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第三章-⑷ アランとシンとレオとモカ
当たり前こそ不安になる
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ゾーイは、レオ、コタロウ、モカよりさらに一歩前に進み出る。
そして、犬族と猫族全体にいつも通りの軽い口調で、そう告げたのだ。
「急に、昔からの固定観念捨てるなんて無理でしょ?」
「あ、いや、ゾーイ! そこは、僕達が責任をもって……」
「じゃあ、あんたら、毛の模様を変えろって言われたら、すぐ変えられる?」
「え? け……毛の模様?」
さらに話を続けてくゾーイに、レオは慌てて割って入る。
けど、話を遮られたばかりか、レオはゾーイからの、突然の質問に驚いて声が裏返っていた。
「毛の模様なんて、そんなの変えるの無理だろ」
「そうでしょ? 固定観念ってそういうものよ。あたしが、性格を変えることが無理なのと同じくらいに、難しくって大変なのよ」
「いや、お前は少し性格を改めた方が将来のためだと思うぞ……」
そんなレオをフォローするように、コタロウが代わりに質問に答える。
それを受けて、ゾーイはどれだけ固定観念を捨てるということが難しいのかの説明をするが、コタロウの冷静な指摘がそこで入ることになった。
本当にね、コタロウもっと言ってよ。
「まあ、それは検討した上で破棄するとしまして?」
「破棄すんなよ……」
「けど、検討はするのね……」
そんなコタロウの指摘に対し、ゾーイにしては珍しく反応をする。
まあ、その反応は、すかさずコタロウとモカからツッコまれていたけど……
「とにかく、今回のことで、別に罰とか細かいこと言うつもりないし」
「え、そうなの?」
このまま、黙って見守っておこうと思っていたのに……思わず俺は声が漏れてしまった。
けど、処刑台の全員と、犬族と猫族のことも見回すけど、その疑問は誰もが思っていると全員の顔に書いてある。
ゾーイの性格から考えて、その答えはあまりに優しすぎる。
良くないとはわかっているけど、何を企んでいるのか勘ぐらずにはいられなかった。
「正確に言うとさ、もう罰は十分でしょってことよ。ご丁寧に全員二、三本ずつ骨を誰かさんが折ってくれてるし、これ以上やったらいじめになる」
すると、企んではいないけど、それが優しいのか、残酷なのか……
よくわからない答えが返ってきた。
それを聞いていたアランは、これまたゾーイを睨みつけていた。
「まあ、けど、こんなことを繰り返すわけにはいかないわよね? お互いの中でどんどん溝ができるし、何よりあたしの精神衛生上、最悪だもの」
「あ、そりゃそうだね……ゾーイは、これからどうしたい?」
けど、そのすぐ後に続いたゾーイの言葉に、俺は妙な安心感を覚えた。
そうだよ、そんな風に優しくゾーイが終わるわけないよ!
多分レオもそう思っていたから、ゾーイに質問する顔が盛大に引きつっていたのだろう。
けど、次に続く言葉も同じく、俺達に衝撃を与えるものだった……
「あたしは……仲良くしたいかな!」
満面の笑みで宣言した君、本当に声が出なかった。
そして、少しの静寂の後で処刑台前は史上最大にざわついた。
「仲良くしたい? 死体? それは仲良く死体になれって意味だったか?」
「望? そんな物騒な言葉遊び思いつくわけないでしょ?」
一番に動いたのは望、大真面目な顔で尋ねた質問はゾーイに淡々と否定されて終わってしまった。
「ゾーイ、もしかしてだけどさ……また拾い食いでもしたんだろ!? 今度はキノコ? それとも、山菜とか?」
「キノコも山菜も、何なら、最近はもう拾い食いもしてないけど? デルタ?」
お次は少しパニックのデルタ、個人的には一番可能性が高いと思ったけど、ゾーイ本人が否定してるし、違うようだ。
「……何かの罠か?」
「そのご自慢の青髪、全部削ぎ落とすわよ」
お次はまさかのアランだけど、あと少しでゾーイはブチ切れ……もう既にブチ切れているようだ。
無表情で睨み合うゾーイとアランの絵面は、なかなかのトラウマものだ。
え? 本当に? 仲良くしたいって平和的な考えでいいの?
「ていうか、あんたら全員、あたしのこと何だと思ってんのよ」
すると、ゾーイは、呆れ気味のため息混じりで俺達に尋ねる。
けど、その質問の答えはこうだ。
ゾーイ・エマーソンだと思ってる、むしろこれ一択だ。
まあ、そんなこと、とても本人には言えるわけないけど……
「ご、ごめんね? ゾーイの答えがあまりにその……予想外だったから!」
すかさず、モカが一所懸命フォローに入る。
「そう? あ、お気に召さないなら、変えよっか?」
「いやいやいやいや! 大丈夫! そのままでお願いしたいよ!」
それに答えるゾーイだが、まさかの前言撤回発言にレオは慌てて首を振る。
けど、それを聞いたゾーイは……
「まあ、そうよね? 戦争するより仲良くする方が何かと得じゃん?」
ゾーイ、せっかくの感動に包まれた空気が水の泡だよ。
そして、犬族と猫族全体にいつも通りの軽い口調で、そう告げたのだ。
「急に、昔からの固定観念捨てるなんて無理でしょ?」
「あ、いや、ゾーイ! そこは、僕達が責任をもって……」
「じゃあ、あんたら、毛の模様を変えろって言われたら、すぐ変えられる?」
「え? け……毛の模様?」
さらに話を続けてくゾーイに、レオは慌てて割って入る。
けど、話を遮られたばかりか、レオはゾーイからの、突然の質問に驚いて声が裏返っていた。
「毛の模様なんて、そんなの変えるの無理だろ」
「そうでしょ? 固定観念ってそういうものよ。あたしが、性格を変えることが無理なのと同じくらいに、難しくって大変なのよ」
「いや、お前は少し性格を改めた方が将来のためだと思うぞ……」
そんなレオをフォローするように、コタロウが代わりに質問に答える。
それを受けて、ゾーイはどれだけ固定観念を捨てるということが難しいのかの説明をするが、コタロウの冷静な指摘がそこで入ることになった。
本当にね、コタロウもっと言ってよ。
「まあ、それは検討した上で破棄するとしまして?」
「破棄すんなよ……」
「けど、検討はするのね……」
そんなコタロウの指摘に対し、ゾーイにしては珍しく反応をする。
まあ、その反応は、すかさずコタロウとモカからツッコまれていたけど……
「とにかく、今回のことで、別に罰とか細かいこと言うつもりないし」
「え、そうなの?」
このまま、黙って見守っておこうと思っていたのに……思わず俺は声が漏れてしまった。
けど、処刑台の全員と、犬族と猫族のことも見回すけど、その疑問は誰もが思っていると全員の顔に書いてある。
ゾーイの性格から考えて、その答えはあまりに優しすぎる。
良くないとはわかっているけど、何を企んでいるのか勘ぐらずにはいられなかった。
「正確に言うとさ、もう罰は十分でしょってことよ。ご丁寧に全員二、三本ずつ骨を誰かさんが折ってくれてるし、これ以上やったらいじめになる」
すると、企んではいないけど、それが優しいのか、残酷なのか……
よくわからない答えが返ってきた。
それを聞いていたアランは、これまたゾーイを睨みつけていた。
「まあ、けど、こんなことを繰り返すわけにはいかないわよね? お互いの中でどんどん溝ができるし、何よりあたしの精神衛生上、最悪だもの」
「あ、そりゃそうだね……ゾーイは、これからどうしたい?」
けど、そのすぐ後に続いたゾーイの言葉に、俺は妙な安心感を覚えた。
そうだよ、そんな風に優しくゾーイが終わるわけないよ!
多分レオもそう思っていたから、ゾーイに質問する顔が盛大に引きつっていたのだろう。
けど、次に続く言葉も同じく、俺達に衝撃を与えるものだった……
「あたしは……仲良くしたいかな!」
満面の笑みで宣言した君、本当に声が出なかった。
そして、少しの静寂の後で処刑台前は史上最大にざわついた。
「仲良くしたい? 死体? それは仲良く死体になれって意味だったか?」
「望? そんな物騒な言葉遊び思いつくわけないでしょ?」
一番に動いたのは望、大真面目な顔で尋ねた質問はゾーイに淡々と否定されて終わってしまった。
「ゾーイ、もしかしてだけどさ……また拾い食いでもしたんだろ!? 今度はキノコ? それとも、山菜とか?」
「キノコも山菜も、何なら、最近はもう拾い食いもしてないけど? デルタ?」
お次は少しパニックのデルタ、個人的には一番可能性が高いと思ったけど、ゾーイ本人が否定してるし、違うようだ。
「……何かの罠か?」
「そのご自慢の青髪、全部削ぎ落とすわよ」
お次はまさかのアランだけど、あと少しでゾーイはブチ切れ……もう既にブチ切れているようだ。
無表情で睨み合うゾーイとアランの絵面は、なかなかのトラウマものだ。
え? 本当に? 仲良くしたいって平和的な考えでいいの?
「ていうか、あんたら全員、あたしのこと何だと思ってんのよ」
すると、ゾーイは、呆れ気味のため息混じりで俺達に尋ねる。
けど、その質問の答えはこうだ。
ゾーイ・エマーソンだと思ってる、むしろこれ一択だ。
まあ、そんなこと、とても本人には言えるわけないけど……
「ご、ごめんね? ゾーイの答えがあまりにその……予想外だったから!」
すかさず、モカが一所懸命フォローに入る。
「そう? あ、お気に召さないなら、変えよっか?」
「いやいやいやいや! 大丈夫! そのままでお願いしたいよ!」
それに答えるゾーイだが、まさかの前言撤回発言にレオは慌てて首を振る。
けど、それを聞いたゾーイは……
「まあ、そうよね? 戦争するより仲良くする方が何かと得じゃん?」
ゾーイ、せっかくの感動に包まれた空気が水の泡だよ。
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