赤い糸の先

丹葉 菟ニ

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上質な恋を

罰と禁止で錬金術発動 4

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アルとの最後の会話を思い出せと言ったっきり 何度も質問するが完全無視の体制に入ってしまった桔梗。更には昼過ぎからは散歩に行ってくる。の挨拶も無しで出ていってしまった。

モヤモヤを消したくて 編み物を進める。前たても真っ直ぐピシッと編めた。後はもうひと袖 編んだら後は各パーツを繋げて牡丹を付けて終わり。パーツを繋げる時は慌てずゆっくり丁寧に。焦ったりしてきつく綴じてしまっては仕上がりが上手くいかないのだ。

ひと編みひと編み丁寧に編むことだけには集中すれば悩みも無くなり穏やかな気持ちになれる。だって、好きな人の事だけを思い編んでるからね。
ばあちゃんは何時もそう言って優しい顔で編み物をしてた。本当にそうだな、ばあちゃん。

せっかく穏やかな気持ちになれたのに、困った。綴じ針が無い。人前では錬金術は使わないと約束はした。今は俺1人・・・使って良いよね。
ピンセットが出来た時を回想する。多分あの兄弟と一緒の方法だと思うが念の為に魔法使いナビで確認。カーナビとかの無機質な音声が頭の中に流れる。

〈欲しい物の素材を用意し、ハッキリとその物を思い浮かべる。両手に魔法力を集め 両手を合わせ魔力を更には大きくさせて 素材に触れ魔力を流す。
人、動物、植物等の生を宿す物には出来ない。〉

ヤッパリあの兄弟と一緒だ。やり方がハッキリと解るとやりたくなるよな!テーブルの上に乗ってる棒が目に入り手に掴んだ。
欲しい綴じ針映像は頭の中でバッチリ出来てる。後は魔力を両手に集め手を叩き魔力を1つにしてこの棒に触れるだけで、出来るはず!

うーん、この魔力が良く分からないけど 多分大丈夫だと思う。後はパンと手を叩き棒に触れようとした時、「ピッュ」と鳴く百合の方を見れば、何時も毛繕いをして綺麗な毛並みに血が付着してる桔梗を見つけ慌てて駆け寄った。

「血が!怪我してるの?!」

『気にするな私のでは無い。オーババードの血だ』

「オーババードって何?」

『魔獣鳥で気性の荒い肉食鳥だ。奴らは集団で相手の目を攻撃して視覚を奪い獲物を喰い尽くす。残るのは骨だけだ』

肉食鳥は地球での居たのでそこまで怖くないけど、集団で目を襲うとか食べ尽くして骨しか残らないとか、かなりグロテスクな内容に上体を反らして手で口を覆ってしまった。

「それって 魔獣がまた出没した」

『出没したが 集団で襲う習性の魔獣にしては2羽だけだったしかなり弱っていた。勿論 怪我人は出てない』

「そう、良かった」

また出たんだ魔獣。近くで見た光景が思い浮かびブルと震えた。

『安心しろ。騎士達が今 厳重警戒に当たってる、不安になることは無い』

そうだよ。アル達が守ってくれてるから大丈夫。

「お風呂に入れてやるよ」

『そうだな。血が付いたままは好きじゃない』

お風呂でタップリ泡を作り桔梗を綺麗に洗いタオル
で毛を拭こうとしたら『そんな物はめんどくさい』と、大きな身体を震わせ水気を飛ばした瞬間 何時ものモフモフ フワフワの毛になった。

「すご!!ねぇねぇ 何時もの桔梗の毛に戻ってる、どうやったんだ」

『簡単な事だ 風と火属性で被毛を乾かしだだけだ』

「2つ同時に魔法を使用してドライヤーか。なるほどな」








桔梗からのヒントでハサルベル辺境伯が頻繁に交流が合ったのがジェルフラッティ伯爵、それとワンバル商会と深い関係がフラボル公爵家だ。この家は少々厄介なのだ。曾お祖父様の弟、フレイド王弟殿下の嫁ぎ先がフラボル公爵家。フレイド王弟殿下は王家始まって以来の歴史上の愚息殿下フレイド様と呼ばれてる人物で王家の恥とされてる人物である。フレイドの息子イグルノやその息子の話を聞くなら叔父である陛下とお爺様だろうと城の離宮に陛下とお伺いした。

「フレイド叔父の息子イグルノも有名だ。学園始まって以来の最低点を出したと学園長や教師が涙を流して我に勉学を一緒に見てほしいと頼まれた思い出がある」

当時を思い出すのか前陛下 つまり私の祖父は項垂れ疲れきった声を出す。祖父とイグルノは同期生として学園に入学してた。

「ええ、リアンテのことはよく覚えてますよ 父上。私の1つ上とは思えない振る舞いで学園内を走り回ってましたよ。今では纏まりのない悪趣味な宝石をジャラジャラと良く恥ずかしげもなく付けてる」

叔父は当時を思い出したくも無いと首を緩く振り、遠くを見つめながら身内のみの集まりな為に気負うことなく素が出てしまってる。

「今出没してる魔獣にリアンテが大きく関わってるというのは本当か?」

リアンテは領主をしてる。王家とは遠縁の末端と致してるから切り捨てるのは簡単なのだが、当時 かなりの問題児であるフレイドを婿養子として婚姻してくれた秀才リディル嬢の手腕で領地を守ってた。彼女の願いは先祖からのこの領地を守って欲しい。その言葉は現陛下まで受け継がれてる為に無碍にできない。

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