二人の為のピアノソナタ

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デート?

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送ってもらう事になり凛音は湊音の車に乗り込んだ。
湊音がエンジンをかけるとスピーカーから音楽が流れる。

ドビュッシーの「月の光」だ。

落ち着く音色が夜の魅力を引き出していた。

どこかもの寂しいけれど閑散とする様は落ち着きももたらしてくれる。

「月城さんの演奏やっぱりすごかったです!」

湊音少し恥ずかしそうな顔をした。

「いや、全盛期に比べたらやっぱり酷いもんですよ」

「それでも月城さんの演奏は人に感動を与える力があります。

そういえば、何で私の演奏なんか聴きに来てくれてるんですか?

月城さんの演奏とは比べ物にならないくらい下手ですよ?」

すると湊音は凛音の演奏を思い出し微笑みながら言う。

「最初はね、懐かしいなと思って惹かれたんです。
ピアニストを目指しているときにお手本で先生が弾いてくれた曲を思い出して、ノスタルジックな気持ちになったんです。

でもね、聴いている内に宮藤さんの魅力を感じたんですよ。

先生の演奏に似てはいるけれど、先生のお手本のような演奏とは違って、活き活きと好きなように演奏していて本当にピアノが好きなんだなと感じました」

凛音は素直に嬉しかった。
お世辞ではなく湊音の本音だとわかり嬉しかった。

何かを思い出したように湊音は凛音に言う。

「そうだ、今度ピアノのコンサートに行こうと思っていたんですよ。

もしよければ、宮藤さんもどうですか?

いつも一人で観に行ってるんですけど、そのーほら、感想を語り合える人がいると嬉しいなって・・・」

湊音は緊張していた。
まだ知り合ってそんなに経っていない女性を誘っていいのだろうか?
けど、ピアノを語り合える人が欲しいという気持ちもあった。

下心があると勘違いされないだろうか?
と色々考えてしまっていた。

「え、いいんですか!?」

凛音の喜び様をみて湊音はほっとした。
そして嬉しかった。

凛音は凛音で緊張していた。
湊音と一緒にコンサートに行けるなんて想像もしていなかった展開だ。

もしかしてこれはデート?になるのだろうか。
そもそもデートって男女二人で行くだけでデートなのか、お互いに好意があってデートなのかわからなかった。

そんなことを考えた末、どうでもいい事とだと結論づけた。

湊音と二人で出かけれるならそれでいい。
それは憧れの人と一緒に居れる喜びであって決して恋心などでは無かった。

けれど、コンサートでその気持ちに変化が訪れる事になる。


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