滲む墨痕

自己陶酔とは、このような感情を示す言葉なのかもしれない。そう思わせる字だった――。結婚して二年。夫が実家の旅館を継ぐことになり、思いがけず人生の転機を迎えた野島潤・三十歳。息抜きのため夫婦で足を運んだ藤田千秋という書家の個展で、潤はある作品に心を奪われる。藤田が営む書道教室を訪れたことをきっかけに惹かれ合い、急速に関係を深めるふたり。欲望に引きずられる恐怖を覚えながらも、潤はその激しさに身をうずめていく。秘愛は情愛に対立し、醜愛を呼ぶ――。複雑に絡み合う人間模様、そしてそれぞれが持つ秘めた想いの行方は。
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