二人の為のピアノソナタ

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湊音の過去5

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湊音の誕生日前日の夜、母の容態は悪化した。
病院から連絡を受けた湊音は急いで母の元へ駆けつけた。

「かあさん!」

母は色んな管に繋がれていた。
機械によってなんとか維持しているだけらしい。
会話なんてできそうにもない状態だ。
そんな姿を見た湊音はショックのあまり、崩れ落ちそうになった。

けど、まだ生きている。
死んだわけではない。
湊音はは母の手を握りずっと声をかけた。

「母さん、聞こえてるか?
諦めんなよ、絶対助かるから!

それにもうすぐ完成しそうな曲があるんだけど、母さんが好きそうな曲なんだよ、だから早く元気になって聴いてくれ、なぁ、頼むから」

母の意識はもうほとんど無いに等しかったが声はどどいていると湊音は信じていた。

だから母に泣いているのを悟られないように、声を押し殺して泣いた。

「湊音・・・・・?」

すると母が弱々しいが声をかけてくれた

「母さん!?何?どうしたの?」

湊音は必死に聞きもらないよう耳を傾けた。

「がんばるんだよ・・・・・愛している・・・・」

そう言うと母はゆっくりと永遠の眠りに着いた。
日付は湊音の誕生日、そして湊音の母が初めて母になった日でもあった。

「うああああああああああ!」
湊音はもう周りを気にせずその場で号泣きした。


そして、母の亡くなったストレスで右耳が難聴になってしまう。

ピアニストして致命的であった。
それに母の為に演奏してきた湊音はもう、演奏する相手がいなくなってしまい、そのままピアニストの舞台から去ってしまった。
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