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エピソード
テディ 3
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番のドラゴンに遊ばれている領兵たちと次兄クリストファーは、疲弊していた。
そろそろ遊ぶのにも飽きてきたドラゴンたちは、この五月蠅い人族たちを追い払うことにした。
緑がかった茶の父ドラゴンがバサバサっと空に舞い上がり、大きく口を開いて口の中に魔力を凝縮し始めた。
「あ、ブレスだ。流石にあれを受けたら、大怪我しちゃうかも。」
領兵たちとクリストファーは、地上に残った母ドラゴンに夢中で、父ドラゴンにブレスで狙われていることに気付いていない。
「シールド。」
父ドラゴンに向けて、エレノアが魔法を発動する。
今まさにブレスを吐こうととした父ドラゴンの頭を、球形のシールドで囲ってしまったのだ。
シールドが張られたことに気付かない父ドラゴンは、風のブレスを吐いた。
強力な風がシールドという狭い空間で吹き荒れ、自分のブレスで自分を傷つけ続けた父ドラゴンは、藻掻き苦しみながら、地面に墜落した。
これに慌てた母ドラゴンが、今までのお遊びとは比べ物にならない真剣さで、人間を排除しようと暴れ始めようとした。
「重力。」
エレノアが重力魔法で2頭のドラゴンを地面に縫い付ける。
「お嬢~!!」
「エレノア様!?じっとしていてくださいって、申し上げましたよね!!」
アレクスとベアトリスが、エレノアに詰め寄る。
「約束通り、ここは動いてないです。」
「「それを屁理屈って言うんです!!!」」
重力魔法で地面に縫い付けられながらも、まだ暴れ続けている2頭のドラゴンを指さしながら、エレノアが言う。
「でも、放っておいたら、今頃兄さまたちはお父さんドラゴンの風のブレスで吹き飛ばされて、大怪我してましたよ?それでも、あの脳筋集団に任せておけと、大切な領兵と兄を見捨てろと、そう言うのですか?・・私に人でなしになれというのですか?」
そして、涙の出ていない目を両手で覆いながら、泣き真似をする。
「そこまでは・・」
「え?ブレス吐こうとしてたんすか?」
この2人も気付いていなかったらしい。
エレノアは涙の出ていない顔を上げる。
「お父さんドラゴンが空中から狙っていました。ブレスが吐かれていたら、私たちも危なかったです。」
「「あ、ありがとうございました??」」
2人が素直になったところで、エレノアがベアトリスに視線を向ける。
「このままこのドラゴンたちを無力化してテイムしたいのですが、ちょっと困ったことになっているようなんです。」
「なんすか?」
「見たことがある装備を付けた人たちが、こちらに向かってきています。恐らく、うちに時々攻めに来ている、隣国の兵士たちです。」
「あ~ここ、隣国でしたね。俺ら、完璧不法入国してるっすね。やばいっす。」
「多分ですが、この山は稼働中の鉱山なのでしょう。あちこちに坑道が作られています。そこにドラゴンが巣を作ってしまった。ドラゴンを討伐する力はないけれど鉱山は使いたい。だから・・ドラゴンの様子を監視をしていたところに、私たちが来てドラゴンにちょっかいを出し始めた。そこで、居ても立っても居られなくなって、飛んでくるところ、なのではないでしょうか。」
「やばいっす。まじやばいっす。」
「そこで、ベアトリスの登場です!」
「お嬢様?」
「お得意の幻術で、彼らを惑わせてください。そして可能なら、私たちがドラゴンを跡形もなく討伐したと思い込ませて欲しいのです。どうでしょう。できますか?」
「お嬢様、誰にものを言っているのですか?毎朝の目覚まし幻術を、夜中トイレに行けなくなるものに変えてもいいんですよ?」
ベアトリスは本気だった。
「で、では、よろしくお願いします。まだ少し距離があります。先にこのドラゴンたちをテイムしちゃってもいいですか?」
「どうぞ。」
「あの、そのために、ここから動いてもいいですか?」
「・・・どうぞ。」
そろそろ遊ぶのにも飽きてきたドラゴンたちは、この五月蠅い人族たちを追い払うことにした。
緑がかった茶の父ドラゴンがバサバサっと空に舞い上がり、大きく口を開いて口の中に魔力を凝縮し始めた。
「あ、ブレスだ。流石にあれを受けたら、大怪我しちゃうかも。」
領兵たちとクリストファーは、地上に残った母ドラゴンに夢中で、父ドラゴンにブレスで狙われていることに気付いていない。
「シールド。」
父ドラゴンに向けて、エレノアが魔法を発動する。
今まさにブレスを吐こうととした父ドラゴンの頭を、球形のシールドで囲ってしまったのだ。
シールドが張られたことに気付かない父ドラゴンは、風のブレスを吐いた。
強力な風がシールドという狭い空間で吹き荒れ、自分のブレスで自分を傷つけ続けた父ドラゴンは、藻掻き苦しみながら、地面に墜落した。
これに慌てた母ドラゴンが、今までのお遊びとは比べ物にならない真剣さで、人間を排除しようと暴れ始めようとした。
「重力。」
エレノアが重力魔法で2頭のドラゴンを地面に縫い付ける。
「お嬢~!!」
「エレノア様!?じっとしていてくださいって、申し上げましたよね!!」
アレクスとベアトリスが、エレノアに詰め寄る。
「約束通り、ここは動いてないです。」
「「それを屁理屈って言うんです!!!」」
重力魔法で地面に縫い付けられながらも、まだ暴れ続けている2頭のドラゴンを指さしながら、エレノアが言う。
「でも、放っておいたら、今頃兄さまたちはお父さんドラゴンの風のブレスで吹き飛ばされて、大怪我してましたよ?それでも、あの脳筋集団に任せておけと、大切な領兵と兄を見捨てろと、そう言うのですか?・・私に人でなしになれというのですか?」
そして、涙の出ていない目を両手で覆いながら、泣き真似をする。
「そこまでは・・」
「え?ブレス吐こうとしてたんすか?」
この2人も気付いていなかったらしい。
エレノアは涙の出ていない顔を上げる。
「お父さんドラゴンが空中から狙っていました。ブレスが吐かれていたら、私たちも危なかったです。」
「「あ、ありがとうございました??」」
2人が素直になったところで、エレノアがベアトリスに視線を向ける。
「このままこのドラゴンたちを無力化してテイムしたいのですが、ちょっと困ったことになっているようなんです。」
「なんすか?」
「見たことがある装備を付けた人たちが、こちらに向かってきています。恐らく、うちに時々攻めに来ている、隣国の兵士たちです。」
「あ~ここ、隣国でしたね。俺ら、完璧不法入国してるっすね。やばいっす。」
「多分ですが、この山は稼働中の鉱山なのでしょう。あちこちに坑道が作られています。そこにドラゴンが巣を作ってしまった。ドラゴンを討伐する力はないけれど鉱山は使いたい。だから・・ドラゴンの様子を監視をしていたところに、私たちが来てドラゴンにちょっかいを出し始めた。そこで、居ても立っても居られなくなって、飛んでくるところ、なのではないでしょうか。」
「やばいっす。まじやばいっす。」
「そこで、ベアトリスの登場です!」
「お嬢様?」
「お得意の幻術で、彼らを惑わせてください。そして可能なら、私たちがドラゴンを跡形もなく討伐したと思い込ませて欲しいのです。どうでしょう。できますか?」
「お嬢様、誰にものを言っているのですか?毎朝の目覚まし幻術を、夜中トイレに行けなくなるものに変えてもいいんですよ?」
ベアトリスは本気だった。
「で、では、よろしくお願いします。まだ少し距離があります。先にこのドラゴンたちをテイムしちゃってもいいですか?」
「どうぞ。」
「あの、そのために、ここから動いてもいいですか?」
「・・・どうぞ。」
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