逆デスゲーム

長月 鳥

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色目

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 「いいのかトーゴ、その女、お前を食うつもりだぞ。悪いことは言わねぇ俺と組め」
 ホンマは構わずに歩み寄ってきた。
 「ふざけるな、誰がお前なんかと組むかよ」
 残った参加者でホンマと協力しようなんて考える人はもう居ない。
 「女は論外、大嘘つきのデブオタクも邪魔なだけ、俺とお前で生き残ろうじゃないか」
 ホンマは自信満々で言った。
 本気で言っているのか? だとしたら相当頭がおかしい。
 トキネさんのこと、賞金を盗んだかもしれないこと、示談金を釣り上げたこと、オオバさん以外の人はお前を見捨てるつもりだった。

 「酷いですよホンマさん、みんなホンマさんを助けるために頑張ったのに」
 アカネちゃんは俺の手を強く握りながらホンマを威嚇した。
 「ああ、それはとてもとても感謝してるよ。おかげで大金を手に入れることもできた。あとは生きてここを出るだけだ。だから最後まで俺に協力してくれよ、黙ってトーゴの手を離せ」
 ホンマはアカネちゃんを睨み返す。
 「やめろっ、どんなことがあろうとお前とは組まない」
 「後悔するぞ?」
 「絶対にしない」
 「ガキがっ、現実を見ろよ。その女はどう考えてもお前を手玉に取ることしか考えてねぇよ、いいように使われて捨てられんのがオチだ」
 アカネちゃんが俺を……確かにちょっとはそう考えたけど。

 「私、そんなことしません」
 アカネちゃんは声を荒げた。
 「どうだかな、俺の目にはトーゴに色目使ってるようにしか見えんが」
 色目? アカネちゃんが俺に?
 「そ、そんなこと、ないです……」
 アカネちゃんの顔が赤くなる。
 「アカネちゃん?」
 それを意識したせいか分からないけど、自分の耳がなんだか熱くなってきた。
 色目って、下心があってのことだけど、実際問題俺の気を引きたいってこと?
 なんで? やっぱりホンマの言うように、俺を利用しようとして……。

 「いい加減にしてよ童貞どもがっ」
 アカネちゃんと繋いだ手を緩めようとした瞬間、ツカサさんがそう叫んだ。
 「アカネちゃん、トーゴの手を離すんじゃないよ」
 「は、はい」
 アカネちゃんは俺の手を強く握り返した。

 「童貞じゃねぇよババア」
 ホンマがツカサさんを睨む。
 「お、俺も……」
 俺は嘘を躊躇い、最後まで言い切るのを止めた。

 『時間になりました。
 ペアになれなかった方の相手はこちらでご用意しておりますので、ご安心ください』
 「ちっ」
 アバターのアナウンスに舌打ちするホンマ。
 相手を用意する?
 まだどこかに参加者が居るってことなのか?

 『最終ゲームの内容は
 “生かし合い”です』
 生かし合い?

 『指定されたペアから順番に
 生かし合って頂きます。
 互いに協力し、どちらかが生き残るまで生かし合ってください。
 制限時間は24時間です』
 それって……。
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