俺は辺境伯の息子です!〜国王(父親)が苦手なので基本、王都以外のところで生活します。〜

さくや

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ルナティール王国

#10

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~王都 ルナ~

レイヴン辺境伯から所変わってここは
ルナティール王国 王都 『ルナ』

その中枢である王宮では1人の男が嘆いていた。

「なんでだぁーーーー!!」

叫ぶと同時に机に頭をぶつける。
『ゴンッ』という音が室内に響く。

「何をとち狂っているのですか、アルトリア陛下。
侍従や部屋の外の近衛が驚いていますよ。」

黒髪に左眼にモノクルをはめた男が叫んだ男の方に淡々とした口調で話しかける。
そして、室内にいた侍従たちには席を外すよう指示をだす。

そして、室内には彼と『アルトリア陛下』と呼ばれた男だけが残る。

「それであなたは何故、叫んでおられたのですか?」

「聞いてくれ、リンちゃん!」

「誰がリンちゃんですか!
その呼び方いいかげんやめろって何度も言ってんだろうがこのバカアルト!!」

「えっ、ひど! 私、国王だよ!!」

「知るか! あとその口調イラつくから即刻、やめろ。」

見た目で中身はわからない。
見た目 知的に見える男の口から罵詈雑言が飛び出る。

「あー、ひどいなぁーー。
宰相が私をいじめるよぉーーー!」

「うるさい!いい歳して変な騒ぎ方するな!!」

2人の大人が子どものようにギャーギャーと言い合い、騒ぐ。

そこへ………

「ガハハ、ここはいつ来ても賑やかですなー!!」

ただでさえ、騒がしく、収拾がつかないところにさらに騒がしい奴が追加された。

「ハレイヤ将軍…………」

黒髪 モノクルの男の方が『面倒なのが来た』という顔をしながら茶髪で大柄な男の名を呟く。

「将軍か。どうかしたのか?」

「いやなに、国王陛下の執務室から絶叫が聞こえてきたので確認がてら見に来たのだ。」

「なるほど。バカの叫び声はそこまで届くのですね。」

「バカってひどくね?
あと、将軍、ここにはリンちゃんしかいないから堅苦しい物言いはしなくていいぞ。」

「バカアルト、リンちゃん言うな!仕事量倍にするぞ。」

「うわー、横暴だ!!」

「そうですかな。それでは。
アルト坊とリステ坊は相変わらず仲がいいですな。」

騒ぐ2人を見ながら砕けた口調で呑気な発言をする将軍 ハレイヤ。



○将軍 ハレイヤ・カーライル
カーライル侯爵家 現当主
ルナティール王国の軍部を担う大将軍である。
ざっくんばらんな性格をしており、豪快に物事を進めることがある。
ちなみに2人の剣の師匠でもある。
実はハーフエルフだったりする。




「あのぅ、将軍。私たちはもう立派な大人であり、『坊』と呼ばれるのような歳ではないのですが……」

ハレイヤの言葉で少し冷静になった黒髪でモノクルをつけた男が言葉を返す。

「そうか?
我輩からしたらアルトリア陛下も宰相 リスティーン、お主もまだまだ子どもだと思うがのぉ。」

「そりゃあ、長寿の種族であるエルフの血をひくハレイヤ将軍からしたらそうでしょね………。」



☆エルフ
人間よりも長寿の種族。
魔法が得意で自然界の力を借り、協力な魔法を使う。
若干、人間嫌いな者が多かったりする。



「まぁ、それでだいぶ話がいろんな方向にそれにそれまくりましたが結局、何があったのですかアルト。」



○リスティーン・ジルコニア
ルナティール王国 宰相であり
ジルコニア侯爵家 現当主
王国を武力で支えるのが将軍 ハレイヤだとすると知力で王国を支えていると言っていい人物である。
ただし、武力も相当な腕前を兼ね備えている。
あと、国王 アルトリアとは幼馴染であり、付き合いが長いため国王がアホなことをすると口調が荒くなる。
もともと、口は悪い方なのだ。




軌道修正。
国王 アルトリアの『リンちゃん』発言からそれにそれまくった話を宰相 リスティーンが冷静な口調で元に戻した。

「そう!聞いてくれ!!
アシュが、私のアトシュが、うちの国のじゃなく、隣国の学園に行くっていうんだよ!!」

「リステ坊よ、アトシュ様というと確か………」

「はい、将軍。
わが国の『正統な王位継承権』をもつお方です。」

「おぉ、アルト坊とココ嬢との息子か!」

「えぇ、今はウィリアム様が婿養子として入られたレイヴン辺境伯領の方で過ごされております。」

「なるほどのぉ、それは是非ともお会いしてみたいものだ!!」

「実は私もまだお会いしたことがないのでお会い出来るのを楽しみにしているのですが………
いったいどいうことですか、陛下?」

「これを見てくれ、兄上から先程 届いた手紙だ。」

そういうと国王 アルトリアが一通の手紙を宰相 リスティーンと将軍 ハレイヤに差し出す。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
~親愛なる弟 アルトリアへ~
元気にしているか?
母上や父上も元気だろうか。

私の方は体調は良くなる一方でアトシュには感謝しかない。
妻のリコや息子 アサルト、娘 ルナリアと共に健やかな日々を過ごしている。

弟のお前に本来なら私が果たすべき責務を任せてしまい申し訳ないと今でも思っている。

さて、ここからはお前が一番気にしているだろう、ココとアトシュのことだ。
2人は元気にしている。

ココは心身ともに健やかでお前に会いたいと会える日を楽しみにしているぞ。

アトシュも元気は元気だが少しやんちゃだな。
子どもの頃のお前にそっくりだよ。
こちらは毎日、振り回されているよ。

まぁ、お前が派遣したというかアトシュにプレゼントした騎士隊が役に立っている。
アトシュ自身は今だに戸惑っているがな?

ところで一月後にアトシュは6歳になる。
さすがに今年は生誕祭は開かなければならない。
まだ、アトシュをお前の、国王の実の息子はとして公にすることはできない。
それはわかるよな?
だから、表向きは私の次男として今まで通り行くことになる。
生誕祭はお前と母上が参加することは伺っている。
こちらはそのつもりで用意していく予定だ。
困ったことにアトシュはココからお前が来ることを聞いて渋い顔をしていたらしい。
やはり、まだお前のことが苦手なようだ。
まぁ、生誕祭については国王であるお前と母上の参加は決まったことだから渋々でも納得させたよ。

問題は学園のことだ。
一応、説得を試みたが…………


すまない、無理だった。
なんとか高等科だけは王国の学園に入学するよう話をつけた。
初等科と中等科はわるいが諦めてくれ。
ココにも説得を頼んだがアトシュの意思は固かった。
というか、アルトリア、どれだけアトシュに避けられているんだ?
まさか、ここまでとは思わなかったぞ。

まぁ、出会い方が『あれ』だったからなぁ。

アルト、兄として言わせてもらう。
アシュが納得できるまでいろいろ諦めろ。

さてと、随分 長々と書き連ねしまったが
一月後のアトシュの生誕祭で会える日を楽しみにしている。

あと、よくわからないがココがリコと何やら企んでいるようだ。


レイヴン辺境伯領 領主 ウィリアム・レイヴン

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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