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第四章-⑵ ナサニエル墜落事件の真相
アイスルゥーアストーン
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「……このッ!! 揃いも揃って、偉そうにしやがって! 自分達が一番だって威張り散らしている、お前達のその態度が腹立つんだよ!」
「僕達は、現時点においての最善の策を選んだつもりだ! 申し訳ないけど、今回のことについて、誰であろうと一切の異論は認めないよ!」
群衆の中から誰かが、若干の言葉を詰まらせながら、またもやジェームズに非難するような言葉を叫ぶ。
誰よりも小さくて、気が弱く、頼りなさそうで、ビクビクと誰かの背に隠れて時が過ぎるのを待っていた。
それが、出会った頃のジェームズに対しての俺の印象だ。
けど、どうだろうか……俺の目の前に立つ人物は、同一人物のジェームズとは思えないほど、まるで違う。
はっきりと自分の意見を主張し、大勢の非難にも臆することもなく、大きな背中をしていた。
少しだけ、握り締めた拳は震えているけど、そんなこと気にならないよ。
見下ろしている群衆は、まさかの人物の反論に動揺し、一気にザワザワと騒がしさを増しているからな。
「何なんだ! お前なんか、家の名前でナサニエルに入った、コネまみれの落ちこぼれじゃねえか! 立場の強い奴らと仲良くなったからって、自分まで調子に乗ってんじゃねえよ……ッ!!」
しかし、この事態がそう簡単に収まるはずもなかった……
「はっ……!? ジェームズ、避けろ!!」
「……え?」
俺が声を上げた時には、それはあと少しのところまで迫っていた……
四方八方から飛ぶ非難の声に夢中になっており、それへの反応が遅れた。
群衆の中の誰かが、すごい勢いで一直線に何かをジェームズへと投げたのだ。
ジェームズは俺の声に振り返り、その他のみんなも俺の声に反応して、俺の視線をたどった。
そして、その視線の先に気が付くと同時に、全員の顔が真っ青に染まって、全員でジェームズを守らんとばかりに走り出すが……これ間に合わねえ!
「きゃあああああああああああ!!」
誰かの悲痛な悲鳴と同時に、鈍い音が辺りに響いた。
「え、なっ……!?」
けど、俺は……俺達は、目の前の一瞬の出来事に言葉を失っていた。
「……お前ら本当に成長しねえな。ガキばっかりで嫌になるわ」
そして、そんな静まり返った張り裂けそうな空気を破ったのは、その空気を作り出した張本人の……
「……シン? シン、しっかり……!! 大丈夫!? ねえってば!!」
「ジェームズ、心配すんな。お前とは鍛え方が違うんだよ」
ジェームズが今にも泣きそうな声で必死にその人物の……シンの名前を呼ぶ。
それに対してシンは、ジェームズを軽く小突きながらへらりと笑って、その場に立ち上がって、群衆を見下ろした。
「どうして、俺達がこの状況の指揮を取り、何もかもを決めるのか、わざわざ教えないとわからねえか? こういう風に自分の中の正義だとか、クソみたいなことを理由にして、平気で他人のことを傷付ける奴が、お前らの中にまだまだ腐るほどいるからだよ」
聞いただけでその場が凍るような、縛り付けられるような、そんな錯覚に陥るほどの絶対零度の声を、シンは群衆に吐き出した。
何が投げられたか……その正体は、俺の拳ほどの大きさの石であった。
俺が間に合わないと思った、何ならこの場の誰もが間に合わないと思っていたのに……シンはジェームズを庇って、自分の背中に石を受けたのだ。
「ジェームズは強いぞ? まあ、少なくとも、今この石を投げた奴とは天と地ほどの差がある。誰であろうと、俺の仲間に手出す奴は許さねえからな?」
血の気が多くて、考えるより先に手が出るような、口が悪くて喧嘩早いという関わりたくないタイプ。
それが、出会った頃のシンに対しての俺の印象だ。
当初のシンは、アラン至上主義って感じで、ある意味わかりやすい人によって態度を変えるような奴だった。
まあ、今でも根本のところは変わってはいないとは思うけど、シンは誰かのことを守るために自分で行動するようになった。
何よりも、よく考えるようになり、単細胞と言われてた頃とはえらい違いだ。
今も感情のままに行動するより、わざと冷静さを装って、不気味なぐらい静かにしている方が場の空気を支配できると考え、とても我慢しているのだろう。
その証拠に、シンの横顔には青筋が浮き出ている……あとが怖いな、これは。
「誰? この石を投げたのは?」
けど、シンの代わりにまさかの人物が怒り狂うとは思いもしなかったし、多分誰もが予想できていなかっただろう。
「大人しく名乗り出るなら、悪いようにはしないわ……さっさと、この処刑台に上がってきなさいよ!」
「お、おお、落ち着けって、真由!?」
「僕達は、現時点においての最善の策を選んだつもりだ! 申し訳ないけど、今回のことについて、誰であろうと一切の異論は認めないよ!」
群衆の中から誰かが、若干の言葉を詰まらせながら、またもやジェームズに非難するような言葉を叫ぶ。
誰よりも小さくて、気が弱く、頼りなさそうで、ビクビクと誰かの背に隠れて時が過ぎるのを待っていた。
それが、出会った頃のジェームズに対しての俺の印象だ。
けど、どうだろうか……俺の目の前に立つ人物は、同一人物のジェームズとは思えないほど、まるで違う。
はっきりと自分の意見を主張し、大勢の非難にも臆することもなく、大きな背中をしていた。
少しだけ、握り締めた拳は震えているけど、そんなこと気にならないよ。
見下ろしている群衆は、まさかの人物の反論に動揺し、一気にザワザワと騒がしさを増しているからな。
「何なんだ! お前なんか、家の名前でナサニエルに入った、コネまみれの落ちこぼれじゃねえか! 立場の強い奴らと仲良くなったからって、自分まで調子に乗ってんじゃねえよ……ッ!!」
しかし、この事態がそう簡単に収まるはずもなかった……
「はっ……!? ジェームズ、避けろ!!」
「……え?」
俺が声を上げた時には、それはあと少しのところまで迫っていた……
四方八方から飛ぶ非難の声に夢中になっており、それへの反応が遅れた。
群衆の中の誰かが、すごい勢いで一直線に何かをジェームズへと投げたのだ。
ジェームズは俺の声に振り返り、その他のみんなも俺の声に反応して、俺の視線をたどった。
そして、その視線の先に気が付くと同時に、全員の顔が真っ青に染まって、全員でジェームズを守らんとばかりに走り出すが……これ間に合わねえ!
「きゃあああああああああああ!!」
誰かの悲痛な悲鳴と同時に、鈍い音が辺りに響いた。
「え、なっ……!?」
けど、俺は……俺達は、目の前の一瞬の出来事に言葉を失っていた。
「……お前ら本当に成長しねえな。ガキばっかりで嫌になるわ」
そして、そんな静まり返った張り裂けそうな空気を破ったのは、その空気を作り出した張本人の……
「……シン? シン、しっかり……!! 大丈夫!? ねえってば!!」
「ジェームズ、心配すんな。お前とは鍛え方が違うんだよ」
ジェームズが今にも泣きそうな声で必死にその人物の……シンの名前を呼ぶ。
それに対してシンは、ジェームズを軽く小突きながらへらりと笑って、その場に立ち上がって、群衆を見下ろした。
「どうして、俺達がこの状況の指揮を取り、何もかもを決めるのか、わざわざ教えないとわからねえか? こういう風に自分の中の正義だとか、クソみたいなことを理由にして、平気で他人のことを傷付ける奴が、お前らの中にまだまだ腐るほどいるからだよ」
聞いただけでその場が凍るような、縛り付けられるような、そんな錯覚に陥るほどの絶対零度の声を、シンは群衆に吐き出した。
何が投げられたか……その正体は、俺の拳ほどの大きさの石であった。
俺が間に合わないと思った、何ならこの場の誰もが間に合わないと思っていたのに……シンはジェームズを庇って、自分の背中に石を受けたのだ。
「ジェームズは強いぞ? まあ、少なくとも、今この石を投げた奴とは天と地ほどの差がある。誰であろうと、俺の仲間に手出す奴は許さねえからな?」
血の気が多くて、考えるより先に手が出るような、口が悪くて喧嘩早いという関わりたくないタイプ。
それが、出会った頃のシンに対しての俺の印象だ。
当初のシンは、アラン至上主義って感じで、ある意味わかりやすい人によって態度を変えるような奴だった。
まあ、今でも根本のところは変わってはいないとは思うけど、シンは誰かのことを守るために自分で行動するようになった。
何よりも、よく考えるようになり、単細胞と言われてた頃とはえらい違いだ。
今も感情のままに行動するより、わざと冷静さを装って、不気味なぐらい静かにしている方が場の空気を支配できると考え、とても我慢しているのだろう。
その証拠に、シンの横顔には青筋が浮き出ている……あとが怖いな、これは。
「誰? この石を投げたのは?」
けど、シンの代わりにまさかの人物が怒り狂うとは思いもしなかったし、多分誰もが予想できていなかっただろう。
「大人しく名乗り出るなら、悪いようにはしないわ……さっさと、この処刑台に上がってきなさいよ!」
「お、おお、落ち着けって、真由!?」
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