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第三章-⑹ サトルと菜々美とモーリス
小さな小さなサプライズ
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「さあ、夕飯も食べ終わったし、真由の部屋に突撃しようぜー!」
「気のせいか? これから結構真面目な話し合いだよな? テンション明らか間違ってるよな?」
「うん、本当に……何で、今日に限ってあんなに張り切ってるんだ?」
元気良く、飛び跳ねそうな勢いのゾーイの背中を見ながら、俺と望はその不気味さに顔を見合わせた。
俺、望、ゾーイの三人は、昼間の約束通りに話を聞くために、真由の部屋へと向かっていた。
「真由~? 全員集合だよ!」
談話室の女子部屋に続くドアを通り過ぎて、真由の部屋の前にたどり着く。
ゾーイがドアをコンコンと叩き、真由を呼んだ。
「……ごめん、夜遅くに……どうぞ?」
ゆっくりとドアが開き、中から真由が申し訳なさそうに顔を出して、俺達のことを招き入れた。
「うん、さっきより顔色良くなったな」
「ごめんね、昴……」
「気にすんなって。あ、これ、デルタとソニアが作ってくれたんだ」
ゾーイと望は、部屋に入ると、各々好き勝手にその場に座り込む。
一方で、俺は真由の顔を覗き込み、少しだけ明るくなった表情に安心した。
そんな俺に、心配をかけたことを泣きそうな顔で謝る真由。
気にしなくていいのに……そんな俺の気持ちが伝わってほしくて、俺はデルタとソニアからの差し入れを渡した。
「ありがとう……え? 私の好物ばっかりだ……!!」
真由は驚いた後で、すぐに嬉しそうな表情に変わる。
「これ、昴……?」
「作ったのは俺じゃないから、デルタとソニアにもお礼言っとけよ?」
「うん……!! ありがとう」
本当些細なことだし、実際俺はデルタとソニアにお願いをしただけだから、あまり偉そうなことは言えないけど……
真由が笑ってくれるならいいんだ。
俺は、ありがとうと笑う真由の頭を優しく撫でた……撫でたんだけど。
「ちょっとそれだけ? もう付き合ってそこそこ経つでしょうよ? ガっと肩を抱き寄せて、顔を近づけて……今度は俺のためにお前が作ってくれ。この先未来永劫……とかぐらい、言えないわけ?」
まさかのゾーイからの、盛大なダメ出しが入るとは予想外で……おまけに?
「……ゾーイ!! お前は、俺のことを試験体に使うな!!」
「え? 何でよ? 望って、あたしのこと好きなんでしょ? よくない?」
「あ……なっ!? テメーの理屈は、どこまで狂ってやがんだ!? ああ!?」
望は、真っ赤な爆発しそうな状態でゾーイにブチ切れた。
そう、ゾーイはご丁寧に望の肩を抱き寄せ、顔を近づけ、セリフを言うというオール再現度マックスな状態で、ダメ出しをしてきたのだ。
望の言う通り、ゾーイと望の距離はこれ以上ないぐらい近いし……
おまけに自分の好きな相手に好意が伝わった状態のこれで、さらにその相手によくないかと質問されてしまうこの状況って……俺なら、海に身を投げてるな。
前からゾーイのデリカシーの無さは定評があったけど、ここまでとは……
「さ、さあ! とりあえず、本題に入ろうか? なあ、真由?」
「ええ!? あー、そ、そうね?」
とにかく、俺は話題を変えようと必死に取り繕った。
事は一刻を争う、そろそろ本当に望が限界だ。
「そういや、忘れてたわ。さて、気を取り直しまして……真由? 昼間に菜々美と何があったの?」
けど、いつものことだけど、場をかき乱すだけかき乱してからの、ゾーイの切り替えの早さには本当について行くのが大変だよ……
まあ、それもいまさらなので、真由と苦笑いをして、恥ずかしさでブチ切れ寸前の望を宥める。
「あ、そういえば、菜々美は……!?」
「安心しろ、見つかったから」
「そう……」
「とりあえず、今日はモカの家に泊まるって、クレアが言ってた」
すると、ハッとしたように、焦ったように真由は俺達に問うたが、俺はなるべく安心させるように優しく答えた。
そして、望からクレアからの伝言を伝えると、真由はまた悲しそうに、俯いてしまった。
すっかり落ち込んでしまった真由を前にして、どうしたものかと望と顔を見合わせていると……
「ねえ? 勘違いだったらごめんなんだけどさ。サトルと菜々美って、最近上手くいってないでしょ?」
またまたゾーイから、爆弾発言が当然の如く飛び出したのだった。
「気のせいか? これから結構真面目な話し合いだよな? テンション明らか間違ってるよな?」
「うん、本当に……何で、今日に限ってあんなに張り切ってるんだ?」
元気良く、飛び跳ねそうな勢いのゾーイの背中を見ながら、俺と望はその不気味さに顔を見合わせた。
俺、望、ゾーイの三人は、昼間の約束通りに話を聞くために、真由の部屋へと向かっていた。
「真由~? 全員集合だよ!」
談話室の女子部屋に続くドアを通り過ぎて、真由の部屋の前にたどり着く。
ゾーイがドアをコンコンと叩き、真由を呼んだ。
「……ごめん、夜遅くに……どうぞ?」
ゆっくりとドアが開き、中から真由が申し訳なさそうに顔を出して、俺達のことを招き入れた。
「うん、さっきより顔色良くなったな」
「ごめんね、昴……」
「気にすんなって。あ、これ、デルタとソニアが作ってくれたんだ」
ゾーイと望は、部屋に入ると、各々好き勝手にその場に座り込む。
一方で、俺は真由の顔を覗き込み、少しだけ明るくなった表情に安心した。
そんな俺に、心配をかけたことを泣きそうな顔で謝る真由。
気にしなくていいのに……そんな俺の気持ちが伝わってほしくて、俺はデルタとソニアからの差し入れを渡した。
「ありがとう……え? 私の好物ばっかりだ……!!」
真由は驚いた後で、すぐに嬉しそうな表情に変わる。
「これ、昴……?」
「作ったのは俺じゃないから、デルタとソニアにもお礼言っとけよ?」
「うん……!! ありがとう」
本当些細なことだし、実際俺はデルタとソニアにお願いをしただけだから、あまり偉そうなことは言えないけど……
真由が笑ってくれるならいいんだ。
俺は、ありがとうと笑う真由の頭を優しく撫でた……撫でたんだけど。
「ちょっとそれだけ? もう付き合ってそこそこ経つでしょうよ? ガっと肩を抱き寄せて、顔を近づけて……今度は俺のためにお前が作ってくれ。この先未来永劫……とかぐらい、言えないわけ?」
まさかのゾーイからの、盛大なダメ出しが入るとは予想外で……おまけに?
「……ゾーイ!! お前は、俺のことを試験体に使うな!!」
「え? 何でよ? 望って、あたしのこと好きなんでしょ? よくない?」
「あ……なっ!? テメーの理屈は、どこまで狂ってやがんだ!? ああ!?」
望は、真っ赤な爆発しそうな状態でゾーイにブチ切れた。
そう、ゾーイはご丁寧に望の肩を抱き寄せ、顔を近づけ、セリフを言うというオール再現度マックスな状態で、ダメ出しをしてきたのだ。
望の言う通り、ゾーイと望の距離はこれ以上ないぐらい近いし……
おまけに自分の好きな相手に好意が伝わった状態のこれで、さらにその相手によくないかと質問されてしまうこの状況って……俺なら、海に身を投げてるな。
前からゾーイのデリカシーの無さは定評があったけど、ここまでとは……
「さ、さあ! とりあえず、本題に入ろうか? なあ、真由?」
「ええ!? あー、そ、そうね?」
とにかく、俺は話題を変えようと必死に取り繕った。
事は一刻を争う、そろそろ本当に望が限界だ。
「そういや、忘れてたわ。さて、気を取り直しまして……真由? 昼間に菜々美と何があったの?」
けど、いつものことだけど、場をかき乱すだけかき乱してからの、ゾーイの切り替えの早さには本当について行くのが大変だよ……
まあ、それもいまさらなので、真由と苦笑いをして、恥ずかしさでブチ切れ寸前の望を宥める。
「あ、そういえば、菜々美は……!?」
「安心しろ、見つかったから」
「そう……」
「とりあえず、今日はモカの家に泊まるって、クレアが言ってた」
すると、ハッとしたように、焦ったように真由は俺達に問うたが、俺はなるべく安心させるように優しく答えた。
そして、望からクレアからの伝言を伝えると、真由はまた悲しそうに、俯いてしまった。
すっかり落ち込んでしまった真由を前にして、どうしたものかと望と顔を見合わせていると……
「ねえ? 勘違いだったらごめんなんだけどさ。サトルと菜々美って、最近上手くいってないでしょ?」
またまたゾーイから、爆弾発言が当然の如く飛び出したのだった。
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