スキル『100円ショップ』で異世界暮らし。素材回収でポイント貯めて、美味しいご飯と便利グッズで美少女たちとスローライフを目指します

月神世一

文字の大きさ
185 / 251
第四章 新たな秩序

EP 14

しおりを挟む
舞い降りた不死鳥、あるいは美しき処刑人
【ルナアシア大陸・グランディス王国上空】
赤黒い雲が空を覆い、酸鼻を極める血の雨が降り注ぐ地獄絵図。
その遥か上空に、空間を切り裂く衝撃波と共に三つの影が現れた。
「……やっと着いたのねぇ」
竜王デュークの背から、不死鳥フレアが優雅に、しかし呆れたようにため息をついた。
「これなら、私が飛んだ方が早かったわ。到着予定時刻より3分も遅れましたわよ?」
「やっぱりさー、最近ご主人と一緒にラーメン食いすぎで、体が重くなったんじゃない? メタボ竜王」
狼王フェリルがニシシと笑って追い打ちをかける。
「黙れ! 貴様ら!!」
デュークがこめかみに青筋を立てて怒鳴った。
「誰がメタボだ! 筋肉だ! えぇい、タダで乗せてやっておいて減らず口を!」
彼らにとって、眼下の地獄など散歩道程度のものでしかなかった。
フレアは地上を見下ろし、眉をひそめた。
「あらあら……。汚らしい雨。私の羽が汚れてしまいますわ」
「うへぇ、血の雨かよ。趣味悪いなー」
「まずは、この雨ねぇ。洗濯物が干せませんもの」
フレアはふわりとデュークの背から飛び立った。
次の瞬間、彼女の全身が紅蓮の炎に包まれる。
シュボォォォォォン!!
現れたのは、太陽よりも眩く輝く、巨大な**「不死鳥(フェニックス)」**の姿。
彼女は優雅に天空を舞った。
「消えなさい。『浄化の煌き(ピュリファイ・フレア)』」
カッ!!!!
フレアが翼を羽ばたかせると、そこから圧倒的な熱量と聖なる光が放たれた。
それは物理的な炎ではなく、邪悪なものを焼き払う概念的な光。
「な、何だと!?」
王都の上空に浮かんでいた魔王ヴァルスが、あまりの眩しさに腕で顔を覆った。
ジュワワワワ……!
世界を覆っていた分厚い血の雲が、一瞬にして蒸発し、消滅する。
グランディス王国に、数時間ぶりに青空と太陽が戻ってきた。
「ふふっ。ついでに大サービスですわ♡」
フレアはさらに燦々と輝きを増した。
空から降り注ぐのは、温かな黄金の光の粒子。それは、魔獣化して苦しむ人々の肌に染み込んでいく。
「ア……アァ……」
「ウウッ……!」
奇跡が起きた。
膨れ上がった筋肉が縮み、生えた牙が抜け落ち、濁った瞳に理性の光が戻る。
魔獣と化していた騎士や市民たちが、傷一つない状態で人の姿に戻っていく。
そればかりか、魔獣に襲われて息絶えていた者たちまでが、蘇生され、むくりと起き上がった。
「お、俺は……生きてる?」
「体が……元に戻った!?」
王宮のテラスで絶望していたアルフレッド国王も、その光景を見て震えた。
「うおおお……! すげえ……!」
「神だ……! 女神様が降臨されたんだ!!」
「奇跡だ! 神の奇跡だ!!」
王都中から歓喜の声が上がる。
彼らは知らない。その美しい鳥が、彼らが恐れていた「太郎国」からの使い魔であることを。
フレアは人の姿に戻り、ふわりとヴァルキュリアと同じように滞空しながら、眼下の民衆に手を振った。
「はいはい~。感謝するのは良いけど、邪魔だから早く逃げてくれないかしら?」
その声は美しいが、絶対的な命令の響きを含んでいた。
「ここから先は、教育的指導が入りますの。巻き込まれても知りませんわよ?」
民衆たちは意味もわからず、しかし本能的な畏怖を感じて一斉に避難を始めた。
広場には、呆然と立ち尽くす魔王ヴァルスと、笑顔のフレアだけが残る。
「さて……」
フレアは、ヴァルスに向き直った。
その妖艶な微笑みは崩さないまま、瞳だけが冷酷な捕食者の色を帯びる。
「貴方が魔王ヴァルスさん? おいたが過ぎますわねぇ」
「き、貴様は何者だ!? その力……ただの魔物ではないな!?」
ヴァルスが後ずさりする。本能が警鐘を鳴らしているのだ。
フレアは口元に手を当て、コロコロと笑った。
「あら、名乗るほどの者ではありませんわ。ただの一介の主婦(未遂)ですもの」
そして、スッと目を細めた。
「でも、この国の人たちをいじめて、旦那様(太郎)の顔に泥を塗ろうとした罪は重いですわよ?」
背後に、デュークとフェリルも降り立つ。
三柱の最強種による包囲網が完成した。
「さぁ、ヴァルスさん。たっぷり、怖~いお仕置きの話(フルコース)がありますから……逃しませんわよ?♡」
魔王ヴァルスは初めて知ることになる。
自分が狩る側ではなく、狩られる側だということを。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

目立ちたくない召喚勇者の、スローライフな(こっそり)恩返し

gari@七柚カリン
ファンタジー
 突然、異世界の村に転移したカズキは、村長父娘に保護された。  知らない間に脳内に寄生していた自称大魔法使いから、自分が召喚勇者であることを知るが、庶民の彼は勇者として生きるつもりはない。  正体がバレないようギルドには登録せず一般人としてひっそり生活を始めたら、固有スキル『蚊奪取』で得た規格外の能力と(この世界の)常識に疎い行動で逆に目立ったり、村長の娘と徐々に親しくなったり。  過疎化に悩む村の窮状を知り、恩返しのために温泉を開発すると見事大当たり! でも、その弊害で恩人父娘が窮地に陥ってしまう。  一方、とある国では、召喚した勇者(カズキ)の捜索が密かに行われていた。  父娘と村を守るため、武闘大会に出場しよう!  地域限定土産の開発や冒険者ギルドの誘致等々、召喚勇者の村おこしは、従魔や息子(?)や役人や騎士や冒険者も加わり順調に進んでいたが……  ついに、居場所が特定されて大ピンチ!!  どうする? どうなる? 召喚勇者。  ※ 基本は主人公視点。時折、第三者視点が入ります。  

社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命

yukataka
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

転生幼子は生きのびたい

えぞぎんぎつね
ファンタジー
 大貴族の次男として生まれたノエルは、生後八か月で誘拐されて、凶悪な魔物が跋扈する死の山に捨てられてしまった。  だが、ノエルには前世の記憶がある。それに優れた魔法の才能も。  神獣の猫シルヴァに拾われたノエルは、親を亡くした赤ちゃんの聖獣犬と一緒に、神獣のお乳を飲んで大きくなる。  たくましく育ったノエルはでかい赤ちゃん犬と一緒に、元気に楽しく暮らしていくのだった。  一方、ノエルの生存を信じている両親はノエルを救出するために様々な手段を講じていくのだった。 ※ネオページ、カクヨムにも掲載しています

「クビにされた俺、幸運スキルでスローライフ満喫中」

チャチャ
ファンタジー
突然、蒼牙の刃から追放された冒険者・ハルト。 だが、彼にはS級スキル【幸運】があった――。 魔物がレアアイテムを落とすのも、偶然宝箱が見つかるのも、すべて彼のスキルのおかげ。 だが、仲間は誰一人そのことに気づかず、無能呼ばわりしていた。 追放されたハルトは、肩の荷が下りたとばかりに、自分のためだけの旅を始める。 訪れる村で出会う人々。偶然拾う伝説級の装備。 そして助けた少女は、実は王国の姫!? 「もう面倒ごとはごめんだ」 そう思っていたハルトだったが、幸運のスキルが運命を引き寄せていく――。

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

処理中です...