冬の海と魚が嫌いな僕のはなし

 冬の海になんて来てしまったのがいけなかった。
 僕は魚が嫌いだ。
「ねえ、ちょっと」
 冷たい波しぶきが跳ね上がる岩場に腰かけたそのひとは僕を見上げ、声をかけてきた。

 海の音が聞きたかった僕と、ヒトの声が聴きたかった彼女のちょっと不思議なはなし。
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