愛の無い結婚のはずなのに、両片想いでした

ディディー

文字の大きさ
3 / 5

結婚(シベルツ目線)(2)

しおりを挟む
 いつまでもこのままでいられたら良いのにな。

「ねぇ、このスマホ貸して?」

 突然彼女がそう言う。

「えっ!あっ、いいよ」

 俺はスマホから手を離す。
 彼女は俺のスマホをいじくっている。
すると、可愛らしい笑顔で俺のスマホをつき出す。

「ほらっ!これ私のアドレス!君のも教えて?」

「っ!いっいよ!えっと、────────だよ」

「ありがと!」

 あぁ、まさかアドレスを交換できるなんて夢のようだ。
 ボーッとその画面を見ていると、いつの間にか家に着いていた。
 信号も通りすぎていた。

「ここが君の家か~いいね!」

「なっなにが?」

「ん~匂い?」

「そう?」

「うん、なんか落ち着く」

「そっか」

「あっ、じゃあ、アリス連れてくるよ」

「アリス?」

「あっ、ペットの名前」

「あぁ!アリスちゃんって言うんだ!」

「うん、ちょっと座って待ってて」

「はぁい」

──パタン  パタパタパタ

(・・・上手く話せてたよな?)

──パタパタパタ ガチャ

「お待たせ アリス連れてきたよ」

「っわぁ!可愛い~!」
 アリスはポメラニアンだ。
 俺がペットショップで一目惚れして飼うことになった。
 実は俺は可愛いのが好きな方なので、ブラッシング等も全て俺に任せてもらって完璧にスタイリングさせてもらっている。
 そんなアリスが可愛くないわけがない。
 まぁ、あまり人の目に映りはするもののわざわざ立ち止まって可愛い~!といって来る人もあまり多くはないので、こうやっていってくれるのは嬉しい。
──────彼女がアリスを愛で始めて既に一時間が経った。
 そろそろ家の人が心配するのではないだろうか。

「あの、もうそろそろ帰った方がいいんじゃない?」

「えっ?・・・ほんとだ!もうこんな時間!早く帰らないと!」

「危ないから送るよ」

「えっ、悪いよ」

「大丈夫だって」

「でも…」

「このまま一人で帰らせる方が心配だから」

「うぅーそっか、じゃあ…お願いしようかな?」

「うん!準備できた?」

「出来たよ」

「行こっか。」

 外に出ると、少し肌寒かった。
「ねぇ」

「え?」

「私達、付き合わない?」

「っえ?付き合う?」

「うん、私、君の事が好きなの、だから…その付き合いたいな~って君は私の事好きじゃなかった?」

「えと、好きだけど、まさか君が俺の事を好きとか思わなくて、えっと本当に?」

「・・・うん」
 彼女は照れたように顔を赤くする。
(本当なんだ。)
こんなの勿論はいに決まってる!

「よっ、喜んで!」

「ほんと!嬉しい!」

「たくさんデートしようね」

「うん」

 そんな幸せな空気に浸っていた俺達は思いもよらなかった。
 あのあと俺達はその約束が果たされることがないなんて。

 俺達は信号無視の車にひかれて即死してしまった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

元婚約者からの嫌がらせでわたくしと結婚させられた彼が、ざまぁしたら優しくなりました。ですが新婚時代に受けた扱いを忘れてはおりませんよ?

3333(トリささみ)
恋愛
貴族令嬢だが自他ともに認める醜女のマルフィナは、あるとき王命により結婚することになった。 相手は王女エンジェに婚約破棄をされたことで有名な、若き公爵テオバルト。 あまりにも不釣り合いなその結婚は、エンジェによるテオバルトへの嫌がらせだった。 それを知ったマルフィナはテオバルトに同情し、少しでも彼が報われるよう努力する。 だがテオバルトはそんなマルフィナを、徹底的に冷たくあしらった。 その後あるキッカケで美しくなったマルフィナによりエンジェは自滅。 その日からテオバルトは手のひらを返したように優しくなる。 だがマルフィナが新婚時代に受けた仕打ちを、忘れることはなかった。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後

空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。 魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。 そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。 すると、キースの態度が豹変して……?

拝啓、婚約者さま

松本雀
恋愛
――静かな藤棚の令嬢ウィステリア。 婚約破棄を告げられた令嬢は、静かに「そう」と答えるだけだった。その冷静な一言が、後に彼の心を深く抉ることになるとも知らずに。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

「では、ごきげんよう」と去った悪役令嬢は破滅すら置き去りにして

東雲れいな
恋愛
「悪役令嬢」と噂される伯爵令嬢・ローズ。王太子殿下の婚約者候補だというのに、ヒロインから王子を奪おうなんて野心はまるでありません。むしろ彼女は、“わたくしはわたくしらしく”と胸を張り、周囲の冷たい視線にも毅然と立ち向かいます。 破滅を甘受する覚悟すらあった彼女が、誇り高く戦い抜くとき、運命は大きく動きだす。

処理中です...