転生したらドラゴンに拾われた

hiro

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最果ての森・成長編

78. 似たもの同士

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 僕とティアの様子に、テムとファムが何事かと集まって来た。

「ティアはマンティコア?どういうことー?」

 僕の声が聞こえていたようだ。

 ファムに聞かれたので、みんなにジェスチャーを交えながらなんとか説明する。

「へえー!じゃあティアは転生したんだねー!」

「マンティコアとしての前世の記憶か!面白そうだぜ!」

「···お前はあのマンティコアだったのか」

 三者三様の反応を見せる。
 どれもネガティブな反応ではないことに、ティアはほっとしているようだ。

『ご主人の仲間は器が大きいのだな···。こんなワレを受け入れてくれるとは』

「それはねー、ティアがウィルくんのこと、大好きだからだよー。だからぼくたちも、ティアのこと、好きだよー」

 ファムがティアに答えた。

『な、何!?ワレは、ついに念話を習得したのか!?』

 ティアが驚いてファムを見る。

「あはは!聞こえないけど、見てたらなんとなく分かるよー」

『そ、そうなのか···。ん?ワレのことが、好き···だと···?』

 念話じゃなかったことに一瞬落胆し、ファムの言葉を思い出して驚愕するティア。

「あはは!やっぱり分かりやすいねー!ジルもそう思わない?」

「···そうだな」

「感情がよ、なんつーか、滲み出てんだよなー。ウィルみたいだぜ」

 え?僕もそんなに分かりやすいの?

「···そうだな」

 ジルが同意した!
 僕も分かりやすいのか!

「あはは!ウィルくんとティア、同じ顔してるー!」

 そう言われて思わず僕とティアはお互いの顔を見る。
 びっくりした顔···?

 見つめ合っていると、なんだか可笑しくなって笑ってしまった。
 ティアは、『ワレはご主人に似ているのだ!家族だからな!』と言いながらジル達の周りを走り回っている。

 なんだか、ものすごく平和で幸せだ。
 
 ティアの前世であるマンティコアを倒しちゃったことはいまだに申し訳なく思うけど、ティアが幸せだと思ってくれているなら、僕もそれでいいのだと思うようにしよう。それで今後はティアを思いっきり大事にするんだ。
 そう思いながら、はしゃぐティアを僕は見ていた。


 ティアと追いかけっこを始めたテムとファムを脇目に見つつ、僕は魔法の練習をすることにした。
 旅行中はあまり練習できていなかったから、今まで教えてもらった魔法の復習だ。

「『土壁あーしゅうぉーる』」

 まずはアースウォールの的を作る。あとはショット系の魔法を当てる。

「『土弾あーしゅしょっと』、『水弾うぉーたーしょっと』、『風弾ういんどしょっと』···」

 それぞれの属性でショット系の魔法を放つ。
 魔力は控えめにしたのだが、あっという間にアースウォールがボロボロになってしまった。

「んん!『土壁あーしゅうぉーる』!」

 今度はぎゅっと魔力を込めて強度の高いアースウォールを作る。よし、これなら魔力高めのショットもいけるだろう。

「『光弾りゃいとしょっと』」

 光の波長はちゃんと可視光の範囲にとどめておいた。
 光がものすごい速さで壁に衝突し、壁の破片が宙を舞う。···爆発しなかっただけ、マシだよね?
 威力の調節は、もう少し練習が必要なようだ。

 それぞれの属性で魔力と威力を調節しながら魔法を放つ。最後はダークショットで壁をボロボロに崩した。

 次にファイアウォールなど、ウォール系の魔法の練習をする。そういえばファイアウォールで熱耐性が付いたんだった。おかげで火のそばだというのにあまり暑くない。
 ···じゃあ、寒さはどうなのだろうか。氷の壁を作ったらいいのかな?
 
 僕はマジックバッグから本を取り出して魔法名を調べる。···あった。水の、上位属性?
 どうやら氷の魔法は、水の魔法より難しいとされているようだ。液体のものを、温度を下げて固体にする必要があるからだろうか。

 うーん、でも温度を下げるだけならそんなに難しいことだとは思わない。エネルギーを減らせばいいのだ。
 水分子が運動を止めて互いに結合した状態をイメージする。

「『氷壁あいしゅうぉーる』」

 キンッと高い音がしたと思ったら、目の前に透明の壁が形成された。
 壁の周りには、空気が冷やされたためか白い靄が漂っている。

「おお~」

 これは、成功なんじゃないだろうか。思わず声が漏れる。

 ここでふと周りが静かなことに気づく。
 あれ?と思って周囲を見ると、口をポカンと開けてこちらを見ていたティアと目が合った。





 名前:ウィル

 種族:人族ヒューマン
 年齢:1
 レベル:56

 スキル:成長力促進、言語理解、魔力操作、魔力感知、テイム
 魔法:土属性魔法(初級)
    風属性魔法(初級)
    光属性魔法(初級)
    水弾ウォーターショット火弾ファイアショット闇弾ダークショット火壁ファイアウォール水壁ウォーターウォール闇盾ダークシールド氷壁アイスウォール
 耐性:熱耐性

 加護:リインの加護
 称号:異世界からの転生者、黒龍帝の愛息子、雷帝の愛弟子
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