逆デスゲーム

プロローグ

　人は一人では生きていけない。
　自分以外の人間が関与し、助け合うことで、人間としての存在が証明される。

　なぜだ？
　なぜ助け合って生きていかねばならないのか、その理由が理解できない。
　理屈では分かっているが論理的に説明できない。

　では、どうしてそうなったのか？
　古来からの歴史が物語り、経験が受け継がれ、遺伝子に情報として組み込まれ、これかもそうあるべきだと突き動かす。
　不可解な強制力だ。

　昔、仙人と呼ばれる存在があったとされる。
　一人だけで山奥に籠もり、誰とも関わらず、自給自足で生きたとされる。
　やがて神格化され、不老とも不死とも伝わり、人間を超越した者として扱われ、生きているのか死んでいるのか誰も分からない存在となる。
　そう、それは最早人間ではない。
　人間としての存在が証明されない。

　よって人間が一人では生きていけないことは倫理であり、道徳であり、自然界の摂理である。

　誰かが言った。
　「人を生かすのも人、人を殺すのも人」
　こうも言った。
　「助け合いとはリスクある交換だが進化の過程では不変な要素である」
　さらには、
　「見返りを求めない親切で人は高揚する。いわゆるドーパミンの分泌を促す。人が人と共存するための本能である」
　これが答えなのだろうか？

　「人は偉大なる目標の達成のためならば、ときに他の誰かのために犠牲を払わなければならない」
　「人は世界とともにある。世界の苦痛は自分の苦痛となり、世界の助けは自分の助けとなる」
　人が人であり、この世界で生き続ける限り、人と人との助け合いは必然ということなのだろう……。

　だとしたら、わたしは……。