上 下
9 / 37

第9話

しおりを挟む
 私はリックと新生活をはじめて、数日が経っている。
 冒険者としてリックと一緒にいられる日常を送り、私は幸せだと実感していた。

 ラドリス国での生活にも慣れてきて、ドグニテ国のことを忘れることができそうだ。
  そんなことを考えながら……屋敷の居間で、私はリックに話す。

「この森は魔物がいる森と聞きましたけど、屋敷の周辺にはいないのですね」

「屋敷には結界が張られていて、魔物は認識できないようだ」

 結界の魔力は大地から得ているようで、魔物の襲撃を受けることはない。
 冒険者としての生活は楽しくて、ドグニテ国のこともここならわかりそうだ。

「冒険者として依頼を達成できるか不安でしたけど、リックがいてくれたから何も問題ありませんでした」

「やることは何も変わらないはずだから、カルラはそこまで気にする必要はない」

 冒険者としてリックと一緒に行動して、私達は活躍することができていた。
 私達が住んでいるラドリス国の依頼を受けていると、気になっていることがある。

「やることは変わりませんけど……この国の魔物は、そこまで強くないですね」

「ドグニテ国には魔石がとれる鉱山があって、魔物はそこに集まるからだろう」

 私が出て行ったドグニテ国は、他国より魔物が強いと聞いたことがある。
 リックから話を聞き、私は納得することができていた。

「カルラがいなくなって、今ごろ大変なはずだ」

 そう言って、リックが詳しく話してくれる。
 今までドグニテ国での問題は、主に私が解決していたようだ。

 どうやらドグニテ国は、あまり冒険者ギルドに依頼を出していなかったらしい。
 私でも時間がかかりそうな問題だけ、冒険者ギルドに依頼していたようだ。
 リックが協力してくれたけど、今はリックもいないから……ドグニテ国には、問題が起きているはずだ。

「確かに、そうですね」

「悪いのは全てドグニテ国だから、何も気にする必要はない」

 リックがそう言って、私は頷く。
 その頃――ドグニテ国は、私が消えたことで騒ぎになっていた。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

無能だと言われ続けた聖女は、自らを封印することにしました

恋愛 / 完結 24h.ポイント:418pt お気に入り:6,910

桜天女

恋愛 / 完結 24h.ポイント:454pt お気に入り:0

孤独なまま異世界転生したら過保護な兄ができた話

BL / 連載中 24h.ポイント:61,663pt お気に入り:3,763

進芸の巨人は逆境に勝ちます!

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:142pt お気に入り:1

ハヤテの背負い

青春 / 連載中 24h.ポイント:454pt お気に入り:0

【完結】婚約解消は私から〜愛する方と幸せになってください〜

恋愛 / 完結 24h.ポイント:63pt お気に入り:890

さて、このたびの離縁につきましては。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:12,197pt お気に入り:260

処理中です...