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ルナティール王国
#8
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アトシュとレインはサロン室の前に到着する。
『うーん? 一見すると静かだがな。』
「そうだなぁ。
でも、開けてみないとまだわかんないぞ。」
そんなことを言いながら扉をあける。
「失礼します。
ヨルから聞いて来たんだけど、ノアは大丈夫?」
中に入るとアトシュに向かって勢いよく何かが突撃してきた。
『アシューーーーーー!!』
「ゴフッ」
勢いそのままにアトシュに突っ込んで来たためアトシュは咳き込む。
『こら、ノア!危ないだろう!!』
アトシュに突撃して来たのは黒竜 ノアだった。
レインがアトシュに突っ込んだノアに危ないと叫ぶ。
『アシュ、アシュ、アシューーー』
しかし、ノアは聞いておらず、そのままグリグリとアトシュのお腹に頭を擦り付けている。
「ケホッ、ノ、ア。
とりあえず、危ないからこれからは突撃するのはやめてくれ。」
『うぅ……、ごめんなさい。
でも、アシュがぼくを置いて行くから………』
どうやら、アトシュがノアをルナリアに預けたことで置いて行かれたと思ったようだった。
「俺の方こそごめんな。
気持ちよさそうに寝てたから起こしたくなくてリア姉様に預けたんだ。」
『でも、ぼくはアシュといっしょがよかった!
おいてかないでよぉ………』
ノアは涙目だった。
「そうだよな。一緒がいいもんな。
ごめん、今度から絶対 置いてったりしないから。
約束だ。」
ノアはまだ子どもの竜だ。
アトシュと一緒にいたくて親と離れてここにいる。
その一緒にいたいアトシュ本人が側を離れてはいけなかった………
それが分かり、アトシュはもう二度と同じことはしないとノアと約束した。
『うん! 約束!!』
★ムーンドラゴン
別名:月黒竜
月の女神の眷属といわれるほど高位で竜種の中でも希少種にあたる。
言語を話すだけでなく、力も強く、魔法も使用できる。
普通の黒竜の3倍は強いといわれる。
そんなノアを抱え直し、アトシュはサロンにいる他の人に声をかける。
「騒がせてごめん。ノアのことありがと。」
「大丈夫よぉ~。
ノアくんも寂しかっただけなんだから。」
「そうだ。この程度どうってこともない。」
最初に言葉を返してくれたのは白金髪で瞳が金色の女性2人だった。
1人は座り、もう1人はそばに立ちながらそれぞれがティータイムを楽しんでいる。
『アシューーー!
ごめん、ムリだったーーー!』
ルージュが叫びながらアトシュの方に飛んできて頭上に着地する。
「ごめんなさい、アシュ。
私たちの予想より早くノアが起きてしまったの。」
ルナリアも申し訳ないと謝ってくる。
それにアトシュは
「大丈夫だよ、リア姉様。
ノアを見ててくれてありがと。
ルージュもありがとな。」
ノアを見ててくれたことのお礼を言った。
そして、ティータイムを楽しんで最初に声をかけてくれた女性2人に向き直る。
「母さま、伯母さま、またですか?
何度やっても俺は間違えませんよ!」
「ふふふ、やっぱり無理みたいよ。お姉様。
アシュくんはすごいわ!」
「ふむ。やはり、無理か。
今度こそいけると思ったのだが。
衣装も交換したし、口調も変えたのだがそれでも無理か。」
「当たり前です。
俺は母さまとリコ伯母さまを間違えたりしません。」
2人の女性は双子だった。
衣装や口調が違うだけで本当にそっくりだった。
座っている方は一般的に貴族女性が装いであり、
立っている方は対照的に動きやすい騎士服のような男装的な装いをしていた。
「よし、今度は2人とも同じ格好で挑んでみるか、ココ?」
「そうですわね、リコお姉様♪」
「ほんとにいい加減にしてくれ………」
楽しそうにそんなことを企む2人。
この2人はアトシュの母親と伯母にあたる。
ちなみに今は立っている方が母 ココで座っている方が伯母 リコだ。
本来なら逆の装いをしている2人。
だが、両親ですら迷う自分たちを生まれて間もない頃から見分けることができるアトシュに度々こうしてイタズラのようなことをしてくるのだ。
「本当にアシュはすごいわね?
私もサロンに来て最初にやられたけれどそんなにすぐ断言できなかったもの。」
「そうかな?」
「えぇ、そうよ。どうやって見分けてるの?」
「どうやっても何も特にないよ。感覚的な感じかな。」
『まぁ、アシュはたまに感覚的に鋭いところがあるからな。』
『動物的直感かなぁ?』
『どうぶつ?ぼくといっしょ!』
「おまえらな………」
アトシュの感覚の鋭さに対し、従魔たちはそれぞれ反応する。
ノアだけはよく分かっていないが動物という言葉になぜか自分と一緒だと嬉しそうだった。
「『直感』か、どうやったら欺けるのだろうか。」
「お母様、本当に負けず嫌いですわね。」
ルナリアが自身の母親 リコを見て呟く。
「ふふふ、頑張りましょう!お姉様!!」
「母さまもほどほどにしてください………」
アトシュはアトシュで母が楽しそうで良いとは思うが自分を巻き込むのはやめて欲しいという思いもあり複雑だった。
「とりあえず、アトシュ様もこちらにお座りください。
すぐにお茶の用意をしますので。」
「わかった。ありがとう、サーシャ。
レインたちの分も頼む。」
「かしこまりました。」
そばに控えていたサーシャが他の侍女たちとアトシュ達のお茶の用意をする。
アトシュはとりあえず用意されている席に座り、一旦、落ち着くことにしたのだった。
『うーん? 一見すると静かだがな。』
「そうだなぁ。
でも、開けてみないとまだわかんないぞ。」
そんなことを言いながら扉をあける。
「失礼します。
ヨルから聞いて来たんだけど、ノアは大丈夫?」
中に入るとアトシュに向かって勢いよく何かが突撃してきた。
『アシューーーーーー!!』
「ゴフッ」
勢いそのままにアトシュに突っ込んで来たためアトシュは咳き込む。
『こら、ノア!危ないだろう!!』
アトシュに突撃して来たのは黒竜 ノアだった。
レインがアトシュに突っ込んだノアに危ないと叫ぶ。
『アシュ、アシュ、アシューーー』
しかし、ノアは聞いておらず、そのままグリグリとアトシュのお腹に頭を擦り付けている。
「ケホッ、ノ、ア。
とりあえず、危ないからこれからは突撃するのはやめてくれ。」
『うぅ……、ごめんなさい。
でも、アシュがぼくを置いて行くから………』
どうやら、アトシュがノアをルナリアに預けたことで置いて行かれたと思ったようだった。
「俺の方こそごめんな。
気持ちよさそうに寝てたから起こしたくなくてリア姉様に預けたんだ。」
『でも、ぼくはアシュといっしょがよかった!
おいてかないでよぉ………』
ノアは涙目だった。
「そうだよな。一緒がいいもんな。
ごめん、今度から絶対 置いてったりしないから。
約束だ。」
ノアはまだ子どもの竜だ。
アトシュと一緒にいたくて親と離れてここにいる。
その一緒にいたいアトシュ本人が側を離れてはいけなかった………
それが分かり、アトシュはもう二度と同じことはしないとノアと約束した。
『うん! 約束!!』
★ムーンドラゴン
別名:月黒竜
月の女神の眷属といわれるほど高位で竜種の中でも希少種にあたる。
言語を話すだけでなく、力も強く、魔法も使用できる。
普通の黒竜の3倍は強いといわれる。
そんなノアを抱え直し、アトシュはサロンにいる他の人に声をかける。
「騒がせてごめん。ノアのことありがと。」
「大丈夫よぉ~。
ノアくんも寂しかっただけなんだから。」
「そうだ。この程度どうってこともない。」
最初に言葉を返してくれたのは白金髪で瞳が金色の女性2人だった。
1人は座り、もう1人はそばに立ちながらそれぞれがティータイムを楽しんでいる。
『アシューーー!
ごめん、ムリだったーーー!』
ルージュが叫びながらアトシュの方に飛んできて頭上に着地する。
「ごめんなさい、アシュ。
私たちの予想より早くノアが起きてしまったの。」
ルナリアも申し訳ないと謝ってくる。
それにアトシュは
「大丈夫だよ、リア姉様。
ノアを見ててくれてありがと。
ルージュもありがとな。」
ノアを見ててくれたことのお礼を言った。
そして、ティータイムを楽しんで最初に声をかけてくれた女性2人に向き直る。
「母さま、伯母さま、またですか?
何度やっても俺は間違えませんよ!」
「ふふふ、やっぱり無理みたいよ。お姉様。
アシュくんはすごいわ!」
「ふむ。やはり、無理か。
今度こそいけると思ったのだが。
衣装も交換したし、口調も変えたのだがそれでも無理か。」
「当たり前です。
俺は母さまとリコ伯母さまを間違えたりしません。」
2人の女性は双子だった。
衣装や口調が違うだけで本当にそっくりだった。
座っている方は一般的に貴族女性が装いであり、
立っている方は対照的に動きやすい騎士服のような男装的な装いをしていた。
「よし、今度は2人とも同じ格好で挑んでみるか、ココ?」
「そうですわね、リコお姉様♪」
「ほんとにいい加減にしてくれ………」
楽しそうにそんなことを企む2人。
この2人はアトシュの母親と伯母にあたる。
ちなみに今は立っている方が母 ココで座っている方が伯母 リコだ。
本来なら逆の装いをしている2人。
だが、両親ですら迷う自分たちを生まれて間もない頃から見分けることができるアトシュに度々こうしてイタズラのようなことをしてくるのだ。
「本当にアシュはすごいわね?
私もサロンに来て最初にやられたけれどそんなにすぐ断言できなかったもの。」
「そうかな?」
「えぇ、そうよ。どうやって見分けてるの?」
「どうやっても何も特にないよ。感覚的な感じかな。」
『まぁ、アシュはたまに感覚的に鋭いところがあるからな。』
『動物的直感かなぁ?』
『どうぶつ?ぼくといっしょ!』
「おまえらな………」
アトシュの感覚の鋭さに対し、従魔たちはそれぞれ反応する。
ノアだけはよく分かっていないが動物という言葉になぜか自分と一緒だと嬉しそうだった。
「『直感』か、どうやったら欺けるのだろうか。」
「お母様、本当に負けず嫌いですわね。」
ルナリアが自身の母親 リコを見て呟く。
「ふふふ、頑張りましょう!お姉様!!」
「母さまもほどほどにしてください………」
アトシュはアトシュで母が楽しそうで良いとは思うが自分を巻き込むのはやめて欲しいという思いもあり複雑だった。
「とりあえず、アトシュ様もこちらにお座りください。
すぐにお茶の用意をしますので。」
「わかった。ありがとう、サーシャ。
レインたちの分も頼む。」
「かしこまりました。」
そばに控えていたサーシャが他の侍女たちとアトシュ達のお茶の用意をする。
アトシュはとりあえず用意されている席に座り、一旦、落ち着くことにしたのだった。
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