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第十話 消え去って

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 目を覚ました。

 まだ少し眠い。

 だが、弾薬補充をしないと。

 そう思い、倉庫に向かうとすると玄関から音が聞こえたのだ。

 こんな朝からなんだ?

 そんなことを思いながら、別邸の玄関に向かうと驚いた訪問者がいたのだ。

 それは私の両親がいたのだ。

 「えっと、どうされたのですか?」

 「朝早くからすまない。少し話があって」

 「話とは?」

 「シーシア君のことだ。5年前から私達は少しおかしかった。それが、今になって直ったのだ」

 まじかよ。

 こんな早くに効果が出るとは。

 「分かりました。まず、シーシアに私から説明します。その間に他の方にも聞いて下さい。どう変わったかを」

 「分かった」

 「ノレン。シーシアちゃんのことをどうかお願いね」

 「お任せ下さい」

 両親が本館に戻った後、私は弾薬の補充をした。

 それを終えるとシーシアが起きてきたのだ。

 朝食を一緒にとり、今起きていることを話した。

 それを聞いたシーシアは驚きの表情を浮かべていたのだ。

 声を掛けようとすると扉がノックされた。

 入室の許可を出すと両親が入ってきたのだ。

 そのまま、両親は私達の向い側まで移動し、シーシアに謝罪した。

 突然、謝罪にシーシアは驚きを隠せてなかったが、直ぐに何かを察し、全てを許したのだ。

 謝罪が終わると両親はソファーに座り、報告をしてくれた。

 報告の内容は想像通りだった。

 シーシアに対する悪感情は消えている。

 そして、何故その悪感情を抱いていたのかは分かってない。

 これはヤグース伯爵家以外もだ。

 出入りの商人も。

 なら、王都も同じだろう。

 後で面倒なことになるな。

 まぁ、それは後で考えればいいか。

 そんなことを考えているとシーシアは落ち着かない様子になっていることに気がついた。

 「あ、あの、私のことをヤグースさんの婚約者として、認めてくれますか?」

 「当たり前よ。大事な息子が選んだ子だもの。それに、昔から私は娘が欲しかったのよ」

 そう言い、母上はソファーから立ち上がり、シーシアのことを抱きしめたのだ。

 抱きしめられたシーシアは嬉しそうにしていた。

 そうだった。

 母上は昔から娘を欲しがっていたな。

 それは父上もだ。

 それから、シーシアは本館の方に移り、ヤグース伯爵家で暮らし始めた。

 はっきり言おう。

 シーシアは母上と過ごす時間が多い。

 しかもシーシアのことを愛称で呼んでいる。

 おかしいな?

 シーシアは私の婚約者なのだが。

 まぁ、母上だから良いが。

 父上もシーシアにプレゼントをしている。

 様々なものを。

 もう一度疑問に思う。

 シーシアは私の婚約者なのに。

 両親の元に戻ってきてから4日が経った日に速達である手紙が届いたのだ。

 予測はしていたが、中々早かったな。

 さて、向かうか。

 そう思い、シーシアのことを両親に任せ、私は使い捨ての転移石を使用したのだ。

 

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