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第3話

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 王家や家族は、私が奴隷の首輪を着けるか悩んでいると思っているはず。
 実際はもう国を捨てるつもりで、今日中に行動に出ようとしていた。

 私は手紙を用意して、自室にある机の上に置く。
 手紙を読み返しながら、私は呟いた。

「奴隷になりたくはないので、消えることにします――重要なのは、ここだけですね」

 手紙の内容は長く書いたけど、他の部分はどうでもいい。
 公爵令嬢という恵まれた立場や環境は捨てられないと、ザノーク王子は考えていた。
 奴隷になるぐらいなら、そんなものは普通に捨てられる。

「王家や家族は、私のことを侮りすぎです」

 行動を制限しておけば、従うとでも思ったのだろうか。
 私は1人で生きていける自信があるから、即座に行動することができる。
 もう夕方になりそうだから、すぐに屋敷から出て行こう。

「それにしても……魅了魔法を使っていると疑い奴隷の首輪を着けるなんて、いつから考えたのでしょうか?」

 準備ができたから、今日の出来事で不可解なことを考える。
 魅了魔法は伝説上の魔法なのに、王家の人や貴族達は存在を信じていた。
 私を奴隷にするために罪を捏造した行動だけど、無茶だと思うしかない。
 
「……もうドグニテ国のことは、考えないようにしましょう」

 少しだけ気になってしまうけど、もう私には関係がない。
 準備を終えた私は屋敷から出て、国からも出て行こうとしていた。

■◇■◇■◇■◇■

 国を出る前に、私はやっておきたいことがある。
 飛行魔法を使い、夕方の間に私は目的地の街に到着した。

「国を出るのは、明日にしましょう」

 暗い時に飛行魔法は使いたくないから、今日は街の宿で泊まろう。
 夜になれば、食事に私を呼ぼうとした家族が気付くかもしれない。
 それでも捜索は翌日以降になるだろうから、明日の早朝に国を出れば問題ないはずだ。

 王都にある街で、ここには冒険者ギルドがある。
 私は冒険者ギルドに向かい、会いたい人がいた。

 会えなかったとしても、伝言ぐらいは残しておこう。
 そう考えながら冒険者が集まる建物の中に入ると、会いたい人に会うことができた。

 短い赤髪と鋭い眼をした美青年が、私を眺めて驚いている。
 その人は私を眺めて、驚いた様子で話す。

「カルラ……この時間に、どうしてここに来ている?」

「ここに来たのは、リックに話しておきたいことがあったからです」

 会いたかった人は、冒険者で知り合いのリックだ。
 何度か一緒に行動した仲で、私は今日の出来事と今後の行動を話しておきたかった。
 詳しく話す前に、リックが思案して私に尋ねる。

「話したいこと……ザノーク殿下が、行動に出たのか?」
 
「えっ?」

「やはりそうか。場所を変えて話そう」

 リックの発言を聞いて、困惑しながらも私は同行する。
 冒険者ギルドで私を見た時は驚いていたけど、リックはすぐ納得していた。

 リックは今日の出来事が起こることを、察していたのかもしれない。
 私はリックと話をすることにして――ドグニテ国で起きていることを、知ることとなる。
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