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第三章-⑸ クレアとハロルド
メンタルの回復は迅速に
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「この量は、ちょっと早まったな……」
俺は今、家のキッチンで全員分の食器洗いを爆進している。
というのも、家を建ててから、俺達は家の中での役割分担というものも決めるようになった。
まあ、料理担当が、デルタとソニアだということは変わらないけど、それ以外の男女別の洗濯、ゴミ出し、浴室とトイレの掃除など、諸々のことは七日周期で回していくことになり、俺と望は今週は食器洗いの担当だ。
それなら、なぜ俺が一人で食器洗いをしてるのかというと、単純明快、望のメンタルが限界だからだ。
ゾーイとの件から二日が経ったが、何事もなかったかのように過ごすゾーイに望の心は砕け散るばかり……
食器洗いをしてる時もボーッとしてることが多く、十回は皿を割ろうとする事態が発生する始末。
取り返しがつかなくなって、ゾーイに大目玉をくらう前に望のメンタルを回復させるために、気分転換でもして来いと俺が言ったのだ。
最初は渋っていた望だが、自分でも自覚があるのか、最終的にはどこかに散歩に行くと出て行った。
それで、現在にいたるわけだが……
「終わらねえ……永遠に終わらねえ!」
まだまだ成長途中で、毎日これでもかと働く十代の俺達の食べる量ってのは半端ではなく……
それに比例し、毎回の食事の食器も山のように使われる。
そこそこに広く作ったと思う流し台のはずなのに、隙間なく積まれてるのだ。
そんな状況に、自分の判断を若干後悔していた時だ。
「昴! 食器洗い終わった!?」
「うわあっ!? とっと……!!」
前触れもなく、自分の名前を叫ばれた俺は持っていた皿を、危うく落としそうになった……踏みとどまったけど。
何だと思って振り返ってみると、そこには慌てた様子のジェームズとソニアの姿があった。
「昴くん、いろいろと大丈夫!?」
「まあ、何とか……ソニア、急に話しかけるのやめてくれよ」
「あ、ああ、ごめん! セーフだし、良しとして!」
真っ青な顔でジェームズは俺のことを気遣ってくれるが、発端となったソニアはそれどころではないらしい。
何かどんどん、そういうとこゾーイに似てきたような……まあ、ソニアはまだ謝ってくれるからマシだけど。
「てか、二人とも、そんなに慌ててどうしたんだよ?」
「そ、そうだった! 実はね……」
「ジェームズ! もう悠長に説明してる時間ないよ!」
そして、そもそもどうしてこうなったのかと理由を尋ねると、答えようとしたジェームズを、ソニアが急かすように遮ったのだった。
待って、本当に何がどうしたんだよ!?
「ええ!? あ、昴くん、こっちに!」
「は? ちょっ、ちょっと!?」
そして、ソニアの言葉に、さらにパニックのジェームズは俺の腕を掴んで、そのまま引っ張る。
突然で抵抗もできず、俺はされるがままにジェームズに引っ張られ、なぜだか三人でキッチンに設置されたカウンターの後ろに隠れる体制になっていた。
「ごめん、昴くん! 何も言わず、僕達とここに隠れて!」
「いや、もう隠れてるけど……」
そして、そこでようやくジェームズに後出し感満載の頼みをされる。
俺はその状況に困惑しかなく、とりあえずは苦笑いで返すしかなかった。
「来たよ! 昴、お願い! 隙を見て説明はするから、今だけは黙ってて!」
するも、ソニアに必死に懇願され、それに続くようにジェームズからも頭を下げられてしまう。
さらにわけがわからなくなり、頭で状況の整理をしようとしてると……
「ゾーイ! そんなに慌てなくても、逃げるわけじゃねえんだから……」
「逃げるわよ! 食べ頃の時期ってのは逃げていくもんなのよ!」
キッチンに入って来たのは、クスリと呆れたように笑ってるデルタと、珍しく少し興奮気味のゾーイだった。
「アニキ、頑張ってよ~! ゾーイをアネキにできるかどうかは、アニキにかかってるんだからね~!」
そんな二人を見つめ、ソニアは小声で念のようなものをデルタに送ってる。
待てよ……この光景、もしかして?
「ジェームズ? もしかして、デルタがゾーイを呼び出したのか?」
「あ、うん! それを聞いたソニアが自分が見守るの一点張りで……」
「この状況になるってわけだな?」
俺の質問に、ジェームズは苦笑いでごめんねと頷いていた。
望? なるべく早めのメンタルの回復を俺はアドバイスするよ。
俺は今、家のキッチンで全員分の食器洗いを爆進している。
というのも、家を建ててから、俺達は家の中での役割分担というものも決めるようになった。
まあ、料理担当が、デルタとソニアだということは変わらないけど、それ以外の男女別の洗濯、ゴミ出し、浴室とトイレの掃除など、諸々のことは七日周期で回していくことになり、俺と望は今週は食器洗いの担当だ。
それなら、なぜ俺が一人で食器洗いをしてるのかというと、単純明快、望のメンタルが限界だからだ。
ゾーイとの件から二日が経ったが、何事もなかったかのように過ごすゾーイに望の心は砕け散るばかり……
食器洗いをしてる時もボーッとしてることが多く、十回は皿を割ろうとする事態が発生する始末。
取り返しがつかなくなって、ゾーイに大目玉をくらう前に望のメンタルを回復させるために、気分転換でもして来いと俺が言ったのだ。
最初は渋っていた望だが、自分でも自覚があるのか、最終的にはどこかに散歩に行くと出て行った。
それで、現在にいたるわけだが……
「終わらねえ……永遠に終わらねえ!」
まだまだ成長途中で、毎日これでもかと働く十代の俺達の食べる量ってのは半端ではなく……
それに比例し、毎回の食事の食器も山のように使われる。
そこそこに広く作ったと思う流し台のはずなのに、隙間なく積まれてるのだ。
そんな状況に、自分の判断を若干後悔していた時だ。
「昴! 食器洗い終わった!?」
「うわあっ!? とっと……!!」
前触れもなく、自分の名前を叫ばれた俺は持っていた皿を、危うく落としそうになった……踏みとどまったけど。
何だと思って振り返ってみると、そこには慌てた様子のジェームズとソニアの姿があった。
「昴くん、いろいろと大丈夫!?」
「まあ、何とか……ソニア、急に話しかけるのやめてくれよ」
「あ、ああ、ごめん! セーフだし、良しとして!」
真っ青な顔でジェームズは俺のことを気遣ってくれるが、発端となったソニアはそれどころではないらしい。
何かどんどん、そういうとこゾーイに似てきたような……まあ、ソニアはまだ謝ってくれるからマシだけど。
「てか、二人とも、そんなに慌ててどうしたんだよ?」
「そ、そうだった! 実はね……」
「ジェームズ! もう悠長に説明してる時間ないよ!」
そして、そもそもどうしてこうなったのかと理由を尋ねると、答えようとしたジェームズを、ソニアが急かすように遮ったのだった。
待って、本当に何がどうしたんだよ!?
「ええ!? あ、昴くん、こっちに!」
「は? ちょっ、ちょっと!?」
そして、ソニアの言葉に、さらにパニックのジェームズは俺の腕を掴んで、そのまま引っ張る。
突然で抵抗もできず、俺はされるがままにジェームズに引っ張られ、なぜだか三人でキッチンに設置されたカウンターの後ろに隠れる体制になっていた。
「ごめん、昴くん! 何も言わず、僕達とここに隠れて!」
「いや、もう隠れてるけど……」
そして、そこでようやくジェームズに後出し感満載の頼みをされる。
俺はその状況に困惑しかなく、とりあえずは苦笑いで返すしかなかった。
「来たよ! 昴、お願い! 隙を見て説明はするから、今だけは黙ってて!」
するも、ソニアに必死に懇願され、それに続くようにジェームズからも頭を下げられてしまう。
さらにわけがわからなくなり、頭で状況の整理をしようとしてると……
「ゾーイ! そんなに慌てなくても、逃げるわけじゃねえんだから……」
「逃げるわよ! 食べ頃の時期ってのは逃げていくもんなのよ!」
キッチンに入って来たのは、クスリと呆れたように笑ってるデルタと、珍しく少し興奮気味のゾーイだった。
「アニキ、頑張ってよ~! ゾーイをアネキにできるかどうかは、アニキにかかってるんだからね~!」
そんな二人を見つめ、ソニアは小声で念のようなものをデルタに送ってる。
待てよ……この光景、もしかして?
「ジェームズ? もしかして、デルタがゾーイを呼び出したのか?」
「あ、うん! それを聞いたソニアが自分が見守るの一点張りで……」
「この状況になるってわけだな?」
俺の質問に、ジェームズは苦笑いでごめんねと頷いていた。
望? なるべく早めのメンタルの回復を俺はアドバイスするよ。
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