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第三章-⑹ サトルと菜々美とモーリス
対戦車ロケット弾発射器
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「どうしよっか、この状況……」
ゾーイの背中を不本意にも見送った俺達は文字通りその場に取り残され、レオは苦笑いでそう問う。
「あ、菜々美! 大丈夫?」
「うん……私は全然。というか、ずっと眠らされていただけだし……」
真由の焦った問いかけに、橘さんは少し気まずそうに答えて、視線をモーリスとフウタに送った。
それを受けたモーリスは、何か察したように一歩前に出る。
「橘菜々美さん、この度は本当に申し訳ありませんでした」
そして、そのまま、モーリスは直角に頭を下げて、深く橘さんに謝罪をした。
「フウタ。お前もだろ?」
「はあ……」
隣にいるフウタもレオに小突かれため息をつきながら、無言で頭を下げた。
「あの……もういいよ! 少し怖かったけど、どこもケガはしてないし!」
「それに、二人には後で、ゾーイから文字通りボコボコにしてもらうしね?」
橘さんが慌てて謝罪を受け入れて安心したのもつかの間、真由がすぐに二人を地獄に突き落とす言葉を告げた。
本当に肉体的か、精神的か、どうなることやら……
「とにかく、外の様子がどうなってるかは気になるから、ここを出よう!」
サトルのその声を皮切りに、俺達は頷き合って意思確認をする
けど、この時に俺はサトルと橘さんが一切目を合わせなかったということに、俺は気付いてしまった。
その二人を気にしつつも、とにかく俺達はコックピットを出た。
申し訳ないけれど、いまだにゾーイに倒されて伸びているピッドブルのことに関しては起きる気配がなかったので、そのまま置いて来ることにした。
俺達はコックピットを出てから、とりあえず外を目指したが……
「何か、騒がしくないか?」
「僕も思ってた」
俺が足を止めてそう問いかけると、先頭を走っていたサトルもこちらを振り返って怪訝な顔を向ける。
外に近付けば近付くほど、その騒音は増すばかり……そう思った時だ。
「昴!」
「……え? あ、望にみんな!」
遠くから聞こえた聞き覚えのある声に振り返ると、廊下の向こうから手を振る望と、檻の前で分かれた全員の姿がそこにはあった。
すぐに、俺達はお互いに駆け寄った。
「望、無事か? ケガしてないか?」
「子どもじゃねえよ、俺は……」
「ハハハッ! 無論、全員無事だ!」
「途中で敵と鉢合わせて、少しヒヤッとしたけど、何とかね」
俺はすぐに望の安否を確かめるが、望には呆れたように流されてしまった。
それに続くようにハロルドは高らかに笑い声を上げて、ジェームズは苦笑いでそう告げる。
「他の生徒達は?」
「ゾーイの睨んだ通り、重機の保管倉庫に監禁されてたわ。とりあえず、下手に動き回らないように釘を刺して今は待機してもらってる」
「そっか。よかった……」
真由の問いかけに、クレアは柔らかく笑いながら答え、それに対して真由はホッとしたように胸を撫で下ろす。
「菜々美~! よかった~!」
「トラウマみたいになってないか?」
「うん! もう、みんながいるから大丈夫! ありがとう~!」
ソニアが橘さんに抱き着き、デルタは心配そうに眉を下げながら尋ねる。
それを聞いた橘さんはそれは嬉しそうに頷き、ソニアを抱き締めた。
「コタロウ、傷口開いてないか?」
「全然平気だって」
「それどころか、敵の百鬼夜行の連中相手に大立ち回りよ?」
レオはの不安そうな問いかけに、何とコタロウは呑気に笑って答える。
そのやり取りを聞いていたモカは、呆れたような口調で言い放った。
そんな風に、それぞれがそれぞれに再会に胸を躍らせていると……
「テメーら! 何でここにいやがる!」
シンの怒号が、それまでの騒がしさを一瞬で消し去った。
誰に言ったのかなんて、明白だった。
「これは、どういうことだ」
「……ゾーイが、連れて帰るって」
「また、それかよ……!?」
気まずいどころの話じゃないモーリスとフウタを睨みながらのアランの威圧感溢れる問いに、少し考えてからサトルは答えた。
それを聞いたシンは、頭を抱えて絶叫をする始末だった……
「そのゾーイは、どこにいる」
「わからないんだ」
「は?」
「こっちの話を完全に無視して、コックピットを飛び出して……けど、その時にゾーイは、僕達は合流してから外に出て止めろって……」
「止めろ? 一体、何をだ?」
「ごめん、それも知らなくて……」
俺達を見回して、ゾーイの不在を確認してから、アランはさらに尋ねた。
けど、サトルの答えに、アランは顔を歪めるばかり……本当にごめんよ。
「話はわかった。じゃあ、一先ずはコイツらのことは後回しにして、俺達は外に出るぞ」
少し考えてから、アランは顔を上げて俺達に告げる。
それから俺達は、大ホールに向かう。
俺達は、大ホールの展望フロアのベランダから外に出ることにした。
しかし、そこに広がる光景は、地獄そのものだった……
「何だよ、これ……?」
俺の小さすぎる呟きは、俺達の目の前の喧騒に一瞬で消えていった。
王国の犬族と猫族、百鬼夜行、先ほど解放された生徒達。
それらの全員による、戦争だった。
剣同士がぶつかり合う音、仄かに漂う発砲の煙、鼻をつまみたくなるほどの出血の臭いと、その場の全員の叫び。
その光景を、戦争という単語以外で表現できるなら教えてほしいほど……
これを止める? そんなこと無理だと思った……思ったんだ。
しかし、その習慣に響いた地面を抉るような激しい衝撃と、爆発みたいな音。
俺達は全員で、とっさに戦場からナサニエルの屋上に目をやる。
「ぞ、ゾーイ……!?!?」
そこにはナサニエルの屋根でバズーカを構えている、ゾーイがいた。
ゾーイの背中を不本意にも見送った俺達は文字通りその場に取り残され、レオは苦笑いでそう問う。
「あ、菜々美! 大丈夫?」
「うん……私は全然。というか、ずっと眠らされていただけだし……」
真由の焦った問いかけに、橘さんは少し気まずそうに答えて、視線をモーリスとフウタに送った。
それを受けたモーリスは、何か察したように一歩前に出る。
「橘菜々美さん、この度は本当に申し訳ありませんでした」
そして、そのまま、モーリスは直角に頭を下げて、深く橘さんに謝罪をした。
「フウタ。お前もだろ?」
「はあ……」
隣にいるフウタもレオに小突かれため息をつきながら、無言で頭を下げた。
「あの……もういいよ! 少し怖かったけど、どこもケガはしてないし!」
「それに、二人には後で、ゾーイから文字通りボコボコにしてもらうしね?」
橘さんが慌てて謝罪を受け入れて安心したのもつかの間、真由がすぐに二人を地獄に突き落とす言葉を告げた。
本当に肉体的か、精神的か、どうなることやら……
「とにかく、外の様子がどうなってるかは気になるから、ここを出よう!」
サトルのその声を皮切りに、俺達は頷き合って意思確認をする
けど、この時に俺はサトルと橘さんが一切目を合わせなかったということに、俺は気付いてしまった。
その二人を気にしつつも、とにかく俺達はコックピットを出た。
申し訳ないけれど、いまだにゾーイに倒されて伸びているピッドブルのことに関しては起きる気配がなかったので、そのまま置いて来ることにした。
俺達はコックピットを出てから、とりあえず外を目指したが……
「何か、騒がしくないか?」
「僕も思ってた」
俺が足を止めてそう問いかけると、先頭を走っていたサトルもこちらを振り返って怪訝な顔を向ける。
外に近付けば近付くほど、その騒音は増すばかり……そう思った時だ。
「昴!」
「……え? あ、望にみんな!」
遠くから聞こえた聞き覚えのある声に振り返ると、廊下の向こうから手を振る望と、檻の前で分かれた全員の姿がそこにはあった。
すぐに、俺達はお互いに駆け寄った。
「望、無事か? ケガしてないか?」
「子どもじゃねえよ、俺は……」
「ハハハッ! 無論、全員無事だ!」
「途中で敵と鉢合わせて、少しヒヤッとしたけど、何とかね」
俺はすぐに望の安否を確かめるが、望には呆れたように流されてしまった。
それに続くようにハロルドは高らかに笑い声を上げて、ジェームズは苦笑いでそう告げる。
「他の生徒達は?」
「ゾーイの睨んだ通り、重機の保管倉庫に監禁されてたわ。とりあえず、下手に動き回らないように釘を刺して今は待機してもらってる」
「そっか。よかった……」
真由の問いかけに、クレアは柔らかく笑いながら答え、それに対して真由はホッとしたように胸を撫で下ろす。
「菜々美~! よかった~!」
「トラウマみたいになってないか?」
「うん! もう、みんながいるから大丈夫! ありがとう~!」
ソニアが橘さんに抱き着き、デルタは心配そうに眉を下げながら尋ねる。
それを聞いた橘さんはそれは嬉しそうに頷き、ソニアを抱き締めた。
「コタロウ、傷口開いてないか?」
「全然平気だって」
「それどころか、敵の百鬼夜行の連中相手に大立ち回りよ?」
レオはの不安そうな問いかけに、何とコタロウは呑気に笑って答える。
そのやり取りを聞いていたモカは、呆れたような口調で言い放った。
そんな風に、それぞれがそれぞれに再会に胸を躍らせていると……
「テメーら! 何でここにいやがる!」
シンの怒号が、それまでの騒がしさを一瞬で消し去った。
誰に言ったのかなんて、明白だった。
「これは、どういうことだ」
「……ゾーイが、連れて帰るって」
「また、それかよ……!?」
気まずいどころの話じゃないモーリスとフウタを睨みながらのアランの威圧感溢れる問いに、少し考えてからサトルは答えた。
それを聞いたシンは、頭を抱えて絶叫をする始末だった……
「そのゾーイは、どこにいる」
「わからないんだ」
「は?」
「こっちの話を完全に無視して、コックピットを飛び出して……けど、その時にゾーイは、僕達は合流してから外に出て止めろって……」
「止めろ? 一体、何をだ?」
「ごめん、それも知らなくて……」
俺達を見回して、ゾーイの不在を確認してから、アランはさらに尋ねた。
けど、サトルの答えに、アランは顔を歪めるばかり……本当にごめんよ。
「話はわかった。じゃあ、一先ずはコイツらのことは後回しにして、俺達は外に出るぞ」
少し考えてから、アランは顔を上げて俺達に告げる。
それから俺達は、大ホールに向かう。
俺達は、大ホールの展望フロアのベランダから外に出ることにした。
しかし、そこに広がる光景は、地獄そのものだった……
「何だよ、これ……?」
俺の小さすぎる呟きは、俺達の目の前の喧騒に一瞬で消えていった。
王国の犬族と猫族、百鬼夜行、先ほど解放された生徒達。
それらの全員による、戦争だった。
剣同士がぶつかり合う音、仄かに漂う発砲の煙、鼻をつまみたくなるほどの出血の臭いと、その場の全員の叫び。
その光景を、戦争という単語以外で表現できるなら教えてほしいほど……
これを止める? そんなこと無理だと思った……思ったんだ。
しかし、その習慣に響いた地面を抉るような激しい衝撃と、爆発みたいな音。
俺達は全員で、とっさに戦場からナサニエルの屋上に目をやる。
「ぞ、ゾーイ……!?!?」
そこにはナサニエルの屋根でバズーカを構えている、ゾーイがいた。
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