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第60話

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 自身の説明を終えたカオスが、ジェノスを眺めながら告げる。

「話は終わりだ。俺に従わない者は、この場で消えても構わんぞ」

 それは存在を消すということだと、誰もが予想できている。
 そんな中――父上、ローノック王がカオスの背後に回り、兵士達に叫ぶ。

「こいつは明らかにジェノスを警戒している! それはつまり、人の力で倒せるということだ!!」

 陛下が声を荒げるも、カオスは振り向くことはしない。
 行動を躊躇う兵士達を見て、陛下が更に叫ぶ。

「こいつを倒せばローノック国に平和が戻る! 戦え!!」

 そう叫んで陛下がカオスの背後に迫り、剣の刃を向ける。
 国王の行動を見て戦意を取り戻した兵士達が、果敢にカオスに切りかろうとしていた。

■◇■◇■◇■◇■

 父上ローノック王の行動は、愚行でしかなかった。

 一瞬で陛下の命が消えて――激昂した弟達が戦い、命を散らす。
 ジェノスは飛びかかった人でカオスの視界が隠れたと同時に、部屋から姿を消していた。

 圧倒的な強さを見せたカオスが、惨状を眺めながら呟く。

「己の力量も理解できんか……ジェノスと貴様等では天地の差がある。束になっても敵わんほどにな」

 大広間にいた人達は、半分以下まで減って、残っている者は全員カオスに従うつもりのようだ。
 弟達も突撃して命を散らし……残っている王子は、俺だけだった。

「国王は魂のない傀儡にしよう……用意するのも魔力がかかるから、従うのがお互いの為だぞ」

 カオスの発言に対して、俺は頷くことしかできない。

「……はい。俺は、貴方に従います」

 こうして――ローノック国は、怪物によって支配されることとなっていた。
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