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第二話 新庄誠
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「今日もいまいちだったなぁ」
お店の外の喫煙所でタバコをふかす男、彼の名は新庄誠、ギャンブル依存症のパチンカスでスロカスでもある。
高校までは真面目な学生だったが、大学入学を機にギャンブルへとハマり大学を中退、その後も職を転々としながら、消費者金融でお金を借りながらパチンコとスロットをする毎日を送っていた。
「そろそろ潮時かねぇ」
消費者金融の借金額は4桁に迫り、闇金にも手を出しそうになっていた。ここまでいくと物理的に首が飛ぶことになりそうだったからだ。
しかしやめれるならやめている、やめられないから依存症なのだ。
「どっかに俺の欲求を満たす職業は転がってないかなぁ、ないか…パチプロになるのはちょっと違うし、そもそも今は稼げないしな」
確率の締め付けや、プロ集団による団体打ちを禁止するような店も多く、多くのパチンカス達は行き場を失っていた。
「パーニラ パニラ パーニラ 求人、 パーニラ パニラ 高収入
パーニラ パニラ パーニラ 求人、 パーニラ パニラで アルバイト」
風俗の宣伝車が前を通る。女性風俗という可能性が頭をよぎったが、自身のがさつさを思い出しそれは無理だなと断念する。
すると後ろから新たな宣伝車が走ってきた。
「ダンジョン攻略で一攫千金、今までにないアトラクション、パチンコスロットに飽きたあなたに朗報です。稼げる、ギャンブル、ダンジョンアミューズメントパーク、開店してます」
ダンジョン、最近よく耳にする言葉だ。
ここ数年で各地に出没するダンジョンによって世界のエネルギー事情や科学技術に大きな変化がもたらされている。突如出現したダンジョンによって冒険者なる者たちがそのダンジョンを攻略しその資源を持ち帰って、それをもとに研究が進められている。
「パチンコスロットに飽きた、ね。しかし稼げる?あんまり詳しく調べたことはなかったがそんなに儲かるのか?」
男は手元の携帯で冒険者の年収を調べる。
「ふむふむ、大半が3万円以下の収入で、上澄みが…数億!?まじか…でもこんなの副業でやるのが関の山だろ。俺はこの大多数の3万以下しかいけねぇよ」
ギャンブルと現実を見つめなおしていた時だ。妙に現実的になり、冷静に判断をする。しかし先ほどの言葉が頭から離れない。
「稼げる、ギャンブルか……」
興味の沸いた男は一応一応と思い、ダンジョンの場所を検索する。都内にはいくつかのダンジョンが存在するが、その中でダンジョンアミューズメントパークを展開しているのは江戸川区の場所のみだ。
「とりあえず行くだけいってみるか」
男は軽い気持ちでその施設へと向かった。これが人生最高の出会いになるとは知らずに。
◆
「ここか」
デカデカとかかれた「ダンジョンアミューズメントパーク」の文字を見る。どうやらここのようだ、周りには俺と同じようなパチンカス達がうじゃうじゃしている。間違いなくここだなと判断して店内へと足を運ぶ。
「いらっしゃいませ~新規のお客様はこちらへどうぞ~」
赤い髪のショートヘアが似合うキレイな受付の女性に促されて受付へと向かう。
「それでは一旦ここで締め切らせていただきます。後列の方は説明が終わるまでお待ちください。」
一定の人数が集まったら説明会が始まった。まずダンジョンは完全自己責任のため中で死んでも文句は言わないこと(死んだら何も言えんだろうが)。モンスターがドロップする素材や武器、魔石などは施設内の正規の買取場で買い取ってくれるとのこと。
「あとこれは関係ない話なんですけど、あちらの方でもなにやら引き換えとガチャを行っている場所もあるみたいですよ」
ん?それっていわゆる三店方式では?あとガチャってなんだ?
「ガチャについての質問ですね。これはあるダンジョンから見つかったものなのですが、一定数の魔石を入れると何かを排出してくれます。いわゆるガチャ、ガシャとも呼ばれますね。ソーシャルゲームではよく目にすると思いますし、ガラガラポンをイメージしていただいてもかまいません」
はいはい、ここがギャンブル要素ってことね。稼げるかどうかは置いといて楽しくなってきたじゃないの。どうせこのままいけばマグロ船にでもぶち込まれる運命なんだから思い切ってやってやろうじゃないの。
「以上ですべてになります。細かいことはこの冊子をお読みください。質問がなければこれで終了いたします。何か分からないことがあれば、あちらの受付にご相談ください」
にこやかに笑うと赤髪の女性はこちらの退出を促し、次のグループへの呼び込みへと歩いて行った。
とりあえず手元にある冊子を読むが、基本的にさっき聞いた内容と変わりはない。ただ大きく「命の保証は出来かねます」とタバコの注意書きのように大きく書かれていた。よっぽど死者が出るんだなと思わされる。でもギャンブルで死ねるならある意味本望かもな、そもそもタバコだってあんだけ脅しといてピンピンしてる人山ほどいるし。そうそう危険なことないだろう。
そう思ってた時期が私にもありました。
ダンジョンに入る前に装備を整えようと商店を見て回った。初心者おすすめ装備とか、セール品と書かれたぼろい剣とか、絶対効くポーションとかよくわからないものばかりだったけど、手持ちのお金が心もとないことだけは分かったのでギリギ買える初心者おすすめ装備(仮)w購入した。
これが間違いだった。
ダンジョンに入ると装備品のステータスが見れるようになったのだ。
そして装備を見るとN皮の鎧、N皮の足袋、N錆びた剣、N錆びた盾、ぼろっぼろじゃねぇかこれ。そりゃ安いわ。俺でも買えちゃうわ、こういった初見殺しの商売する奴死ねばいいのに、ほんとに死ぬんだぞ!!ふざけやがって。
しかし何の成果もなく戻るわけにもいかず、心もとない装備で一層の休憩所を過ぎてダンジョンへと向かう。さっそくモンスターに遭遇した。スライムだ、最弱といわれるスライム、というか一層に出てくるモンスターならそんな強いわけないだろ。と思って軽く攻撃する。ポンッとはじき返される。あれ、錆びた剣の攻撃力低すぎ!?まじでふざけんなよあの店主、戻ったら文句言ってやろうと思っていたらスライムが何か液体を飛ばしてきた。とっさに盾で防いだら錆びた盾が溶けてなくなった。
why?一撃で殺せないのにこっちは一撃で壊れたんですけど?いくら初心者装備とはいえこれはダメでしょうバランス考えてバランス。いいぜそっちがその気ならこっちも気合入れさせてもらうぜ、あ~この命かけてる感じ、たまんねぇ、一応ポーションも入ってるから最悪それで治せるだろ。
またスライムが液体を飛ばしてくるが今度は華麗に避けて見せる。そして錆びた剣でガンガンと敵に攻撃を繰り返していると、スライムが消え去りアイテムがドロップされた。
「初の成果はっと、Nスライムの液体。これは安いのか?多分安いだろうなNだし」
いくらになるかは換金所にいかないと分からない。単純にレア度で判断すればこいつは大した金にならないだろう。それでも初めての戦果に快感を覚えた。しかしモンスターとの戦闘面白いな、何がドロップするかもわくわくするし、これで金を稼げるかは分かんないけど、パチンコに金吸われるより数倍ましだな。この日は時間が許す限りスライムを狩って遊んだ、一回液体を皮膚に受けてしまったけどポーションをぶっかけたら治った。ポーション(小)なのにすげぇなって思った。
結局ドロップしたアイテムはNがスライムの核、スライムの液体、薬草、銅貨だけだった。あと魔石(小)が一つ手に入った。
ダンジョンの入口に戻り一息つく。何か飲み物でも注文しようと思ったら、看板に書かれているのは目にしたことのない通貨単位だった。店の販売員に話しかける。
「すいません、この円じゃなくてタラーって何の単位ですか?」
「あぁ兄ちゃんここ初めてか、それはこの施設内だけで使えるお金の単位だよ、ほら外で換金所、いや換金してくれるところがあるみたいじゃないか、そこで素材とタラーを交換できるんだよ、このカードにな」
そう言って店主がカードを見せてくる。発行は無料でこの中に施設内で使えるお金として取引に利用できるらしい。このダンジョンはよっぽどのここに縛り付けたいらしい、よく見ると正規の取引所はガラガラで施設の換金所は大勢の人で賑わっている。
店主にお礼を言うと施設の素材引き取り受付に向かう。しめて500円分に相当する何かのカードをもらった、これをタラーに変換する場合は1割増しになるらしいが、今は特に使う予定もなかったので現金にしてもらうことにした。カードをもって施設からでると外から何やら大きな声が聞こえてくる。
「次こそくる、次こそ、次、次次ぃぃぃぃぃぃぃぃx!!!!!!」
「一週間貯めたなけなしの魔石だ、出ろでろでろ!!」
何やら尋常ではない様子を人だかりの外から見る、どうやら実際に換金に来ている人よりも野次馬のほうが多いらしい。賑わっているのは何やら祈っている人のいる近辺だ。とりあえず当初の目的である素材の買取を済ませるためちょっとした列にならぶ、換金自体はスムーズに行われているようですぐに順番が回ってきた。
「はいよ、500円ね」
換金所のおばちゃんに簡単に手渡された現金、命を対価、は言いすぎかもしれにが危険に見合った事かと言われれば微妙だ。その時、外で大きな歓声があがった。
「うおおおおおでたぁああああ、SSRだぁあああ」
「まじかよSSR初めて見たわ…いいなぁ…」
「これで最低でも100万はいくんだろ」
「あれ確かこの前500万で取引されてるっての聞いたぜ」
「まじかよ、すげーな」
なにやらすごいことが起きたみたいだ。ガチャのアイテムでSSRのレアが排出されたらしい。その金額に驚き、号泣している男を見る。羨ましい、俺も当てたい、当てさせてくれ。ガチャしたい!しよう!!そうしよう!!
俺はガチャの横にいる緑の髪をしたロングヘアーの女性に話しかけた。
「あのガチャしたいんですけど、何が必要ですか?」
「ガチャですね、一回回すのに魔石(小)で10個、魔石(中)で4個、魔石(大)で1個、となります。魔石(特大)になりますと、5回分回すことが出来ます」
「魔石(小)1個しかない……」
「一層のスライムからでも低確率でドロップしますので、まずはそこで貯めてみるのはどうでしょうか、装備にしてもお金がかかりますし、初心者にはおすすめですよ」
はいぃ……と小さく返事をしてその場を後にした。ガチャしたい俺もしたいしたいしたいしたい!
気持ちが抑えられなくなったので近くのパチンコ店に入った。
2万すった。
お店の外の喫煙所でタバコをふかす男、彼の名は新庄誠、ギャンブル依存症のパチンカスでスロカスでもある。
高校までは真面目な学生だったが、大学入学を機にギャンブルへとハマり大学を中退、その後も職を転々としながら、消費者金融でお金を借りながらパチンコとスロットをする毎日を送っていた。
「そろそろ潮時かねぇ」
消費者金融の借金額は4桁に迫り、闇金にも手を出しそうになっていた。ここまでいくと物理的に首が飛ぶことになりそうだったからだ。
しかしやめれるならやめている、やめられないから依存症なのだ。
「どっかに俺の欲求を満たす職業は転がってないかなぁ、ないか…パチプロになるのはちょっと違うし、そもそも今は稼げないしな」
確率の締め付けや、プロ集団による団体打ちを禁止するような店も多く、多くのパチンカス達は行き場を失っていた。
「パーニラ パニラ パーニラ 求人、 パーニラ パニラ 高収入
パーニラ パニラ パーニラ 求人、 パーニラ パニラで アルバイト」
風俗の宣伝車が前を通る。女性風俗という可能性が頭をよぎったが、自身のがさつさを思い出しそれは無理だなと断念する。
すると後ろから新たな宣伝車が走ってきた。
「ダンジョン攻略で一攫千金、今までにないアトラクション、パチンコスロットに飽きたあなたに朗報です。稼げる、ギャンブル、ダンジョンアミューズメントパーク、開店してます」
ダンジョン、最近よく耳にする言葉だ。
ここ数年で各地に出没するダンジョンによって世界のエネルギー事情や科学技術に大きな変化がもたらされている。突如出現したダンジョンによって冒険者なる者たちがそのダンジョンを攻略しその資源を持ち帰って、それをもとに研究が進められている。
「パチンコスロットに飽きた、ね。しかし稼げる?あんまり詳しく調べたことはなかったがそんなに儲かるのか?」
男は手元の携帯で冒険者の年収を調べる。
「ふむふむ、大半が3万円以下の収入で、上澄みが…数億!?まじか…でもこんなの副業でやるのが関の山だろ。俺はこの大多数の3万以下しかいけねぇよ」
ギャンブルと現実を見つめなおしていた時だ。妙に現実的になり、冷静に判断をする。しかし先ほどの言葉が頭から離れない。
「稼げる、ギャンブルか……」
興味の沸いた男は一応一応と思い、ダンジョンの場所を検索する。都内にはいくつかのダンジョンが存在するが、その中でダンジョンアミューズメントパークを展開しているのは江戸川区の場所のみだ。
「とりあえず行くだけいってみるか」
男は軽い気持ちでその施設へと向かった。これが人生最高の出会いになるとは知らずに。
◆
「ここか」
デカデカとかかれた「ダンジョンアミューズメントパーク」の文字を見る。どうやらここのようだ、周りには俺と同じようなパチンカス達がうじゃうじゃしている。間違いなくここだなと判断して店内へと足を運ぶ。
「いらっしゃいませ~新規のお客様はこちらへどうぞ~」
赤い髪のショートヘアが似合うキレイな受付の女性に促されて受付へと向かう。
「それでは一旦ここで締め切らせていただきます。後列の方は説明が終わるまでお待ちください。」
一定の人数が集まったら説明会が始まった。まずダンジョンは完全自己責任のため中で死んでも文句は言わないこと(死んだら何も言えんだろうが)。モンスターがドロップする素材や武器、魔石などは施設内の正規の買取場で買い取ってくれるとのこと。
「あとこれは関係ない話なんですけど、あちらの方でもなにやら引き換えとガチャを行っている場所もあるみたいですよ」
ん?それっていわゆる三店方式では?あとガチャってなんだ?
「ガチャについての質問ですね。これはあるダンジョンから見つかったものなのですが、一定数の魔石を入れると何かを排出してくれます。いわゆるガチャ、ガシャとも呼ばれますね。ソーシャルゲームではよく目にすると思いますし、ガラガラポンをイメージしていただいてもかまいません」
はいはい、ここがギャンブル要素ってことね。稼げるかどうかは置いといて楽しくなってきたじゃないの。どうせこのままいけばマグロ船にでもぶち込まれる運命なんだから思い切ってやってやろうじゃないの。
「以上ですべてになります。細かいことはこの冊子をお読みください。質問がなければこれで終了いたします。何か分からないことがあれば、あちらの受付にご相談ください」
にこやかに笑うと赤髪の女性はこちらの退出を促し、次のグループへの呼び込みへと歩いて行った。
とりあえず手元にある冊子を読むが、基本的にさっき聞いた内容と変わりはない。ただ大きく「命の保証は出来かねます」とタバコの注意書きのように大きく書かれていた。よっぽど死者が出るんだなと思わされる。でもギャンブルで死ねるならある意味本望かもな、そもそもタバコだってあんだけ脅しといてピンピンしてる人山ほどいるし。そうそう危険なことないだろう。
そう思ってた時期が私にもありました。
ダンジョンに入る前に装備を整えようと商店を見て回った。初心者おすすめ装備とか、セール品と書かれたぼろい剣とか、絶対効くポーションとかよくわからないものばかりだったけど、手持ちのお金が心もとないことだけは分かったのでギリギ買える初心者おすすめ装備(仮)w購入した。
これが間違いだった。
ダンジョンに入ると装備品のステータスが見れるようになったのだ。
そして装備を見るとN皮の鎧、N皮の足袋、N錆びた剣、N錆びた盾、ぼろっぼろじゃねぇかこれ。そりゃ安いわ。俺でも買えちゃうわ、こういった初見殺しの商売する奴死ねばいいのに、ほんとに死ぬんだぞ!!ふざけやがって。
しかし何の成果もなく戻るわけにもいかず、心もとない装備で一層の休憩所を過ぎてダンジョンへと向かう。さっそくモンスターに遭遇した。スライムだ、最弱といわれるスライム、というか一層に出てくるモンスターならそんな強いわけないだろ。と思って軽く攻撃する。ポンッとはじき返される。あれ、錆びた剣の攻撃力低すぎ!?まじでふざけんなよあの店主、戻ったら文句言ってやろうと思っていたらスライムが何か液体を飛ばしてきた。とっさに盾で防いだら錆びた盾が溶けてなくなった。
why?一撃で殺せないのにこっちは一撃で壊れたんですけど?いくら初心者装備とはいえこれはダメでしょうバランス考えてバランス。いいぜそっちがその気ならこっちも気合入れさせてもらうぜ、あ~この命かけてる感じ、たまんねぇ、一応ポーションも入ってるから最悪それで治せるだろ。
またスライムが液体を飛ばしてくるが今度は華麗に避けて見せる。そして錆びた剣でガンガンと敵に攻撃を繰り返していると、スライムが消え去りアイテムがドロップされた。
「初の成果はっと、Nスライムの液体。これは安いのか?多分安いだろうなNだし」
いくらになるかは換金所にいかないと分からない。単純にレア度で判断すればこいつは大した金にならないだろう。それでも初めての戦果に快感を覚えた。しかしモンスターとの戦闘面白いな、何がドロップするかもわくわくするし、これで金を稼げるかは分かんないけど、パチンコに金吸われるより数倍ましだな。この日は時間が許す限りスライムを狩って遊んだ、一回液体を皮膚に受けてしまったけどポーションをぶっかけたら治った。ポーション(小)なのにすげぇなって思った。
結局ドロップしたアイテムはNがスライムの核、スライムの液体、薬草、銅貨だけだった。あと魔石(小)が一つ手に入った。
ダンジョンの入口に戻り一息つく。何か飲み物でも注文しようと思ったら、看板に書かれているのは目にしたことのない通貨単位だった。店の販売員に話しかける。
「すいません、この円じゃなくてタラーって何の単位ですか?」
「あぁ兄ちゃんここ初めてか、それはこの施設内だけで使えるお金の単位だよ、ほら外で換金所、いや換金してくれるところがあるみたいじゃないか、そこで素材とタラーを交換できるんだよ、このカードにな」
そう言って店主がカードを見せてくる。発行は無料でこの中に施設内で使えるお金として取引に利用できるらしい。このダンジョンはよっぽどのここに縛り付けたいらしい、よく見ると正規の取引所はガラガラで施設の換金所は大勢の人で賑わっている。
店主にお礼を言うと施設の素材引き取り受付に向かう。しめて500円分に相当する何かのカードをもらった、これをタラーに変換する場合は1割増しになるらしいが、今は特に使う予定もなかったので現金にしてもらうことにした。カードをもって施設からでると外から何やら大きな声が聞こえてくる。
「次こそくる、次こそ、次、次次ぃぃぃぃぃぃぃぃx!!!!!!」
「一週間貯めたなけなしの魔石だ、出ろでろでろ!!」
何やら尋常ではない様子を人だかりの外から見る、どうやら実際に換金に来ている人よりも野次馬のほうが多いらしい。賑わっているのは何やら祈っている人のいる近辺だ。とりあえず当初の目的である素材の買取を済ませるためちょっとした列にならぶ、換金自体はスムーズに行われているようですぐに順番が回ってきた。
「はいよ、500円ね」
換金所のおばちゃんに簡単に手渡された現金、命を対価、は言いすぎかもしれにが危険に見合った事かと言われれば微妙だ。その時、外で大きな歓声があがった。
「うおおおおおでたぁああああ、SSRだぁあああ」
「まじかよSSR初めて見たわ…いいなぁ…」
「これで最低でも100万はいくんだろ」
「あれ確かこの前500万で取引されてるっての聞いたぜ」
「まじかよ、すげーな」
なにやらすごいことが起きたみたいだ。ガチャのアイテムでSSRのレアが排出されたらしい。その金額に驚き、号泣している男を見る。羨ましい、俺も当てたい、当てさせてくれ。ガチャしたい!しよう!!そうしよう!!
俺はガチャの横にいる緑の髪をしたロングヘアーの女性に話しかけた。
「あのガチャしたいんですけど、何が必要ですか?」
「ガチャですね、一回回すのに魔石(小)で10個、魔石(中)で4個、魔石(大)で1個、となります。魔石(特大)になりますと、5回分回すことが出来ます」
「魔石(小)1個しかない……」
「一層のスライムからでも低確率でドロップしますので、まずはそこで貯めてみるのはどうでしょうか、装備にしてもお金がかかりますし、初心者にはおすすめですよ」
はいぃ……と小さく返事をしてその場を後にした。ガチャしたい俺もしたいしたいしたいしたい!
気持ちが抑えられなくなったので近くのパチンコ店に入った。
2万すった。
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注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
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