スキル『100円ショップ』で異世界暮らし。素材回収でポイント貯めて、美味しいご飯と便利グッズで美少女たちとスローライフを目指します

月神世一

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EP 16

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戦利品と、至高のツナマヨおにぎり
​戦闘が終わると、慣れた手つきでライザが事後処理を始めた。
彼女は短剣を使い、絶命したゴブリンから証明部位である「耳」と、胸のあたりから小さな魔石を切り出した。
​「うっ……」
​太郎は少し顔を背けたが、これも冒険者として生きるための現実だ。
​「魔石は魔導具の燃料になりますから、良い金になりますよ。耳はギルドでの討伐証明です」
​「ありがとう、ライザ。……じゃあ、残りは僕が処理するね」
​太郎はウィンドウを開き、無残な姿になったゴブリンの死体に手をかざした。
​【 ゴブリンの死骸 ×3:回収 → 300P 】
​光の粒子となって死体が消滅し、太郎のポイント残高が増えた。
100Pの画鋲を使って300Pの回収。さらに換金アイテムまで手に入ったのだから、収支は完全に黒字だ。
森も汚れず、一石三鳥である。
​「ふぅ……」
​緊張が解けた瞬間、太郎の腹の虫が盛大に鳴り響いた。
​グゥゥゥゥ~~……。
​森に響く間の抜けた音に、ライザがクスクスと笑った。
​「フフ、お昼ごはんはまだ食べて居ませんからね。あんなに動いた後ですし」
​「あはは……恥ずかしい」
​「私もぉ。お腹空いたよねぇ~」
​サリーがへなへなと座り込む。
時刻は正午を過ぎている。ここらで休憩にするのが良さそうだ。
​「じゃあ、えっと……」
​太郎は『食品』カテゴリを開いた。
パンや缶詰もいいが、日本人の心、そしてコンビニ店員の魂(ソウル)フードといえばこれしかない。
​【 ふっくらおにぎり(ツナマヨネーズ):100P 】
【 手巻きおにぎり(紅鮭):100P 】
【 手巻きおにぎり(紀州南高梅):100P 】
​「よし」
​太郎の手元に、三角形のパッケージが現れた。
​「これは……ツナマヨのおにぎり。僕が一番好きな具だね。あとは梅干しとか鮭とかあるけど……」
​太郎が三種類のおにぎりを並べて見せると、二人の目が釘付けになった。
​「何ですか!? それ。黒い紙のような物に包まれた、白い塊……?」
​「三角形で可愛い! 良い匂いもしないけど……食べ物なの?」
​「うん。これは『海苔(のり)』と『米』を使った……」
​太郎が説明しようとしたその時。
​「た、食べたい! 太郎さん、それ検査します!」
​「私も! 毒見が必要よね!」
​空腹が限界だったサリーとライザは、有無を言わさず太郎の手からおにぎりを強奪した。
サリーは鮭を、ライザはツナマヨを手に持っている。
​「あっ、待って! それは開け方にコツが……!」
​「えいっ!」
​二人はパッケージの番号などお構いなしに、バリバリとフィルムを破った。海苔が少し破れたり、フィルムに残ったりしたが、なんとか中身の白米と海苔が合体する。
​「いただきます!」
​二人は大きく口を開け、おにぎりにかぶりついた。
​パリッ……モグモグ。
​その瞬間、二人の動きが止まった。
森の中に風が吹く音だけが聞こえる。
​そして――。
​「んんん~~っ!! 美味ひいいぃぃ!!」
​サリーが頬を抑えて叫んだ。
​「何この黒い紙! パリパリしてて磯の香りがして……中のお魚(鮭)がしょっぱくて、この白い穀物と最高に合うぅ!」
​一方、ツナマヨを食べたライザは、衝撃のあまり震えていた。
​「な、何ですか!? この美味しさは!?」
​ライザは半分のこったおにぎりを凝視した。
​「魚の旨味を、この……濃厚で酸味とコクのある『白いソース』が包み込んでいる……! 貴族の宴でもこんな味、食べたことがありませんわ! これは何というソースなのですか!?」
​「あぁ、それは『マヨネーズ』だよ。卵と油と酢で作った調味料で……」
​「マヨネーズ……! なんて罪深い味……!」
​ライザは恍惚とした表情で、残りのおにぎりを頬張った。
米の甘み、海苔の風味、そしてツナとマヨネーズの暴力的なまでの旨味。
異世界の食文化にはない「油脂と旨味」のコンボは、彼女たちの味覚中枢を完全に破壊していた。
​「梅干しも食べてみる?」
​太郎が自分の分の梅干しおにぎりを差し出すと、二人は猛獣のような速さで食いついた。
​「すっぱ! でも美味しい!」
「口の中がさっぱりして、いくらでも食べられそうですわ!」
​あっという間に、三人分のおにぎりは彼女たちの胃袋へと消えていった。
​「……僕の分、一口も食べてない気がするけど」
​「ごちそうさまでした! 太郎さん!」
​「気に入って貰えて良かったよ……ははは」
​満足げに膨れたお腹をさする二人を見て、太郎は苦笑いしながら、自分用にこっそり追加のツナマヨを購入するのだった。
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