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第四章-⑵ ナサニエル墜落事件の真相
それはとても勇気のいること
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「私達のことが気に入らないのは、百歩譲ってしょうがないわ! けど、こんな大きい石を投げて、当たりどころが悪かったらどうなるか考えられないぐらい頭の悪い人間がいるのよね!? 本当に、信じられないわ!」
気付いた時には真由は処刑台から身を乗り出す勢いで、群衆に向かって怒りを爆発させまくっていた。
慌てて最大の被害者であるはずのジェームズとシンが、真由のことを抑えてくれなかったら、今頃の真由は群衆の中に飛び込んでいただろう……
「真由!? 僕が言うのもあれだけど、全然大丈夫だよ!?」
「そ、そうだ! 何だろな……幸いなことにジェームズは無事だしよ? 俺も背中が痣になるとかで済むと思うし……」
「二人は黙っててくれないかしら!?」
「ご、ごめん……!!」
「俺達、被害者のはずだけど!?」
まあ、真由の怒りは思ってたよりも相当なようで、ジェームズとシンがそれは必死こいて真由の怒りを宥めてるけど、逆になぜか真由に二人がブチ切れられるという謎な状況に陥っている。
おまけにだ、真由があまりにもブチ切れてるから、当事者のはずのジェームズとシンをはじめとして、俺達は完全に自分の中の怒りを忘れてしまっている。
俺達でさえそんななのだから、真由のこんな状態を初めて見た群衆はそれは怯えていた……
最近では、すっかり真由は医療科のリーダーとしての活躍から、現代に蘇ったナイチンゲールだとか言われて、人気爆発してたからな、ギャップかな?
個人的には、そんなミーハーな奴らにざまあみろと言いたいとこだけどね、彼氏はあくまで俺だし。
「昴、彼氏でしょ? 止めなよ……」
「それを言うなら、菜々美だって真由の親友だろうよ……」
「……触らぬ真由に祟りなしだな」
すると、菜々美が横から、俺の脇腹を小突きながらそう言ってくるので、丁重に受け流しておいた。
その後の望の言葉の通り、こうなった真由を止めることは難しいんだ、時が過ぎるのを待とう……うん。
けど、ずっと一緒だけど、真由もこの数か月で変わったと思う。
一見すると、誰とでも分け隔てなく仲良くなれる真由だけど、割と人から嫌われることを恐れて、引っ込み思案で人に気を遣いすぎるところがある。
だから、こんな風に我を忘れてその他大勢に怒り狂うなんて、よっぽど気心の知れた相手でなければありえなくて……
それほど、真由の中で、他人にどう思われようと大事な仲間を傷付けられたことが許せなかったんだろうな。
「真由、頭冷やせって」
「はあ!? 私は十分に冷静よ、昴!」
「そんなわけないだろ……」
けど、さすがに、そろそろ落ち着かせようと思って声をかけるが、俺の声に振り返った真由の顔は見たことないほどに怒りに満ちたものだった。
それを見た全員の顔が引きつっていることが、見なくてもわかる……
とりあえず、俺は真由を後ろに下げて諭そうと思ったのだが、その前に意外な人物によって事態は終わりを告げることになる。
「真由、そのぐらいにしておけ」
真由の左肩に手を置き、淡々とそう忠告したのは……アランだった。
「気持ちはわかる。とりあえず、シンの背中を診てやってくれ」
「……わかった、ごめん」
「お前は、何も悪くないだろ。この場は俺が引き継ぐ」
静かだけど、重たく響き渡るアランの言葉の一つ一つに、緊張が走る。
アランの言葉に対し、真由はバツが悪そうに後ろに下がってきた。
しかし、そんな真由に投げかけられたアランの声は、これ以上ないほど優しく穏やかなものだったことは確かだ。
思わず、真由は振り返ったし、慌てて俺達もアランに視線を移したのだが、見えたのは背中だけで、アランがどんな表情をしていたのかはわからなかった。
けど、群衆から放たれる空気は俺達のそれとは打って変わって、重く息が詰まりそうになるもの……
「俺達という存在に、不満があるか?」
心臓が飛び出そうになるのは、本当に久しぶりだった。
アランのその言葉で、空気が変わる。
きっと、群衆にはさっきの真由とは桁外れのプレッシャーと恐怖が、そこら中に蔓延していることだろう。
まるで、地の底から這いずり出てくるような、不気味な感覚だ。
その証拠に、さっきまでは不平不満を好き勝手に発言していたのであろう連中の顔色が、わかりやすく悪くなってる。
この処刑台から見下ろしててもわかるくらいだから、数人は確実にあと数秒で倒れても不思議じゃないほどだ……
ゾーイとはまた別の種類の怖さが、アラン・ロジャーにはある。
さっき真由に、この場は引き継ぐって言ってたけど……
そうやって、俺が必死に冷静を装って考えている間に、事態は思わぬ展開へと進んでいた。
俺はその光景に……いや、誰もが己のの目を疑っただろう。
あの、アラン・ロジャーが、群衆に頭を下げているなんて――
気付いた時には真由は処刑台から身を乗り出す勢いで、群衆に向かって怒りを爆発させまくっていた。
慌てて最大の被害者であるはずのジェームズとシンが、真由のことを抑えてくれなかったら、今頃の真由は群衆の中に飛び込んでいただろう……
「真由!? 僕が言うのもあれだけど、全然大丈夫だよ!?」
「そ、そうだ! 何だろな……幸いなことにジェームズは無事だしよ? 俺も背中が痣になるとかで済むと思うし……」
「二人は黙っててくれないかしら!?」
「ご、ごめん……!!」
「俺達、被害者のはずだけど!?」
まあ、真由の怒りは思ってたよりも相当なようで、ジェームズとシンがそれは必死こいて真由の怒りを宥めてるけど、逆になぜか真由に二人がブチ切れられるという謎な状況に陥っている。
おまけにだ、真由があまりにもブチ切れてるから、当事者のはずのジェームズとシンをはじめとして、俺達は完全に自分の中の怒りを忘れてしまっている。
俺達でさえそんななのだから、真由のこんな状態を初めて見た群衆はそれは怯えていた……
最近では、すっかり真由は医療科のリーダーとしての活躍から、現代に蘇ったナイチンゲールだとか言われて、人気爆発してたからな、ギャップかな?
個人的には、そんなミーハーな奴らにざまあみろと言いたいとこだけどね、彼氏はあくまで俺だし。
「昴、彼氏でしょ? 止めなよ……」
「それを言うなら、菜々美だって真由の親友だろうよ……」
「……触らぬ真由に祟りなしだな」
すると、菜々美が横から、俺の脇腹を小突きながらそう言ってくるので、丁重に受け流しておいた。
その後の望の言葉の通り、こうなった真由を止めることは難しいんだ、時が過ぎるのを待とう……うん。
けど、ずっと一緒だけど、真由もこの数か月で変わったと思う。
一見すると、誰とでも分け隔てなく仲良くなれる真由だけど、割と人から嫌われることを恐れて、引っ込み思案で人に気を遣いすぎるところがある。
だから、こんな風に我を忘れてその他大勢に怒り狂うなんて、よっぽど気心の知れた相手でなければありえなくて……
それほど、真由の中で、他人にどう思われようと大事な仲間を傷付けられたことが許せなかったんだろうな。
「真由、頭冷やせって」
「はあ!? 私は十分に冷静よ、昴!」
「そんなわけないだろ……」
けど、さすがに、そろそろ落ち着かせようと思って声をかけるが、俺の声に振り返った真由の顔は見たことないほどに怒りに満ちたものだった。
それを見た全員の顔が引きつっていることが、見なくてもわかる……
とりあえず、俺は真由を後ろに下げて諭そうと思ったのだが、その前に意外な人物によって事態は終わりを告げることになる。
「真由、そのぐらいにしておけ」
真由の左肩に手を置き、淡々とそう忠告したのは……アランだった。
「気持ちはわかる。とりあえず、シンの背中を診てやってくれ」
「……わかった、ごめん」
「お前は、何も悪くないだろ。この場は俺が引き継ぐ」
静かだけど、重たく響き渡るアランの言葉の一つ一つに、緊張が走る。
アランの言葉に対し、真由はバツが悪そうに後ろに下がってきた。
しかし、そんな真由に投げかけられたアランの声は、これ以上ないほど優しく穏やかなものだったことは確かだ。
思わず、真由は振り返ったし、慌てて俺達もアランに視線を移したのだが、見えたのは背中だけで、アランがどんな表情をしていたのかはわからなかった。
けど、群衆から放たれる空気は俺達のそれとは打って変わって、重く息が詰まりそうになるもの……
「俺達という存在に、不満があるか?」
心臓が飛び出そうになるのは、本当に久しぶりだった。
アランのその言葉で、空気が変わる。
きっと、群衆にはさっきの真由とは桁外れのプレッシャーと恐怖が、そこら中に蔓延していることだろう。
まるで、地の底から這いずり出てくるような、不気味な感覚だ。
その証拠に、さっきまでは不平不満を好き勝手に発言していたのであろう連中の顔色が、わかりやすく悪くなってる。
この処刑台から見下ろしててもわかるくらいだから、数人は確実にあと数秒で倒れても不思議じゃないほどだ……
ゾーイとはまた別の種類の怖さが、アラン・ロジャーにはある。
さっき真由に、この場は引き継ぐって言ってたけど……
そうやって、俺が必死に冷静を装って考えている間に、事態は思わぬ展開へと進んでいた。
俺はその光景に……いや、誰もが己のの目を疑っただろう。
あの、アラン・ロジャーが、群衆に頭を下げているなんて――
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