無能だと言われ続けた聖女は、自らを封印することにしました

第４２話

　冒険者ギルドの中は予想以上に負傷者が多くて、その光景に唖然とするしかない。
　数人程度なら知られても大丈夫だと考えていそうだけど、ここまで人が多いと確実に噂になりそうだ。

「フィーレ様が聖女だと知られても、私が守ります」

　リカルドの発言を聞くと、私と同じ考えのようだ。
　とにかく私は、この場にいる負傷した人達をすぐに治したい。　　

「ローノック国なんてリカルドとクロがいればどうとでもなるから……私は今、この人達を治すわ！」

「フィーレ様……かしこまりました」

　私の発言を聞いて、不安そうにしていたリカルドは笑顔になっている。
　もう聖女ではないから、これはただの平民フィーレとのしての行動だ。

　そう考えながら――私は回復魔法を使って、冒険者達を治していく。
　治している最中、私は負傷者の多さが気になっていた。

　この周辺のモンスターは森に住んでいて、そのモンスター達は私達を狙っていた。
　それは全て倒すことに成功しているから、この街にここまでの被害が出ていることが信じられない。

　私は回復魔法で治した冒険者の人達から、詳しく話を聞くことにしていた。