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第三章-⑹ サトルと菜々美とモーリス
知らぬ間にゴングが鳴った
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「ゾーイ! 思ったんだけど、まずは武器を探した方がよくないかな!?」
「そうだな! 今の状態は、さすがに無防備すぎだし!」
「私が言うのもあれだけど……今敵に襲われたら、絶望的だと思うわ!」
檻の前で望達と分かれてから、俺、真由、サトル、レオ、そして、ゾーイはコックピットに向かって、ナサニエルの中を警戒しながら走っていた。
その走る最中にサトルがゾーイにその提案を叫び、俺と真由も続くようにそう告げた。
催眠ガスで眠らされ、持ってきた剣や銃は敵に奪われてしまった。
それ故に、今の俺達は丸腰の状態でこのナサニエルを、大胆にも突っ切ってることになる。
今襲われたら一溜りもないし、さすがにゾーイも頷いてくれると……
「は? 全員、五体満足に両手と両足がついてるでしょ? それがあれば、無敵よ、頑張って。あと、そんなの探してる時間がもったいないわ」
「……君なら、言うと思った」
うん、頷く気配すらありませんでした甘かったです。
そんなゾーイの言葉に、レオは遠い目をしながら、受け入れていた。
隣を走る真由は、真っ青な顔で小さく嘘でしょと、静かに絶望している。
俺とサトルは目を合わせ、さすがにそれは無茶だと声を上げようとした時……
「こっちにいたぞー! 人間どもが脱走してるぞー!」
「舐めやがって……とっ捕まえて、今度は独房にぶち込んでやる!」
角を曲がった廊下の先から、さっきゾーイが気絶させた犬族と同じような服装をした犬族と猫族が怒鳴りながら、俺達に剣を片手に突撃して来たのだ。
「はあ!? 何で、もう脱走したことがバレてんだよ!?」
「あー、きっと、さっきの犬族が気を取り戻して連絡したのね。もっと、念入りに沈めとくべきだったわ」
慌てふためく俺の言葉に、ゾーイは驚くほどに冷静に、肩を竦めながら淡々とそう告げるのだ。
「今は反省している場合かな!? 絶対に違うと思うよ!?」
「こっちに来るわよ! とにかく、今は別の道に逃げないと……!!」
同じく慌てふためくサトルと、悲鳴のような声を上げる真由。
俺が真由の手を引いて、廊下を引き返そうとした、その時……
「レオ、何かあったらカバーして」
「は?」
「ここには、素手でまともに戦えて役に立つ奴、あんたしかいないっぽいし」
ゾーイは逃げること、その場を動く気配すら見せず、それどころか俺達の一歩前に出る。
そして、名前を呼ばれたレオは、突然の名指しに間抜けな声を上げた。
俺達も意味がわからなくて、その場を動けずにいたが、その間にも敵の犬族と猫族はこちらに近付いて来ていて……
「ゾーイ、何をする気なの……?」
「道、あけてもらうだけよ」
俺の震える質問に対して、ゾーイは答えになっていない答えを返した……
「ゾーイ!?!? 待って……!!」
「無理だ……そんなの無謀だ!!!!」
そのままゾーイは真由やサトルの制止の叫びを聞かず、十人以上はいるだろう敵に向かって突っ込んで行った。
無理だ……どうして、君は……!! どう考えても分が悪すぎる!
そう思っても、俺は情けないことに足は恐怖で動いてくれず、その後の光景を見たくなくて、俺は目を瞑った。
俺はただ、どこまでも臆病だった。
「嘘でしょ……」
しかし、隣から聞こえてきた真由の息を止めていたけれど、どうしても吐き出さずにはいられなかったというような呟きに、俺は目を開けたが……
飛び込んできた目の前の光景に、俺はありきたりだけど目をこすった。
何度も、何度も、目をこすったが、やっぱりその光景は現実だった。
「お、お前……何者なんだ……!!」
敵の一人の犬族が、息も絶え絶えになりながら、絞り出すように告げる。
「ただの人間だけど?」
「グハアッ……!!」
そして、ゾーイは熱のない言葉でそう吐き捨てると、そのままその犬族の顎に蹴りを入れ、その犬族は後ろに倒れた。
するとゾーイは、ワイヤーにでも繋がれているのではないかと思うほど軽く空中に飛び上がると、そのまま空中で一回転し、着地の勢いと同時に一人の犬族の頭部に蹴りを入れ、その犬族に巻き込まれるような形で隣にいたもう一人の犬族までもが倒れた。
「この女……!! ちょろちょろと、動き回りやがってよ!」
「ゾーイ、後ろだ!!!!」
それを見た一人の猫族は、ゾーイに背後から剣で斬りかかろうとする。
レオは気付いて、慌てて叫ぶが……
「足元がお留守よ」
「あ……!? ガアアアア……!!」
ゾーイは瞬時に姿勢を低くし、その斬りかかろうとした猫族の両足をゾーイは素早く払って宙に浮かせて、そのまま腹部に肘打ちをくらわせる。
それを見た残りの連中は怯んだように後退りをするが、それをあのゾーイが見逃すはずもなかった。
素早くゾーイが立ち上がったかと思えばそのまま壁を走って、ゾーイは連中の前に下り立った……
「ほら、これ使いな」
「えっと……」
あの後も、次から次へと、ゾーイの前に敵は倒れていき、あっという間に俺達を阻む者はいなくなっていた。
そして今、ゾーイは俺達それぞれに敵の犬族と猫族が持ってた武器を、差し出している。
俺達のこれは何だろうかという無言の訴えに、ゾーイは……
「武器がないなら、奪うでしょ?」
本当に……君だけは絶対に敵に回したくないと、俺は改めて思った。
「そうだな! 今の状態は、さすがに無防備すぎだし!」
「私が言うのもあれだけど……今敵に襲われたら、絶望的だと思うわ!」
檻の前で望達と分かれてから、俺、真由、サトル、レオ、そして、ゾーイはコックピットに向かって、ナサニエルの中を警戒しながら走っていた。
その走る最中にサトルがゾーイにその提案を叫び、俺と真由も続くようにそう告げた。
催眠ガスで眠らされ、持ってきた剣や銃は敵に奪われてしまった。
それ故に、今の俺達は丸腰の状態でこのナサニエルを、大胆にも突っ切ってることになる。
今襲われたら一溜りもないし、さすがにゾーイも頷いてくれると……
「は? 全員、五体満足に両手と両足がついてるでしょ? それがあれば、無敵よ、頑張って。あと、そんなの探してる時間がもったいないわ」
「……君なら、言うと思った」
うん、頷く気配すらありませんでした甘かったです。
そんなゾーイの言葉に、レオは遠い目をしながら、受け入れていた。
隣を走る真由は、真っ青な顔で小さく嘘でしょと、静かに絶望している。
俺とサトルは目を合わせ、さすがにそれは無茶だと声を上げようとした時……
「こっちにいたぞー! 人間どもが脱走してるぞー!」
「舐めやがって……とっ捕まえて、今度は独房にぶち込んでやる!」
角を曲がった廊下の先から、さっきゾーイが気絶させた犬族と同じような服装をした犬族と猫族が怒鳴りながら、俺達に剣を片手に突撃して来たのだ。
「はあ!? 何で、もう脱走したことがバレてんだよ!?」
「あー、きっと、さっきの犬族が気を取り戻して連絡したのね。もっと、念入りに沈めとくべきだったわ」
慌てふためく俺の言葉に、ゾーイは驚くほどに冷静に、肩を竦めながら淡々とそう告げるのだ。
「今は反省している場合かな!? 絶対に違うと思うよ!?」
「こっちに来るわよ! とにかく、今は別の道に逃げないと……!!」
同じく慌てふためくサトルと、悲鳴のような声を上げる真由。
俺が真由の手を引いて、廊下を引き返そうとした、その時……
「レオ、何かあったらカバーして」
「は?」
「ここには、素手でまともに戦えて役に立つ奴、あんたしかいないっぽいし」
ゾーイは逃げること、その場を動く気配すら見せず、それどころか俺達の一歩前に出る。
そして、名前を呼ばれたレオは、突然の名指しに間抜けな声を上げた。
俺達も意味がわからなくて、その場を動けずにいたが、その間にも敵の犬族と猫族はこちらに近付いて来ていて……
「ゾーイ、何をする気なの……?」
「道、あけてもらうだけよ」
俺の震える質問に対して、ゾーイは答えになっていない答えを返した……
「ゾーイ!?!? 待って……!!」
「無理だ……そんなの無謀だ!!!!」
そのままゾーイは真由やサトルの制止の叫びを聞かず、十人以上はいるだろう敵に向かって突っ込んで行った。
無理だ……どうして、君は……!! どう考えても分が悪すぎる!
そう思っても、俺は情けないことに足は恐怖で動いてくれず、その後の光景を見たくなくて、俺は目を瞑った。
俺はただ、どこまでも臆病だった。
「嘘でしょ……」
しかし、隣から聞こえてきた真由の息を止めていたけれど、どうしても吐き出さずにはいられなかったというような呟きに、俺は目を開けたが……
飛び込んできた目の前の光景に、俺はありきたりだけど目をこすった。
何度も、何度も、目をこすったが、やっぱりその光景は現実だった。
「お、お前……何者なんだ……!!」
敵の一人の犬族が、息も絶え絶えになりながら、絞り出すように告げる。
「ただの人間だけど?」
「グハアッ……!!」
そして、ゾーイは熱のない言葉でそう吐き捨てると、そのままその犬族の顎に蹴りを入れ、その犬族は後ろに倒れた。
するとゾーイは、ワイヤーにでも繋がれているのではないかと思うほど軽く空中に飛び上がると、そのまま空中で一回転し、着地の勢いと同時に一人の犬族の頭部に蹴りを入れ、その犬族に巻き込まれるような形で隣にいたもう一人の犬族までもが倒れた。
「この女……!! ちょろちょろと、動き回りやがってよ!」
「ゾーイ、後ろだ!!!!」
それを見た一人の猫族は、ゾーイに背後から剣で斬りかかろうとする。
レオは気付いて、慌てて叫ぶが……
「足元がお留守よ」
「あ……!? ガアアアア……!!」
ゾーイは瞬時に姿勢を低くし、その斬りかかろうとした猫族の両足をゾーイは素早く払って宙に浮かせて、そのまま腹部に肘打ちをくらわせる。
それを見た残りの連中は怯んだように後退りをするが、それをあのゾーイが見逃すはずもなかった。
素早くゾーイが立ち上がったかと思えばそのまま壁を走って、ゾーイは連中の前に下り立った……
「ほら、これ使いな」
「えっと……」
あの後も、次から次へと、ゾーイの前に敵は倒れていき、あっという間に俺達を阻む者はいなくなっていた。
そして今、ゾーイは俺達それぞれに敵の犬族と猫族が持ってた武器を、差し出している。
俺達のこれは何だろうかという無言の訴えに、ゾーイは……
「武器がないなら、奪うでしょ?」
本当に……君だけは絶対に敵に回したくないと、俺は改めて思った。
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