森の木陰から始まる物語

ビーバー父さん

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4, 新たな出会いへの一歩

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「キアラ、やっと感情が表に出て来たね」

「え、あ、え?」

 従兄弟のロロアは僕をふわっと抱きしめて来て、小さい頃のキアラのままだ、と言った。

「幼いころここで過ごしていた時のキアラは、何かしら考えては色々作りだしてびっくりさせられたが、いつも笑って泣いて怒っていたのに、向こうに帰ってから婚約が決まってシヘイラと里帰りするたびに表情が無くなって行っていた。
 思春期だからなのだろうと傍観していたが、それだけ精神的に押しつぶされていた結果だったのだな」

 そうだったんですね、僕が彼をどうでも良いと思ったのはそこだったんですね。
 
「この感情は、好き、じゃなくて、イラっとしたって事かも?」

 いや、確かに、僕の服装が派手過ぎるとか、顔が目立つとか、色々言われてパーティーとかにも出席しなくなったんだった。
 それも、一生懸命婚約者のレオナルドに合わせて、ご機嫌取りをしていたんだった。

「キアラらしいって言えばキアラらしいけど……
 うちは、キアラを取り戻せて凄く嬉しいんだ、だから笑ってくれ。
 怒っても良いぞ?」

 執務室にいた人達が全員で、愛してるから安心しろって言ってくれた。

 僕はその言葉に応えるように、久しぶりに笑っていた。

「それ! それだよ!」

 ロロアが良く出来ました、と褒めてくれてそのまま夜の晩餐会の支度へと追い出されて行った。





 晩餐会は盛大に行われていました。
 諸外国の王侯貴族が丁度会議で来ていた、と言うのもあるらしいのですが、ドロワス叔父さんが次だって言っていた事に起因しているようです。

「ダイオラスお爺様、ドロワス叔父上、支度に時間がかかり、遅れての出席大変申し訳ありません」

 遅れた理由ですが、部屋に戻ると侍従たちが待ち受けておりまして、寄ってたかってお風呂だのマッサージだのと磨き上げられたからです。
 多分、皮が一枚二枚は剥けてしまったんではないか、と思われる程でした。
 そして用意された衣装は、前世の記憶にあるコスプレの様でした。
 乙女ゲームとか、そう言った系のイケメンキャラとか可愛い系のキャラが着ているような、軍服になぜか長いカフスとかフリルに近いような飾りがついたジャケットです。
 僕は十八歳にして、着せ替え人形を経験した様です。
 この部分は侍女が、僕はファムの侍従を侍女と呼んでいますが、その方たちが色んなデザインに色合いを何度も着せられました。
 用意してくださったのが、おじいちゃんだって言われたので、その気持ちに応えるためにも全部着てみました。
 そして、侍女のお眼鏡にかなった物を今着ています。
 白とアイスブルーの長いフリルのついた軍服っぽいのに、金色の飾りがあちこちに付いてる物です。
 僕の髪色と瞳の色だそうですが、それっておじいちゃんの色も同じですよね?
 まぁ、喜ぶなら良いです。

「よいよい、良く似合っているぞ、キアラ。
 私の可愛い孫じゃ、よろしく頼む!」

 こんな簡単で良いんでしょうか?

「それに今宵は更に嬉しい知らせがある!
 息子とその伴侶に子が出来た!
 盛大に祝ってくれ!」

 会場中は拍手とお祝いの言葉に溢れ、晩餐会と言うより立食パーティーの様相になりました。
 まるで日本の宴会の様に、ワインの瓶を片手に挨拶しながら注ぐと言う、アレです。

 この世界では、十八歳で成人ですから僕もお酒は飲みますが、どうにも顔が上気してしまい、恥ずかしい顔になるとレオナルドに言われたので、控えていました。
 ですが、お祝い事なら精一杯盛り上げないといけないですから。

「キアラ殿、私はここより北にある国、ネサイラ国の大使としてこちらにご挨拶をさせていただいております、ミハイル・タイラーと申します、以後お見知り置きを」

「初めまして、キアラ・カスケイドです」

 ミハイルはお国に帰れば時期宰相らしいです。
 次々にご挨拶する方がいて、記憶して行くのが中々大変ですが、これは叔父上の策略ですね、お見合い状態な気がします。
 次から次へと年齢に関係なく独身男性が挨拶に来るとか、伴侶持ちの方は大体父上と母上にご挨拶をして僕にはサラッと過ぎていくのに、独身男性は名前に地位や収入まで言っていくのは流石に誰かの意図を感じます。

僕は一通りの挨拶が終わったのを見計らって、ジワリとその場から離れケイラス叔父さんの側へ行った。

「ケイラス叔父上、これは何かの意図を感じるのですが?」

「あ、ぁぁ、分かっちゃうよねー。
 殿下も悪気は無いんだ、寧ろ、キアラを幸せにしたいから、諸外国から集めた方々でね」

「そうでしたか。
 ドロワス叔父上の推挙と言う面々なんですね」

「人格的にも地位的にも、優秀な方々を集めたって、でもキアラの気持ちが一番なんだよ?」

 ケイラス叔父さんに負担をかけてはいけませんし、ここは取り敢えず笑って切り抜けることにしましょう。
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