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第十三話 片手間

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 レンさんに俺とツキミの関係を認めて貰えて良かった。

 話し合いが終わった後、俺はツキミと一緒に街を見て回ることになった。

 街は和風の建物が並び、何だが懐かしい感じがした。

 ツキミは嬉しそうに街の案内をしていた。

 案内をしている途中、ツキミはある店の前で止まった。

 ツキミが止まった店は和菓子屋だった。

 そして、ツキミは食べさせたい物があると言い、店の中に入っていてしまった。

 その間に俺は左手を耳に当てた。

 「偵察隊、灰狼族の次期当主を発見しろ」

 すると、偵察隊が人目がつかない場所に現れ、偵察を開始した。

 指示を出し終えると、どら焼きを2つ持ったツキミがやって来た。

 その和菓子屋の外にある椅子に座り、ツキミと一緒にどら焼きを食べることにした。

 どら焼きを食べてみると粒あんで美味しかった。

 ツキミは美味しそうにどら焼きを食べていたが口にあんこが付いていた。

 「ツキミ、口にあんこが付いているよ」

 「えっ、何処ですか?」

 そう言いながら、ツキミはあんこが付いていない方を触っていた。

 「こっちだよ」

 そう言い、俺はツキミのあんこを取った。

 「あ、ありがとう。な、なんか、恥ずかしい」

 そう言いながら、ツキミは顔を少し赤くして、照れていた。

 俺はそんな可愛いツキミを見ていた。

 ツキミは俺が見ていることに気がついてしまった。

 「も、もう1つ、食べて欲しい物があるから買ってくる」

 そう言い、ツキミは和菓子屋の中に行ってしまった。

 俺は何もせず、街を眺めていた。

 報告は無かったが見つけた。

 灰狼族の次期当主を。

 どうやら、この街の近くにいるみたいだ。

 俺は左手を耳に当てた。

 「特殊部隊。灰狼族の次期当主を確保し、人目がつかない場所まで連行しろ」

 すると、特殊部隊は偵察部隊が見つけた場所の近くに現れた。

 そして、潜入を開始した。

 指示を出し終えると、ツキミが水羊羹とお茶を持ってきた。

 水羊羹とお茶はいい組み合わせだ。

 こちらに移住しようかな。

 住みやすそうだから。

 こっちに住むなら、昼限定の店でもやろうかな。

 そんなことを考えながら、ツキミの方を見てみると狐耳と尻尾を嬉しそうに揺らしながら、食べていた。

 食べ終わった後、引き続きツキミに街を案内してもらった。

 街を案内して貰っているとツキミがある人に呼び止められた。

 呼び止めた人は狸耳と狸尻尾がついている中年の女性の獣人だった。

 どうやら、ツキミが幼い頃お世話になった人みたいだ。

 話が終えるまで待っていると灰狼族の次期当主を拘束して、人目がつかない場所まで連行が完了したようだ。

 俺は左手を耳に当てた。

 「拷問官、苦しめろ。情報はいらない。ただ、ひたすらに苦しめろ。死亡後は死体処理をしてから撤退せよ。特殊部隊は周囲の警戒だ。そして、偵察隊は撤退しろ」

 その指示に従い、偵察隊は撤退し、特殊部隊は周囲の警戒を始め、拷問官は拷問を始めた。

 指示を出し終えると同時に話が終わり、ツキミが俺のことを恋人と紹介した。

 その時のツキミは少し顔を赤くして、恥ずかしそうにしていた。

 そして、ツキミの狐耳と尻尾も恥ずかしそうにしていた。

 狸の獣人に色々のことを聞いてきたが、特に聞かれも困ることではなかったので全て答えた。

 話しているとそれなりにいい時間になったので狸の獣人と別れ、屋敷に帰った。

 屋敷に帰り、ツキミとレンさんと一緒に夕食を食べて、風呂に入って、客間でゆっくりしていると特殊部隊と拷問官が撤退した。

 どうやら、灰狼族の次期当主は拷問されて、死んだようだ。

 ツキミを狙おうとしたんたんだ。

 死んで当然だ。

 だが、報復が来る可能性が出来てしまった。

 なら、ツキミとレンさんには護衛をつけよう。

 俺は左手を耳に当てた。

 「夜叉隊、ツキミの護衛につけ。護衛部隊、レンさんの護衛につけ。姿を消しながら、守れ、守り通せ。何があっても」

 これで大丈夫だ。

 さて、寝るとしよう。

 
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