オッドアイの守り人

小鷹りく

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パロディ (本編と矛盾する設定もあり。)

ハロウィンパーティ

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 フィンから日本滞在の間にハロウィンパーティがあるから参加してほしいと言われた海静と染谷は仕事終わりバタバタと開催会場の更衣室で仮装の衣装に着替えようとしていた。

「海静様のはこちらの袋に入れてあります、どうぞ。」

「ありがとう、悪いな、良臣も忙しいのに全部準備任せて。」

「いえ、寧ろ 楽しかったです。(コスチューム、好きなの選べて)」

「準備が?変な奴だな…。にしても、内輪のパーティって、やっぱり監督がするとなるとこの規模なんだな。」 

「やっぱりと言うと前もあったんですか?」

「ああ、フィンとダオ監督を巡り合わせたのは船上パーティだった。それも内輪でするんですと言われたんだが大きな客船だった。」

「今回どこかのレストランでするのかと思いきや帝王ホテルの会場ですものね。さぁ急いで着替えましょう。」

「あぁ。」

 備え付けてあるロッカーに脱いだ服を入れて袋に入っていたコスチュームに袖を通し、二人は着替える。海静はあれ?あれ?と言いながら着るのに苦労していた。

 着替え終わった海静は少し大振りの被り物を小脇に抱え、染谷に振り向いて言った。

「おい、なんで俺この衣装なんだよ?」

 染谷はタキシードに牙の付いた偽物の歯を装着して少し口元に口紅をつけ、いつものふんわりとした柔らい髪はオールバックにきめていて立派な吸血鬼になっていた。

「お前、ズルいぞ!自分だけカッコいい仮装して!」 

「カッコいいと言って頂けるんですか?(ジーン)」

「感動してる場合じゃない!なんで俺はこれなんだよ?!」

 黒いドレスの裾を引っ張り上げて海静は怒る。

「海静様は妖精のように美しいので、そのままでご参加されても良いかと思ったんですが、妖精の中でも上に立つお方にしなければ。そうなるとこのコスチュームでなければと…。」

「俺は男だぞ!」

「妖精に性別はないと聞きます。映画の中では女性が演じているだけですよ。それに女装もハロウィンの仮装ですから。」

 ウットリと見とれている染谷にはもう何を言っても無駄なようだった。他にコスチュームもなく、もうパーティの開宴時間間近。

「仮装パーティなんだし…まぁいいか…。」

 海静は納得いかない様子だったが頭に被り物を装着すると美しい妖精の長、マレフィセントとなった。

 会場に二人が入ると周りがざわつく。

『ほら、俺が男なのにこんな格好してるから!』

『そうじゃありません、あれは美しいものに魅了される目。ご心配無用です。今飲み物を取って参ります』

 そうヒソヒソと二人で話し染谷はどこか足取り軽く会場のドリンク置き場に向かって行った。

 アルコールでも飲んでいなければ 向けられる視線に耐えきれない海静は染谷を待ちきれず、自分でもお酒を貰おうとうろつき出した。。

 すると人波をかきわけて両手にシャンパングラスを持ってフィンが出てきた。フィンは中世の王子の格好をしている。

「カイ!来てくれて嬉しいよ!」

「呼んでくれてありがとう。こんな大きな会場でするなんて。」

「ああ、監督はやる事がなんでもでかい。会いたかったよ…カイ。」

 そう言ってグラスを海静に渡した。

「カイ、綺麗だ…。こんな姿を見れるなんて…このままベランダに行かないか?」

「え?まだ来たばっかりだし…。」

「ダオ監督に見つかったらモデルになれって口説き倒されるぞ?」

「そんなわけ…。」

「あるさ、こんな妖艶な格好して本家も真っ青だ。」

「フィン…。」

「カイ…。」

「プッ…お前変な台詞を吐くようになったな。」

「ちぇっ、何だよ、ムードねぇな!お前がこんな言葉で堕ちるとは思ってねえよ。つい本音が出ただけだ。」

 ふんとフィンが鼻を鳴らすと、二人はははっと笑いあった。

 久しぶりに出会って昔話に花を咲かせているとそこへ染谷が戻ってきた。

「海静様。」

 目が座った染谷の顔はメイクのせいか凄みがあった。

「怖い吸血鬼の登場だ。妖精の女王に危害を加える悪しきもの、成敗してくれる。」

 そう言ってフィンは染谷の前で空気の剣を振りかざした。

「知っていますか?マレフィセントの羽を捥いだのは強欲で嘘つきな王子だと言う事を。さぁ、こちらに。」

 今度は染谷が海静の腕を引っ張る。

「おい、俺はまだカイと話してるんだ。」

 フィンは反対の手首を握り引っ張った。

「行きましょう、海静。あちらに美味しそうなフードも沢山有って…。」

「吸血鬼は引っ込んでろよ。」

「盗人王子に言われる筋合いはありません!」

「いい加減にしろ!!」

 海静が一喝すると二人はグルルと唸りを立てそうな顔で睨み合った。

「喧嘩するならもう帰るぞ!」

「「そんな!こんな可愛い姿なかなか見れないのに!」」

 英語と日本語でそれぞれ叫ぶと二人は大人しく海静の横でパーティを楽しむ事にした。


 *


 その週の週間ポスティングの見出しを見て書店の前で海静が足を止める。


“ハリウッド俳優、ハロウィンパーティで美女を取り合う!”


 中を見てぞっとした海静はそこにあった冊数全てを購入し仕事場に戻った。



 *



 一方フィンの日本オフィスで———



「フィン!!あれ程女性関係には気をつけろと言ったのに!どう言う事ですか!?僕が監督に怒られるんですよ!?」

 目くじらを立ててルイスが雑誌の見開きを指差してフィンに説教をしていた。黒い四角の枠で目隠しをされた海静を取り合う二人の男の姿がそこにはっきりと写っている。

「女じゃねぇし。だってお前俺の事ほっぽって天使の格好して撮影会してたじゃねぇか。」

「僕のは勝手に盗撮されていたんです!僕はカメラ大嫌いなのに!だからあんな格好で行きたくないと散々言ったでしょう?」

「まぁまぁ、パーティ楽しかったんだからいいだろ?スキャンダルも一つや二つは箔がつくってもんだ。それにしても可愛かったな…。」

 フィンはニヤニヤしながら自分のスマホの中の写真をずっと眺めていた。



 ———————

 FIN 


 フィンの見ていた写真が見たい方はこちらへどうぞ↓

 http://www.tanukuma.com/NandemoE/src/1571318540610.jpg


 この短編は常山様が描いて下さったファンアートにインスパイアされて作成したパロディです。

 本編とは離れており設定上の矛盾等発生致しますがパロディとして楽しんで頂けたら幸いです♡

 素敵なイラストを描いて下さった常山様ありがとうございました。
 https://kakuyomu.jp/users/tokym65


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