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第三章-⑸ クレアとハロルド
三人寄ればトラブルの種
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「は? 俺は見世物になる気はねえ」
「望、言い方が……」
「昴は、今は黙っててくれ」
アランの申し出に、敵意むき出しで答えた望のことを宥めようとしたら、それは思いの外に柔らかい口調の望本人に止められてしまった。
それに、隣に座る真由やサトルにも視線で引くように訴えられ、仕方なく俺は上げた腰を再び下ろした。
本当にいいのか、これで? デルタはともかく、望とアランって血を見る未来しか浮かばないんだけど……
「アラン、頼む。場所を変えて……」
「知られたらまずいことなんて、もう特にないだろ。ただでさえ、お前ら二人の気持ちは筒抜けだ」
そんな俺の心配に追い討ちをかけるかのように、デルタの言葉を遮って、アランは淡々と話を進めていった。
アラン、確かに望とデルタの気持ちは見て明らかだけど、それを言ったら絶対にダメだって俺でもわかるよ。
「……お前も、ゾーイも、本当に最初に見た時から気に食わなかった」
案の定、望は顔を引くつかせて、嫌味をアランに吐き捨てた。
「そうか。それじゃあ、いずれはお前に惚れられるってことか?」
「あ? 今、何て言った……?」
けど、まさかのその望の吐き捨てた言葉にアランはあろうことか、タブーもタブーな話題で返事を返したのだ。
そして、そのアランの言葉にもう望は青筋を立てていて……ほらもう、やっぱり絶対にこうなるんだからさ!
視界の端では、サトル、シン、ジェームズ、ハロルドが止めに入ろうと俺と同じように腰を浮かせていた。
そんな中、俺がひと足早く二人の間に入ろうとした時……
「お前ら、いい加減にしろ! 殴り合わねえと話ができねえのか!?」
まさかの展開で、デルタが誰よりもブチ切れる結果となった。
思わず、俺は叫ぼうとした口を手で押えて後ろに下がる……それは、他の止めに入ろうとしてた四人も一緒。
そして、その場は再び静寂に包まれたのだが、さすがに悪いと思ったのか、望とアランはそれぞれ離れたところに座り直し、それを見たデルタも深呼吸をした後で近くの椅子に座った。
「……改めて聞くけどな、アラン」
「何だ」
「好きなのか、ゾーイが」
そして、デルタは意を決したように目を逸らさず、アランに投げかけた。
望も睨みつけながら、アランの返答を待っている。
その場には妙な緊張感が走っていた。
「あいつは、嵐だ」
「は?」
「あ、あら……え、何だって?」
しかし、アランの答えはその場の全員の期待からはほど遠いもので……
望とデルタも気が抜けたようにすぐに聞き返していたが、アランはそこからまくし立てるように話し出した。
「今までずっと、大きな事件や揉め事の時にはあいつなりの哲学とやり方で俺達を振り回して解決してきたが、途中までは事態の混乱を招いたり、悪化させることがほとんど。まさに、嵐だろ」
「あ……あー、そうだな! ゾーイにはピッタリなあだ名だ!」
そんな珍しくも饒舌なアランに若干怯えながら、デルタは何度も頷く。
「そんな嵐を起こすじゃじゃ馬は、誰かしらが手網を握って見張っておかねえと取り返しがつかなくなるだろ」
「見張って……あ、お前、それで!」
さらに望もようやく理解できたというように睨むのをやめて、目を見開く。
え? 今アランの言いたいことって自分がゾーイを構うのは、あくまでゾーイの暴走を防ぐためってこと?
「あ、つまり、俺とソニアにしてくれたように放っておけなかったわけか……」
「まあ確かに、あいつは、何しでかすかわかったもんじゃねえからな!」
けど、俺の疑念とは他所に、アランはゾーイを好きじゃないっていう空気になりつつある。
デルタもホッと胸を撫で下ろし、望は笑いながら上機嫌だ。
いや、けど、アランのあのゾーイに向けてる目は絶対に……やっぱり、納得が俺はいかなくて、アランに本音を問おうとした時、それは急展開を迎えた。
「俺達全員、厄介な女に惚れたな」
「望、言い方が……」
「昴は、今は黙っててくれ」
アランの申し出に、敵意むき出しで答えた望のことを宥めようとしたら、それは思いの外に柔らかい口調の望本人に止められてしまった。
それに、隣に座る真由やサトルにも視線で引くように訴えられ、仕方なく俺は上げた腰を再び下ろした。
本当にいいのか、これで? デルタはともかく、望とアランって血を見る未来しか浮かばないんだけど……
「アラン、頼む。場所を変えて……」
「知られたらまずいことなんて、もう特にないだろ。ただでさえ、お前ら二人の気持ちは筒抜けだ」
そんな俺の心配に追い討ちをかけるかのように、デルタの言葉を遮って、アランは淡々と話を進めていった。
アラン、確かに望とデルタの気持ちは見て明らかだけど、それを言ったら絶対にダメだって俺でもわかるよ。
「……お前も、ゾーイも、本当に最初に見た時から気に食わなかった」
案の定、望は顔を引くつかせて、嫌味をアランに吐き捨てた。
「そうか。それじゃあ、いずれはお前に惚れられるってことか?」
「あ? 今、何て言った……?」
けど、まさかのその望の吐き捨てた言葉にアランはあろうことか、タブーもタブーな話題で返事を返したのだ。
そして、そのアランの言葉にもう望は青筋を立てていて……ほらもう、やっぱり絶対にこうなるんだからさ!
視界の端では、サトル、シン、ジェームズ、ハロルドが止めに入ろうと俺と同じように腰を浮かせていた。
そんな中、俺がひと足早く二人の間に入ろうとした時……
「お前ら、いい加減にしろ! 殴り合わねえと話ができねえのか!?」
まさかの展開で、デルタが誰よりもブチ切れる結果となった。
思わず、俺は叫ぼうとした口を手で押えて後ろに下がる……それは、他の止めに入ろうとしてた四人も一緒。
そして、その場は再び静寂に包まれたのだが、さすがに悪いと思ったのか、望とアランはそれぞれ離れたところに座り直し、それを見たデルタも深呼吸をした後で近くの椅子に座った。
「……改めて聞くけどな、アラン」
「何だ」
「好きなのか、ゾーイが」
そして、デルタは意を決したように目を逸らさず、アランに投げかけた。
望も睨みつけながら、アランの返答を待っている。
その場には妙な緊張感が走っていた。
「あいつは、嵐だ」
「は?」
「あ、あら……え、何だって?」
しかし、アランの答えはその場の全員の期待からはほど遠いもので……
望とデルタも気が抜けたようにすぐに聞き返していたが、アランはそこからまくし立てるように話し出した。
「今までずっと、大きな事件や揉め事の時にはあいつなりの哲学とやり方で俺達を振り回して解決してきたが、途中までは事態の混乱を招いたり、悪化させることがほとんど。まさに、嵐だろ」
「あ……あー、そうだな! ゾーイにはピッタリなあだ名だ!」
そんな珍しくも饒舌なアランに若干怯えながら、デルタは何度も頷く。
「そんな嵐を起こすじゃじゃ馬は、誰かしらが手網を握って見張っておかねえと取り返しがつかなくなるだろ」
「見張って……あ、お前、それで!」
さらに望もようやく理解できたというように睨むのをやめて、目を見開く。
え? 今アランの言いたいことって自分がゾーイを構うのは、あくまでゾーイの暴走を防ぐためってこと?
「あ、つまり、俺とソニアにしてくれたように放っておけなかったわけか……」
「まあ確かに、あいつは、何しでかすかわかったもんじゃねえからな!」
けど、俺の疑念とは他所に、アランはゾーイを好きじゃないっていう空気になりつつある。
デルタもホッと胸を撫で下ろし、望は笑いながら上機嫌だ。
いや、けど、アランのあのゾーイに向けてる目は絶対に……やっぱり、納得が俺はいかなくて、アランに本音を問おうとした時、それは急展開を迎えた。
「俺達全員、厄介な女に惚れたな」
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