真!異世界転生×ユニークスキル 【地球ショッピング】で無双する!?

月神世一

文字の大きさ
7 / 17

EP 7

しおりを挟む
初仕事はゴブリン退治?いいえ、環境破壊です
​ 翌朝。
 激安の宿屋の万年床で、優太はカオスな寝言の合唱で目を覚ました。
​「優太さん……もう食べられませんぅ……。この人参は二人で半分こしましょう……むにゃむにゃ……」
​ キャルルが幸せそうな顔で、優太の腕を人参代わりに抱きしめている。それは可愛い。非常に癒やされる光景だ。
 だが、反対側は地獄だった。
​「う~ん……このトカゲ、お尻から食べたら脂が乗ってて美味しそうですぅ……あむっ」
「ギャッ!? や、やめろぉ……勘弁してくれぇ……ンゴゴゴ……」
​ ルナが寝ぼけながら、イグニスの太い尻尾に本気で噛みついている。
 イグニスは悪夢にうなされながら、白目を剥いて痙攣していた。
​「……朝だぞ。突っ込み所が多すぎて処理しきれん。起きろ~!!」
​ 優太は叫び、強引に三人を叩き起こした。
​ ◇
​ 朝食は、優太が【地球ショッピング】で取り寄せた食材で作った『エッグトースト』だ。
 食パンの真ん中をくり抜き、フライパンで卵を落として焼いただけのシンプルな男飯だが、マヨネーズと塩コショウの味付けはこの世界では革命的だった。
​「んんっ! この半熟の卵と、サクサクのパンのハーモニー! 絶品ですわ!」
「優太、おかわりだ! あと十枚!」
「私も……あと一枚だけ……」
​ あっという間に平らげた三人を前に、優太はコーヒーを啜りながら本題を切り出した。
​「さて、これからの方針だが……。俺たちは昨日の騒動で一文無しだ。先立つ物がない。つまり、マネーが必要だ」
​ 優太が深刻な顔で言うと、イグニスがドンとテーブルを叩いた。
​「よぉっし! なら一発デカイ事をしようぜ! 竜の巣に乗り込んでお宝を奪うとかよ!」
「却下だ。死ぬわ」
​ 優太が即答する。
 続いてキャルルがおずおずと手を挙げた。
​「ま、まずは手頃な事から始めませんか? 薬草採取とか……」
「そうだな。キャルルは堅実でいい子だ」
​ 優太がうんうんと頷いていると、ルナが優雅に紅茶を飲みながら口を挟んだ。
​「あら、お金なんて作れば良いんですわ。石ころなら外に沢山ありますし」
「「「それは犯罪だ!!!」」」
​ 優太、キャルル、イグニスの三人が同時に突っ込んだ。
 このエルフ、全く反省していない。
​ ◇
​ 結局、まともな稼ぎ口を探すために、一行は冒険者ギルドへと向かった。
 掲示板の前で、優太は依頼書を吟味する。
​「えっと……ゴブリン退治、ゴブリン退治……。初心者向けで、かつ数で稼げるやつがいいんだが」
「あ、有りましたよ優太さん!」
​ キャルルが一枚の羊皮紙を指差した。
 『森の浅瀬にてゴブリンの群れ発生。討伐求む。一匹につき銅貨五枚』。
 地味だが、今の彼らには丁度いいリハビリ案件だ。
​「よし、これにしよう」
​ ◇
​ 街の外、鬱蒼とした森の中。
 優太たちはゴブリンの集落を発見し、戦闘を開始していた。
​「ガハハハ! ゴブリンなんざ敵じゃねぇぜ! 吹き飛べぇ!」
​ イグニスが人間大ほどもある両手斧を軽々と振り回す。
 技術も何もない。ただの暴力的な旋風だ。
 ゴブリンたちは悲鳴を上げる間もなく、ボールのように森の彼方へ吹っ飛んでいく。
​「キャルルも行きます! 月華流(げっかりゅう)……『月衝撃(ムーン・インパクト)』!」
​ キャルルも負けていない。
 華奢な身体からは想像できない踏み込みで懐に入り、闘気を纏わせたダブルトンファーを叩き込む。
 ドォン! と重い音が響き、ゴブリンが地面にめり込んだ。
​「皆強いなぁ……」
​ 優太は感心しながら、少し離れた位置で長い木の棒を構えていた。
 彼の役割は指揮と衛生兵だ。無理に前には出ず、近づいてきたゴブリンを棒のリーチで牽制し、追い払う。
 それが、現代戦術を知る者の「死なない戦い方」だったのだが――。
​ 後方にいたルナには、それが違って見えたらしい。
​「大変! 優太さんがゴブリンに囲まれてピンチですわ!」
​ ただ二匹のゴブリンと対峙しているだけなのだが、ルナの目には絶体絶命に見えたようだ。
 彼女は世界樹の杖を高く掲げた。
​「私が助けます! 消し炭になりなさい! 極大爆炎魔法――『インフェルノ』ッ!!」
「は……?」
​ 優太が振り返った瞬間、視界が真っ赤に染まった。
 ゴブリン退治には過剰すぎる、戦略級の巨大な火球が放たれたのだ。
​「待て馬鹿やめろォォォォォッ!!」
「ピンチじゃない! ゴブリン退治で出す技じゃないぃぃぃ!!」
​ ズドォォォォォォォォン!!
​ 爆音と共に、ゴブリンどころか、森の一角がクレーターに変わった。
 舞い上がる黒煙。燃え広がる木々。
​「おほほ! やりましたわ! 優太さん、無事ですか?」
「無事なわけあるか!! 山火事になるだろ!!」
​ 優太は涙目で【地球ショッピング】のウィンドウを開いた。
 戦闘で稼ぐはずの報酬が、消火活動で消えていく未来が見えた。
​「購入! 『業務用消火器』十本!! イグニス、キャルル! 戦闘中止だ! 消火作業開始ィィィ!!」
​ こうして、彼らの初仕事は「ゴブリン討伐」ではなく「消火活動」として幕を閉じたのであった。
 (※報酬は消火器代でマイナスになった)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界転移したら、神の力と無敵の天使軍団を授かったんだが。

猫正宗
ファンタジー
白羽明星は気付けば異世界転移しており、背に純白の六翼を生やした熾天使となっていた。 もともと現世に未練などなかった明星は、大喜びで異世界の大空を飛び回る。 すると遥か空の彼方、誰も到達できないほどの高度に存在する、巨大な空獣に守られた天空城にたどり着く。 主人不在らしきその城に入ると頭の中にダイレクトに声が流れてきた。 ――霊子力パターン、熾天使《セラフ》と認識。天界の座マスター登録します。……ああ、お帰りなさいルシフェル様。お戻りをお待ち申し上げておりました―― 風景が目まぐるしく移り変わる。 天空城に封じられていた七つの天国が解放されていく。 移り変わる景色こそは、 第一天 ヴィロン。 第二天 ラキア。 第三天 シャハクィム。 第四天 ゼブル。 第五天 マオン。 第六天 マコン。 それらはかつて天界を構成していた七つの天国を再現したものだ。 気付けば明星は、玉座に座っていた。 そこは天の最高位。 第七天 アラボト。 そして玉座の前には、明星に絶対の忠誠を誓う超常なる存在《七元徳の守護天使たち》が膝をついていたのだった。 ――これは異世界で神なる権能と無敵の天使軍団を手にした明星が、調子に乗ったエセ強者を相手に無双したり、のんびりスローライフを満喫したりする物語。

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

転生したらただの女の子、かと思ったら最強の魔物使いだったらしいです〜しゃべるうさぎと始める異世界魔物使いファンタジー〜

上村 俊貴
ファンタジー
【あらすじ】  普通に事務職で働いていた成人男性の如月真也(きさらぎしんや)は、ある朝目覚めたら異世界だった上に女になっていた。一緒に牢屋に閉じ込められていた謎のしゃべるうさぎと協力して脱出した真也改めマヤは、冒険者となって異世界を暮らしていくこととなる。帰る方法もわからないし特別帰りたいわけでもないマヤは、しゃべるうさぎ改めマッシュのさらわれた家族を救出すること当面の目標に、冒険を始めるのだった。 (しばらく本人も周りも気が付きませんが、実は最強の魔物使い(本人の戦闘力自体はほぼゼロ)だったことに気がついて、魔物たちと一緒に色々無双していきます) 【キャラクター】 マヤ ・主人公(元は如月真也という名前の男) ・銀髪翠眼の少女 ・魔物使い マッシュ ・しゃべるうさぎ ・もふもふ ・高位の魔物らしい オリガ ・ダークエルフ ・黒髪金眼で褐色肌 ・魔力と魔法がすごい 【作者から】 毎日投稿を目指してがんばります。 わかりやすく面白くを心がけるのでぼーっと読みたい人にはおすすめかも? それでは気が向いた時にでもお付き合いください〜。

処理中です...