてなぜか、ライオンの話になるとハロルドは得意げに壮大なフィクションを語り始めた。
まあ、ほとんどの人間がハロルドの大活躍したという話は受け流し、ライオンの話題だけを上手いこと聞き分けていたようだけど……
あのクレアでさえも苦笑いだ。
一方で、望とアランが無口なのは通常運転だったが、ゾーイが大人しいことを俺は不審に思っていた。
あの拒絶は本当に一瞬だったけど、史学科に入ったことをそんなに触れられたくない理由とは何なのだろうか……
「それなら、当面は食料や飲み水に問題はなさそうね。よかった……」
「まあ、少し……いや、かなり遠いってことが課題だけど……」
「何人かでチームを作って、三日に一度ほどのペースで食料と飲み水を調達しに行きましょう」
報告が終わり、その場のクレアに安堵の表情が浮かんだ。
それにサトルが苦笑いで返すと、モーリスがその場で的確な提案を出す。
誰もがその案でいこうという空気を出して、解散かとなった時……
「それ、本気で言ってるの?」
やっぱり、大人しいままでいるなんてゾーイじゃないよな……
「話はまとまったではありませんか」
自分の提案を否定されたことがカンに触ったのか、モーリスは絶対零度の目でゾーイに噛み付いた。
「あのね? 三日に一度、行きはまだマシだけど、帰り道を想像した? 全員分の食料と飲み水を担いで、あの遠い距離をまた戻る。それって果てしなく時間の無駄だと思わない?」
「そ、それは何か対策を……」
「それに、いつまで続けられると思う? そのうち誰かの不満が爆発して、あっという間に今より悲惨な状況になると思うけど?」
「それでは、どうしろと……!!」
「エリートでしょ? それぐらいのことわからないの?」
こんなに感情的になっているモーリスは初めて見た。
けど、その対象になっているゾーイは悪気もなく、また挑発するようなことを言う。
二人の温度差はひどいものだった。
「ナサニエルを捨てて、地上に移り住むって言いたいのか」
「あら、一番の悪人面の君が真っ先に答えを出すとは、予想外だった」
「ぞ、ゾーイ……? 今は顔のことは関係ないだろ……な、なあ?」
そんなモーリスとゾーイの気まずい空気に割って入ったのは、アランだ。
けど、またまたゾーイは余計な一言を言ってアランに睨まれる。
堪らずに、シンが止めに入っていく。
一連の流れに、全員が顔の引きつりと冷や汗が止まらなくて困っている。
「……どうすることが効率的かぐらいのこと、バカでもわかるだろ」
「まさかの伏兵か。これは驚きね?」
「あ? 別にお前なんかの味方をしたわけじゃない。勘違いするな」
「そこは心配無用ですわよ、兄さん」
俺達の方が驚いた、意外なことに今回の二人の議論は平和的解決の方向に向かっているようだ。
けど、そんな二人のやり取りにあからさまに面白くなさそうな人間が一人。
「お前らの脳みそは、花畑か何かか?」
「……何だと?」
突っかかったのは望だった。
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