赤い糸の先

丹葉 菟ニ

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上質な恋を

罰と禁止で錬金術発動

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硬いブラシ状の繊維を1つだけ摘むのは危険だな。細かな作業をするピンセットとかないか聞いてみるか。

「この細いのを掴むピンセットとか無いの?」

ピンセットが思い当たらないのだろ、首を傾げながらも横から覗き込んで来たアルを思いっきり見てしまった。長い睫毛の1本1本が良く見える。ドキドキしながら見てると近すぎるアルの眉間に似合わない縦じわが刻まれる瞬間を見てしまいコレは要らないなと皺を指で伸ばしてた。

「こんなに細い物を掴む物な。私が知ってる限りではないな。ん?なんだ?」

「綺麗な顔なんだからさ、眉間に皺なんて似合わない」

「そ、うか。イオリは眉間に皺があるのは嫌いか」

「好き嫌いじゃなくて、アルはカッコよくて綺麗な顔してるから似合わないなって」

「私には似合わないのか。なら 今後は気をつけよう」

「それが良いよ」

「イオリ」

方頬をアルの大きな手で包むまれ親指で下唇をそっと撫でて来た。自然な動きに前から約束してた合図の様なそんな気がして目を閉じる時にアルの顔が近づいてくる。目を閉じきるとアルの鼻先が頬に当たった。

「ピエーピゥピゥピエー」

百合の甲高い鳴き声で俺とアルの距離が遠のく。

「ガルゥ」

俺の傍を飛んでた百合に桔梗が靱やかに飛び上がり百合を叩き落としてた。

「え、あっ!ちょっ、ちょっと桔梗 百合にアイアンクロー決めちゃダメ。鳥で頭小さいんだからバカになるだろ」

「あ、あぁ、そうだな」

『コイツは元がアホ鳥で今更バカ鳥になっても大差ない』

『バカでもアホでも 桔梗の友達なんでしょ仲良くな』

『仲良くは無いがこのバカ鳥が邪魔をしなければ いい雰囲気でアルベルトとキスできたのにすまない。私の教育が足りなかった。安心して続きをしてくれ このバカ鳥は私が山の上にでも捨ててくる』

続きって。・・・え?えっ! 続きって、さっきの続き、出来るやけねーだろう。今はそんな雰囲気てっ、いやいや 雰囲気でも 桔梗のいるの忘れてた。母親の前でする事では無い。

「あ~その、だな。この細いのを掴む物を考えないと行けなかったな」

そうだ!それ、その話しだった!!

頭の中ではバッチリと映像が出来てるけど そんな物がこの世界にあるかどうかだ。

「そうだったな。あ~、ピンセット」

アルの言葉で思い出したとパンと手叩きボールの縁に両手を置いたらボールが眩い光を放ちボールが消え 俺の手は重力に逆らえず机の上に乗った。

「はっ?なんで?」

両手の間には俺が欲しいと思っていたピンセット。しかも先の曲がったものからオーソドックスなヤツ 毛抜き迄揃い踏み。ヌッと机の上に桔梗の足が乗り机の上を見てる目を丸くしてる。
そろりとアルを盗み見るとこちらは息を殺して極限まで目を見開いてる。

あ~ コレはもしかしてやっちゃったって、ヤツですか。

『あ~、なんだ。見られてたのがアルベルトだけで良かったな』








グジグジと思い悩んでた時期もあったが、イオリは間違いなく証持ち、番に引かれてしまうのは自然の理。

若くお互いを思い合う2人、過去最高に好ましい我が子の姿を窓辺に寝そべったまま静かに見守っている中 更に2人が距離がグッと近くなる。

押し倒し交尾をするのであれば止めに入るが、キス位なら寛容だ。さぁ、思いっきりぶちゅとくらいつけ。

気配を悟られない様に息を殺して2人の成り行きを見守っていれば、猛スピードで私の上を通り過ぎ2人の邪魔に入ったアホ鳥。

「ダメー、イオリに近づくな シッシッ離れろ」

クッ このアホ鳥!!後ちょっとでキス出来たものを!許せん!!

イオリの傍で喚いてるアホ鳥を叩き落としアホの頭を押さえ付けた。
力加減をしなければこんな奴の頭なんぞ木っ端微塵に出来るが、イオリがアホ鳥を多少は可愛がってるヤツなので ギリギリのラインを攻める。

「え、あっ!ちょっ、ちょっと桔梗 百合にアイアンクロー決めちゃダメ。鳥で頭小さいんだからバカになるだろ」

ふむ、アホ鳥の頭の小ささを気にするイオリ。コイツをアホ鳥だと認識してるからこそ 更に進化してバカになると。それに同意してるアルベルトは 少し違うような気もしないでもないが、アルベルトの分まで私がキッチリ教育をすると決めた。

しかし、アホでもバカでもイオリは気にしないのかと怪訝に思ってたら 私の友だと?仲良く?
解せん。勝手にやって来たかと思えば勝手に私の被毛をモフり 顔を埋めて来るアホ鳥と仲良くは出来ん。側に置いてやるのは使い道があるからだ。

そもそも いい雰囲気をぶち壊されて怒らないのかイオリ?アルベルトを見てみろ。完璧に私の応援してるぞ。でもな イオリの悲しむ事はしないからなとアルベルトを見れば諦め、当初の目的を告げると何故かイオリがアタフタし始め顔を赤くしたり青くしたりと忙しい。

そして、手を叩いた音が鳴り響くと辺りをが明るく輝かせ一点に集束した。

まさかと机の上を確認して 嘆息するしか無かった。
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