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第三章-⑷ アランとシンとレオとモカ
雲をつかむような話
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「まあまあ、とにかく、気にせずついて来る!」
「ゾーイ!? あー、もう!」
あいかわらず、ゾーイは俺の話を聞く気もなく、俺を置いて歩き出す。
「あ、二人ともこんなとこにいた!」
「どこ行ってたんだよ?」
「今は、お前らを捜してる暇はねえんだぞ? 余計な手間かけんなよな」
そんな俺達の前に現れたのは、怪しむような顔の真由とシン、そして呆れたように呟く望だった。
「ごめん、それがさ……」
「みんな~!」
俺が事情を話そうとしていた時に、遠くから聞こえた馴染みの声。
その方向に振り向くと、俺達の方に走ってやって来るレオとモカがいた。
「レオ! モカ! どうしたの? アランの捜索に行ってたんじゃ……」
俺達の目の前にやって来たレオとモカに、真由は驚いたように尋ねる。
「いや、それが……みんなのことを良く思わない奴らから、人間達を見張れって話になっちゃって……」
「それで、コタロウは団長で抜けることは難しいから、私とレオが見張り番を担当するって半場強引に……」
体力のある二人には珍しく、肩で息をしながら、俺達に申し訳なさそうに説明をする。
とっさに、俺、望、真由、シンは顔を見合せる。
見張るって……前々から、俺達ことを目の敵にする連中と、俺達を受け入れてくれてる側のとでは約半数ずつぐらいの割合だった。
それが、今は完全に俺達のことを目の敵にしてる連中の割合が増えてきているということなのだろう……
早急に対策をしなきゃいけないな……
「抜け出して来て、そのまま全力疾走をして来たわけね? ご苦労であった!」
けど、そんな深刻な状況なのにゾーイは本当に通常通りというか……
「あ、ありがとう、ゾーイ……」
「ところで、みんな揃ってどこかに行くところなの?」
苦笑いでお礼を言うレオに続き、気を取り直したようにな感じでモカが不思議そうに尋ねてきた。
「あ、実はこれから……」
「ていうか、タイミング最高! 全員で手伝ってよ!」
「は? 何がだよ?」
二人に説明をしようとした真由の言葉を遮って、ゾーイはとてもいい笑顔で俺達を見回す。
すると、シンを始めとして、その場の全員が訝しげな表情を浮かべた。
多分、俺達の心は一つだったと思う。
今度は一体、目の前の少女はどんなことをしでかすつもりなのかと……
***
「さてさて、お邪魔しまーす!」
「いや、待て待て待て!? これ立派な不法侵入だぞ!?」
そんなシンの大慌てのド正論など、ゾーイが聞いているわけもなく……
堂々と、君は家の中へ入って行く。
俺達が連れてこられたのは、何と昨日アランが重症を負わせた、六人のうちの一人の家だった。
レオとモカに家を聞いてやって来たと思ったら、無言で針金を取り出し……
ゾーイは、俺達の目の前で堂々とピッキングを始めて鍵を開けたのだった。
目の前の状況に言いたいことは山ほどあるけど……何で、できるの!?
見間違いじゃなかったら、めっちゃ手際よかったけど!?
とにかく、シン以外には誰も言葉を発せず、そんな俺達にゾーイは……
「え? 知ってるけど? ちなみに、黙って見てた、あんたら全員同罪よ?」
「そんな理不尽なことあるか!?」
「止めればよかったのよ。そしたら、同罪にはならなかったんだから」
「不可抗力の極みだああああああ!!」
まさかの俺達は共犯者なようだ、問答無用で。
シンは床に膝をついて、頭を抱えて天高く見上げながら叫んでいた。
他のみんなは諦めモード……いつも通りに、どうにでもなれ状態だ。
「まあ、そんなわけで、もし捕まるって時は一緒だから、よろしくね?」
こうなったら、もう俺達の意思なんてあってないようなもの。
仕方なく、俺達は家の中に入る。
犬族と猫族は全員がアランの捜索に駆り出されているから、誰もいないとわかってはいるけど……
どうにも、ゾーイ以外の全員がキョロキョロと挙動不審になってしまう。
そりゃそうだ、こんな忍び込むような真似落ち着かないよ……
「とにかく探して!」
「あ、そういえば、何を探すの?」
ゾーイの言葉に、思い出したように質問するレオ。
けど、それに返ってきた答えは……
「この家にあったら明らかに違和感を抱くもの! 何でもいいわ、探して!」
全員が愕然としたなんてことは、言うまでもないだろう。
ゾーイの迫力に負けた俺達は罪悪感に苛まれながらも、雲をつかむような話だと思いながら、その何かを探した。
「ゾーイ!? あー、もう!」
あいかわらず、ゾーイは俺の話を聞く気もなく、俺を置いて歩き出す。
「あ、二人ともこんなとこにいた!」
「どこ行ってたんだよ?」
「今は、お前らを捜してる暇はねえんだぞ? 余計な手間かけんなよな」
そんな俺達の前に現れたのは、怪しむような顔の真由とシン、そして呆れたように呟く望だった。
「ごめん、それがさ……」
「みんな~!」
俺が事情を話そうとしていた時に、遠くから聞こえた馴染みの声。
その方向に振り向くと、俺達の方に走ってやって来るレオとモカがいた。
「レオ! モカ! どうしたの? アランの捜索に行ってたんじゃ……」
俺達の目の前にやって来たレオとモカに、真由は驚いたように尋ねる。
「いや、それが……みんなのことを良く思わない奴らから、人間達を見張れって話になっちゃって……」
「それで、コタロウは団長で抜けることは難しいから、私とレオが見張り番を担当するって半場強引に……」
体力のある二人には珍しく、肩で息をしながら、俺達に申し訳なさそうに説明をする。
とっさに、俺、望、真由、シンは顔を見合せる。
見張るって……前々から、俺達ことを目の敵にする連中と、俺達を受け入れてくれてる側のとでは約半数ずつぐらいの割合だった。
それが、今は完全に俺達のことを目の敵にしてる連中の割合が増えてきているということなのだろう……
早急に対策をしなきゃいけないな……
「抜け出して来て、そのまま全力疾走をして来たわけね? ご苦労であった!」
けど、そんな深刻な状況なのにゾーイは本当に通常通りというか……
「あ、ありがとう、ゾーイ……」
「ところで、みんな揃ってどこかに行くところなの?」
苦笑いでお礼を言うレオに続き、気を取り直したようにな感じでモカが不思議そうに尋ねてきた。
「あ、実はこれから……」
「ていうか、タイミング最高! 全員で手伝ってよ!」
「は? 何がだよ?」
二人に説明をしようとした真由の言葉を遮って、ゾーイはとてもいい笑顔で俺達を見回す。
すると、シンを始めとして、その場の全員が訝しげな表情を浮かべた。
多分、俺達の心は一つだったと思う。
今度は一体、目の前の少女はどんなことをしでかすつもりなのかと……
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「さてさて、お邪魔しまーす!」
「いや、待て待て待て!? これ立派な不法侵入だぞ!?」
そんなシンの大慌てのド正論など、ゾーイが聞いているわけもなく……
堂々と、君は家の中へ入って行く。
俺達が連れてこられたのは、何と昨日アランが重症を負わせた、六人のうちの一人の家だった。
レオとモカに家を聞いてやって来たと思ったら、無言で針金を取り出し……
ゾーイは、俺達の目の前で堂々とピッキングを始めて鍵を開けたのだった。
目の前の状況に言いたいことは山ほどあるけど……何で、できるの!?
見間違いじゃなかったら、めっちゃ手際よかったけど!?
とにかく、シン以外には誰も言葉を発せず、そんな俺達にゾーイは……
「え? 知ってるけど? ちなみに、黙って見てた、あんたら全員同罪よ?」
「そんな理不尽なことあるか!?」
「止めればよかったのよ。そしたら、同罪にはならなかったんだから」
「不可抗力の極みだああああああ!!」
まさかの俺達は共犯者なようだ、問答無用で。
シンは床に膝をついて、頭を抱えて天高く見上げながら叫んでいた。
他のみんなは諦めモード……いつも通りに、どうにでもなれ状態だ。
「まあ、そんなわけで、もし捕まるって時は一緒だから、よろしくね?」
こうなったら、もう俺達の意思なんてあってないようなもの。
仕方なく、俺達は家の中に入る。
犬族と猫族は全員がアランの捜索に駆り出されているから、誰もいないとわかってはいるけど……
どうにも、ゾーイ以外の全員がキョロキョロと挙動不審になってしまう。
そりゃそうだ、こんな忍び込むような真似落ち着かないよ……
「とにかく探して!」
「あ、そういえば、何を探すの?」
ゾーイの言葉に、思い出したように質問するレオ。
けど、それに返ってきた答えは……
「この家にあったら明らかに違和感を抱くもの! 何でもいいわ、探して!」
全員が愕然としたなんてことは、言うまでもないだろう。
ゾーイの迫力に負けた俺達は罪悪感に苛まれながらも、雲をつかむような話だと思いながら、その何かを探した。
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