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第四章-⑶ ラスボスとの直接対決
イケイケな元不良集団
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「ゾーイ。ということは、作戦の変更のオーダーは、私が必ず祖父のもとにたどり着くことでよかったかしら?」
緊張した面持ちで話すローレンさんの言葉は、和んだ空気を一蹴する。
全員の気持ちが切り替わっただろう。
俺達はこれから、ゲームで言うとこのラストステージに挑むんだから……
「そうね。あと……もう一つ、追加のオーダーしてもいい?」
ローレンさんの言葉に静かに頷くゾーイだったが、またすぐに顔を上げて、気のせいだろうか……
質問をするその顔は、まっすぐに俺と目を合わせていた。
「マイルズ首相と対峙する時、そこにはあたしはもちろんだけど、昴もいて」
「……え、俺が?」
間抜けな声が出たと同時に、俺は気のせいじゃなかったのだと、冷静に悟る。
ゾーイは、紛れもなく俺に作戦のオーダーを出したんだ。
「それと、昴を守るのは……望? その役目、あんたがお願いね?」
「しょうがねえな……ワレモノ注意で送り届けてやるよ」
「よろしく……昴は? 頼める?」
その後に、ゾーイは望にも追加の作戦のオーダーを出し、望は少し驚いた後でニヤリと笑ってそう告げる。
ゾーイはそれを受け取ると、また視線は俺へと移る。
全員の視線さえ、俺に集中してるのがわかる。
どうして、そこに俺が必要なのか、理由は何なのかとか、とにかく言いたいことは山ほどあったが、そんなこと今は重要ではなく……俺の答えは一つだ。
「ああ、わかった」
口角が上がるのがわかる……それは恐怖か、緊張か、わからないけど。
君が俺のことを必要だと言うなら、俺は喜んで女王様の前に跪くよ。
「それと、全員に、約束をしてほしいことがあるわ……誰かが遅れたり、倒れたり、離れたりした時に、それがたとえ、身内、親友、恋人だったとしても……絶対に止まらないで」
そして、俺の返事を聞いて、さあ出発しようかという時に、またゾーイが俺達の足を引き止める。
けど、そのゾーイは、今まで見たことのない無表情で、静かに告げた。
わかってる……絶対に、君は声には出さないけど、俺達に聞いてる。
これから行くところはそういう現実が待っている場所だと、それでもいいのかと……その言葉の裏には、今なら引き返せるぞなんて意味が込められてる。
ゾーイ、やっぱりわかってないよ、俺達には逃げるなんて選択肢はないんだ。
「それじゃ、行くよ?」
誰も何も言わないことと、一切表情を変えないことを、ゾーイは返事と受け取ったようで、ニヤリと笑う。
俺達全員は、先陣を切るその小さくて大きな存在の背中を追って、地下室を脱出した。
何度も地図で確認した、敵の居場所は最上階の四階にある右奥の部屋。
そこに、ローレンさん、ゾーイ、俺は絶対だとしても、できることなら全員で向かいたいと全員が思っていたが、早々にその思いは打ち砕かれ、現実を知ることになる。
「……案の定、待ち伏せとなるよな?」
サトルの呆れたような物言いは、この場の雰囲気には、不釣り合いだった。
俺達は地下室を出てから、長い廊下を猛ダッシュで突っ切った。
その廊下に、誰も人がいないことの意味を頭の片隅で考えながら、やがてフロントのような大広間に出たところで、俺達は十数人の警備員に囲まれた。
「まあ、ここまでの道に誰も人がいなかったとなれば、全員で先回りをしているというのは、予想通りのことです」
「緊急で、一階フロアの人間すべてを集めたのだろうな……!!」
こんな状況でも余裕のある冷静な口調のモーリスと、震えながらもしっかりと立っているハロルド。
「そしたら、また人が集まるのも時間の問題よね……」
「どうする!? また強行突破する!?」
クレアが苦悶の表情を見せる横で、真由はどうするのかと叫ぶ。
こうなるだろうことは想定の範囲内だけど、さすがに全員で足止めをするのは部が悪すぎる。
何か、ゾーイみたいに上手いこと場をコントロールして、意識を逸らすとか?
それぞれがどうするかを考え、答えを導き出そうとしていたと思う……そんな時だった。
「先に行け。ここは俺達が抑えておく」
「時間は有限だからな。ボサッとしてるとなくなるぞ?」
アランとデルタが、静かに俺達の前に出たのだ。
「アラン!? デルタも何言ってるの!?」
すかさず、ジェームズが二人に声を上げたが……無情にも、さらにその横を通り過ぎる二人の影があった。
「サバイバルの成果、ここで試すか」
「暴れすぎて、物とか壊さないでよ?」
「そんな……シンとソニアまで!」
影の正体はシンとソニアで……そんな二人の影に叫ぶ菜々美。
チーム・ロジャー全員が、ここに残ると言い出したのだ。
「四人とも、悪い冗談だよな!?」
「こんなところで、カッコつけてる場合じゃねえぞ!?」
意味がわからなくて、こんなに早く別れることになるなんて……気付けば、俺は四人に答えを求めていた。
隣では望も怒鳴っていたが、背中を向けた四人が俺達の声に振り返ることはなくて……
「シン……ッッ!!!!」
そんな状況で突然響いた声は、ゾーイのものだったのだが……
なぜか、ゾーイはシンただ一人の名前を呼んだのだ。
「シン! あたしの話、覚えてる!?」
「あれを……ここでやるのか!?」
「地図は頭に叩き込んだんでしょ!?」
「……ゾーイ。お前はいつだって、本当に無茶ぶりなんだよ!」
名指しされたシンは、声も出ないほど驚いていたが、目の前で繰り広げられる俺達が理解できないゾーイの話をシンだけは理解したようだった。
また何かを企んでる? まあ、それは今聞くことじゃないな。
「ゾーイ! 四人は……!!」
真由の言葉を聞かず、ゾーイは四人が警備員を抑えている隙に、階段を上る。
ああ、決めたんだ、ゾーイは四人をここに置いて行くと……
再度、俺はアラン、デルタ、シン、ソニアを振り返る。
お前達が開けてくれたこの道を、俺は進まないとだよな? チーム・ロジャーは、本当にかっこいいよ。
「行くよ。あの不良集団の思いを無駄にしないためにもね」
緊張した面持ちで話すローレンさんの言葉は、和んだ空気を一蹴する。
全員の気持ちが切り替わっただろう。
俺達はこれから、ゲームで言うとこのラストステージに挑むんだから……
「そうね。あと……もう一つ、追加のオーダーしてもいい?」
ローレンさんの言葉に静かに頷くゾーイだったが、またすぐに顔を上げて、気のせいだろうか……
質問をするその顔は、まっすぐに俺と目を合わせていた。
「マイルズ首相と対峙する時、そこにはあたしはもちろんだけど、昴もいて」
「……え、俺が?」
間抜けな声が出たと同時に、俺は気のせいじゃなかったのだと、冷静に悟る。
ゾーイは、紛れもなく俺に作戦のオーダーを出したんだ。
「それと、昴を守るのは……望? その役目、あんたがお願いね?」
「しょうがねえな……ワレモノ注意で送り届けてやるよ」
「よろしく……昴は? 頼める?」
その後に、ゾーイは望にも追加の作戦のオーダーを出し、望は少し驚いた後でニヤリと笑ってそう告げる。
ゾーイはそれを受け取ると、また視線は俺へと移る。
全員の視線さえ、俺に集中してるのがわかる。
どうして、そこに俺が必要なのか、理由は何なのかとか、とにかく言いたいことは山ほどあったが、そんなこと今は重要ではなく……俺の答えは一つだ。
「ああ、わかった」
口角が上がるのがわかる……それは恐怖か、緊張か、わからないけど。
君が俺のことを必要だと言うなら、俺は喜んで女王様の前に跪くよ。
「それと、全員に、約束をしてほしいことがあるわ……誰かが遅れたり、倒れたり、離れたりした時に、それがたとえ、身内、親友、恋人だったとしても……絶対に止まらないで」
そして、俺の返事を聞いて、さあ出発しようかという時に、またゾーイが俺達の足を引き止める。
けど、そのゾーイは、今まで見たことのない無表情で、静かに告げた。
わかってる……絶対に、君は声には出さないけど、俺達に聞いてる。
これから行くところはそういう現実が待っている場所だと、それでもいいのかと……その言葉の裏には、今なら引き返せるぞなんて意味が込められてる。
ゾーイ、やっぱりわかってないよ、俺達には逃げるなんて選択肢はないんだ。
「それじゃ、行くよ?」
誰も何も言わないことと、一切表情を変えないことを、ゾーイは返事と受け取ったようで、ニヤリと笑う。
俺達全員は、先陣を切るその小さくて大きな存在の背中を追って、地下室を脱出した。
何度も地図で確認した、敵の居場所は最上階の四階にある右奥の部屋。
そこに、ローレンさん、ゾーイ、俺は絶対だとしても、できることなら全員で向かいたいと全員が思っていたが、早々にその思いは打ち砕かれ、現実を知ることになる。
「……案の定、待ち伏せとなるよな?」
サトルの呆れたような物言いは、この場の雰囲気には、不釣り合いだった。
俺達は地下室を出てから、長い廊下を猛ダッシュで突っ切った。
その廊下に、誰も人がいないことの意味を頭の片隅で考えながら、やがてフロントのような大広間に出たところで、俺達は十数人の警備員に囲まれた。
「まあ、ここまでの道に誰も人がいなかったとなれば、全員で先回りをしているというのは、予想通りのことです」
「緊急で、一階フロアの人間すべてを集めたのだろうな……!!」
こんな状況でも余裕のある冷静な口調のモーリスと、震えながらもしっかりと立っているハロルド。
「そしたら、また人が集まるのも時間の問題よね……」
「どうする!? また強行突破する!?」
クレアが苦悶の表情を見せる横で、真由はどうするのかと叫ぶ。
こうなるだろうことは想定の範囲内だけど、さすがに全員で足止めをするのは部が悪すぎる。
何か、ゾーイみたいに上手いこと場をコントロールして、意識を逸らすとか?
それぞれがどうするかを考え、答えを導き出そうとしていたと思う……そんな時だった。
「先に行け。ここは俺達が抑えておく」
「時間は有限だからな。ボサッとしてるとなくなるぞ?」
アランとデルタが、静かに俺達の前に出たのだ。
「アラン!? デルタも何言ってるの!?」
すかさず、ジェームズが二人に声を上げたが……無情にも、さらにその横を通り過ぎる二人の影があった。
「サバイバルの成果、ここで試すか」
「暴れすぎて、物とか壊さないでよ?」
「そんな……シンとソニアまで!」
影の正体はシンとソニアで……そんな二人の影に叫ぶ菜々美。
チーム・ロジャー全員が、ここに残ると言い出したのだ。
「四人とも、悪い冗談だよな!?」
「こんなところで、カッコつけてる場合じゃねえぞ!?」
意味がわからなくて、こんなに早く別れることになるなんて……気付けば、俺は四人に答えを求めていた。
隣では望も怒鳴っていたが、背中を向けた四人が俺達の声に振り返ることはなくて……
「シン……ッッ!!!!」
そんな状況で突然響いた声は、ゾーイのものだったのだが……
なぜか、ゾーイはシンただ一人の名前を呼んだのだ。
「シン! あたしの話、覚えてる!?」
「あれを……ここでやるのか!?」
「地図は頭に叩き込んだんでしょ!?」
「……ゾーイ。お前はいつだって、本当に無茶ぶりなんだよ!」
名指しされたシンは、声も出ないほど驚いていたが、目の前で繰り広げられる俺達が理解できないゾーイの話をシンだけは理解したようだった。
また何かを企んでる? まあ、それは今聞くことじゃないな。
「ゾーイ! 四人は……!!」
真由の言葉を聞かず、ゾーイは四人が警備員を抑えている隙に、階段を上る。
ああ、決めたんだ、ゾーイは四人をここに置いて行くと……
再度、俺はアラン、デルタ、シン、ソニアを振り返る。
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「行くよ。あの不良集団の思いを無駄にしないためにもね」
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