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第四十話 番

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 アスニナ獣王国の王都に到着したら、直ぐに、応接室に通された。

 護衛騎士は、1人だけと言われたので、私が着いて行くことにした。

 応接室の中に入ると、ライオンの獣人の獣王と狐の獣人の王妃が待っていた。

 挨拶を終え、席に座った。

 今の私は、護衛騎士なので、クリメと一緒に、弟とエスリスの後ろに、立っている。

 扉が開き、誰かが入ってきた。

 入ってきた者は、ライオンの獣人の女の子だった。

 10歳ぐらいで、黄金の髪を肩まで伸ばし、青色の瞳をして、ライオンの耳と尻尾を持っている美少女だった。

 この子が、弟の縁談相手か。

 その少女は、綺麗なカーテシーをして、「初めまして、私は、アスニナ獣王国第2王女、リーシア・アスニナと言います」

 その後、弟とエスリスが、自己紹介した。

 何故か、リーシア嬢は、私の方を見て、固まった。

 リーシア嬢は、私に近づいてきた。

 そして、何故か、嬉しそうな表情を浮かべた。

 「ぼ、僕の番」と言い、リーシア嬢が、抱きついてきた。

 これには、応接室にいる者達が、驚いた。

 つ、番だと?

 この子にとって私は、番なのか?

 「リーシア?本当に、その者が、番なのか?」と、獣王は、リーシア嬢に、聞いた。

 「うん、間違えないよ。この匂いは、僕の番のものだよ」と、リーシア嬢は、嬉しそうに答えた。

 獣王も嬉しそうな表情を浮かべ、「そうか、そうか。それは、良かった。番に会えることは、私達獣人にとって、何よりも重要のことだからな」

 そう、獣人にとって、番は、この上ない存在なのだ。

 獣王は、弟の方を向き、「申し訳ない。今回の縁談は、無かったことにしてもらいたい。娘の番が、現れたので」

 「失礼、娘の番殿よ。名前を教えて貰っても?」と、獣王が、聞いてきた。

 私がその問いに答える前に、弟が、「兄上、正体を明かして下さい」

 私は、リーシア嬢を少し離した。

 「シャドーアーマー」と、唱えた。

 すると、シャドーナイトの装備が、身を包んだ。

 弟とエスリスとクリメ以外の人間は、驚きを露わにした。

 「く、黒き英雄。ま、まさか、貴方様が、娘の番なんて」と、獣王は、呟いた。

 獣王は、嬉しそうな表情を浮かべた。

 獣王は、リーシア嬢の方を向き、「リーシア。良かったな、黒き英雄様が番で。早速娶って貰おう」

 「うん」と言い、リーシア嬢は、笑顔を浮かべた。

 私は、少し慌てながら、「す、少し待っていただきたい。リーシア嬢を今すぐ、娶るのは、流石に無理です」

 「そんな、僕じゃダメなの」と言い、リーシア嬢は、泣きそうになっていた。

 私は、「それは、今すぐだということです。せめて、学園を卒業しなければ、娶ることは、難しいです」

 「じ、じゃあ、僕が、学園を卒業して、成人すれば、僕を娶ってくるということ?」と、リーシア嬢が、聞いてきた。

 「ええ。ですから、今は、婚約を結びましょう」と、答えた。

 すると、獣王と王妃とリーシア嬢は、嬉しそうな表情を浮かべた。

 「うん、分かった。じゃあ、後6年は、我慢する。だから、待っていて」と言い、リーシア嬢は、満面の笑みを浮かべた。

 その後、弟とエスリスとクリメは、用がないので、退室し、私は、リーシア嬢と獣王と王妃と一緒に話し合いをした。
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