森の木陰から始まる物語

ビーバー父さん

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2,安眠を得るためには…

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「ふあぁぁ~!」

 久しぶりのお昼寝でした。
 ただベッドで眠るより、お昼寝スポットが一番なんですけどね。

 さて、少しは落ち着きましたかね。
 僕はおじいちゃんたちが集まっているであろう、執務室に向かった。
 途中で騎士たちが戦争をするだの物騒な単語が聞こえてきましたけどね。

 コンコン、コン

 ガチャ! いきなり扉が開かれました。
 誰なのか確認しないとダメじゃないですか。

「キアラ、もう大丈夫なのかい?」

 父上が僕を迎え入れて、ソファに座らされよくよく顔ぶれを確認すると、そこにいたのは三人の他この国の宰相や外務大臣に法務大臣なんかも揃ってました。
 なぜか騎士隊長たちもです。

「さて、シナガワ国への対応として、色々考えたんだが、まずは娘夫婦をシナガワゲートウェイ国へ連れ戻す。
 兄王もこの度の事は反省して貰わねばいかん。
 大体、兄王がキアラを王族の一部加えたくて無理やり婚約に持ち込んだくせに、一方的にしかも! 不貞をしていたなど! 許せるわけが無かろう!!」

 おじいちゃん、血圧が上がりますよ。

「そうですよ! 私たちの可愛いキアラちゃんに破棄だなんて! 
 破棄するならこちらからですよね~、お、と、う、さ、ま?」

 母上、怖いです。

「私は先ず、この国からシナガワ国に流通させているキアラ開発の物は全て止めましょう」

 特許化したのはコンドームとDNA解析の技術だけだし、後は子供の頃に父上に任せた物だからどうでもいいですけど、既に流通させてる物なら模倣品が出てて向こうは別に困らないんじゃないですかね?

「はて? 困らせるのが目的ではなく?」

「模倣品の事を考えたのであろう?」

 おじいちゃんは僕の考えてる事が分かってるのか、的確に言いました。

「模倣品があれば、問題ないのでは?」

「そうじゃ、使用する者はそれでも構わないだろうが、生産する側は厳しくなるな」

「何故ですか?」

「キアラが提供した物で重要な部分はブラックボックスにしておいたのさ。
 今出てる模倣品があるのは、その重要な部分だけをこちらに発注しているから出来るのであって、自国で全てを賄う事は出来ないのさ」

 父上が子供の頃に僕が提供した物をちゃんと解析して、不利にならないようにしてくれていたんですね。

「ブラックボックスを解析する術は無いんですか?」

「ふふふ、解析しようと開けば、中がダメになるように色々仕込んでるのさ」

 その仕組みは教えて貰えなかったですけど、父上もかなりの頭脳の持ち主で前世持ちの僕とは違う意味で、天才なんです。

「流石ですね、父上」

 宰相のグランデがその答えを聞いて、大臣たちと何やら国際法に照らし合わせて、こちらの都合が一番叶う方法で流通を止めると決めていました。

「では、シナガワ国の侯爵の名をを返上させて頂きましょう。
 義父上、私たちはシナガワゲートウェイ国に亡命という事でよろしくお願い致します」

「ほっほっほ、亡命ではない。
 本来娘が婿を取って公爵になるはずだったのだ、このままこの国で産業を担う貴族として新たに公爵に任命する」

「そうですな、では叙爵と言う形で新しい公爵家を立ち上げて頂き、シナガワ国への牽制としましょう。
 他国の貴族に手を出すことは出来ないでしょうからね。
 普通に考えても、隣国の王族に連なる者を無理に婚約者にしておいて、勝手に破棄などと笑わせる」

 外務大臣やってる叔父さんがかなり怒ってます。

「叔父さん、僕は安眠できれば良いんです」

 叔父さんは母上の三人いるお兄さんの三番目で僕の年の離れた兄みたいに、良く可愛がって貰いましたから余計に腹立たしく思ってくれてるんだと思います。
 僕は今年で十八歳、叔父さんは確か十歳違いなので今年二十八歳ですね。

「キアラ、私はお前が可愛いんだ、兄上の子供だからと言うだけじゃない。
 王族でファムが生まれたのは、珍しいと言うかお前の母が初めてだ。
 兄上に続いてお前が生まれ、ファムだと宣言された時、神々しささえ感じたんだ。
 お前は私の神に等しい」

 大袈裟です、やばい人ですよその思考は。

「ケイラスの言う通りだ。
 父上もいつもお前を奇跡だと言っているではないか、その意味は本当に奇跡なんだ。
 私たち王族に生まれた弟のシヘイルが初めてのファムだったが、子を望めないと言われていた。
 その中での唯一の子の上、ファムなんだ。
 本来ならこの国から出すなんてあり得ない、シヘイルをこの義弟に嫁がせた事も反対したかった。
 だが、幸せを望むシヘイルを閉じ込めることが出来なかった。
 お前たちの幸せだけを願っていたのに!!」

 宰相の叔父さんが、あ、二番目の叔父さんですね、こんなに辛そうに言うほど、僕たちは愛されていたんですね。
 おじいちゃんには溺愛されて両親には過保護にされているとは思っていましたけど、叔父さんたちからも溺愛されていたんですね。

「法的に、国家予算レベルの慰謝料を請求しますから、安心しなさいキアラ」

 ニッコリ笑って法務大臣の従兄弟が言った。
 従兄弟は宰相のグランデ叔父さんの長男でケイラス叔父さんより年上で、面白いほど冷徹、いや平等なシュレッドがかなり個人的感情で言ってますね。
 
「キアラ、おじいちゃんはね、シナガワ国の兄上が実は嫌いなんだ」
 
 え、っとそれを言っちゃいますか。


 
 




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