西の窓

 世間一般とは違うところに こだわりのある 美弥子。美弥子のこだわり、執着は、引っ越し業者に伝わらず、姉たちもにも理解されず、引っ越しのときに 大事な大事な 紅漆箪笥を失ってしまう。 
 引っ越し先の新築注文住宅には西側に窓がある。きつい西日は 引っ越しや転居への不満の凝縮にように美弥子は思う。
 雨漏りしようが、畳にカビが生えようが、天井裏にハクビシンやねずみが住み着いても、前の家がよかった。
 美弥子お気に入りの紅漆箪笥は 海をわたり ヤシの木揺れる遠い西の国に 売られていた。
 美弥子のこだわりの思いは、紅漆箪笥に届く。想いに応えたい紅漆箪笥。

 西とは はるかなる昔 西の砂漠の国においては 死者の国であった。
 並外れた執着と 死者の国に通じる西向きの窓 の 物語。
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