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第6話
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ジノザ視点
「クソッッ……まさかマルクが、あんなことを言い出すとは思わなかった!!」
授業が終わり、俺は屋敷に戻り部屋で憤っている。
まさかミリスとの婚約が破棄されるとは、俺は想定していなかったからだ。
「今まで通りミリスを蔑み、評判を落として誰とも関わらなくさせただけなのに……まさかマルクは、ミリスの実力を知っているのか?」
元々ミリスとの婚約を破棄すると決めていたが、それには理由があった。
俺は3ヶ月前から、一学年上の公爵令嬢レドナに婚約したいと提案を受けている。
その時に今の婚約者ミリスは婚約破棄した後、愛人にして構わないと許可を貰っていた。
「俺が嫌いなところを教室で言い続ければ、悪評の広まったミリスは誰とも婚約できない……そこから愛人にするつもりだったのに、こんなことになるとはな……」
現状は最悪だが、まだマルク王子がミリスを捨てる可能性もある。
そもそも王家が伯爵家のミリス如きを婚約者に認めるのかも疑問で、思案しながら今後について呟く。
「これからミリスは、本来の実力を出すだろう。それでも大したことはない」
本来の実力を出したとしても、魔法使いとして優秀なレドナ以下だ。
杖の強化に関しても、優秀な職人に強化してもらった方が性能はいい。
命令したのはただの嫌がらせで、ミリスの苦しむ姿が見たかったからだ。
「マルクはミリスの実力に期待しているようだが、これから後悔するだろう」
この時の俺は、ミリスが全力を出しても結果は出せないと確信する。
捨てられて誰とも婚約できなくなった時に、謝罪させて愛人にすればいいだろう。
今後について考えることで、俺は冷静になろうとしていた。
■◇■◇■◇■◇■
ミリスとの婚約を破棄した翌日になり、学園は2日間の休日だ。
恐らく今頃マルク王子は婚約の手続きを進めながら、俺とミリスが婚約破棄したことを広めているだろう。
家族に婚約を破棄したことを伝える必要があり、食事を終えた俺が父に報告する。
最初は驚いていたが、これから公爵令嬢のレドナと婚約できると話せば納得してくれた。
「そうか……ミリスは優秀な魔法使いと聞き婚約者に選んだが、ルミリカ伯爵に騙されたようだ」
「はい。マルク殿下がミリスと婚約したいようですが、すぐに後悔するでしょう」
「なんだと!?」
言わなくてもいずれ知られるだろうから昨日の出来事を報告すると、なぜか父が叫び出す。
頭を抱えている父の姿を眺めて、俺は今後の推測を話すことにした。
「ミリスはマルク殿下の婚約者に相応しくありません。婚約破棄された後に、俺の愛人となるでしょう」
「それならよいが……もしミリスが活躍することになれば、お前の評価が下がる。本当に大丈夫だろうな?」
「……父上は心配しすぎです。ミリス如きが活躍するわけありません」
そう言いながらも、俺はミリスが魔法で強化した杖のことを思い返す。
魔法道具である杖に干渉する魔法を使える者は珍しく、本来なら職人に依頼する必要がある。
職人は数が少ないから予約しても強化までに日数がかかり、優秀な職人なら1年以上待つ必要があるらしい。
俺はミリスに杖を強化してもらい、その魔法が使えることを隠すよう命令していた。
伯爵家の令嬢が俺より優れていると思われたくなかったし、実際に俺の方が優れているはずだ。
成績も目立たないよう抑えろと命令したが、抑えていないだろう。
杖の強化で徹夜させたことにより授業を聞けていないのだから、俺の方が成績は上に違いない。
「それもそうか。お前から聞くミリスの実力は大したことがなかったし、マルク殿下から婚約を破棄された後に拾ってやればよい」
「わかりました。1ヶ月も経たずにそうなるでしょう」
これからレドナと婚約して、マルク王子に婚約を破棄されたミリスを従える。
それが無理だということを、この時の俺は知らなかった。
「クソッッ……まさかマルクが、あんなことを言い出すとは思わなかった!!」
授業が終わり、俺は屋敷に戻り部屋で憤っている。
まさかミリスとの婚約が破棄されるとは、俺は想定していなかったからだ。
「今まで通りミリスを蔑み、評判を落として誰とも関わらなくさせただけなのに……まさかマルクは、ミリスの実力を知っているのか?」
元々ミリスとの婚約を破棄すると決めていたが、それには理由があった。
俺は3ヶ月前から、一学年上の公爵令嬢レドナに婚約したいと提案を受けている。
その時に今の婚約者ミリスは婚約破棄した後、愛人にして構わないと許可を貰っていた。
「俺が嫌いなところを教室で言い続ければ、悪評の広まったミリスは誰とも婚約できない……そこから愛人にするつもりだったのに、こんなことになるとはな……」
現状は最悪だが、まだマルク王子がミリスを捨てる可能性もある。
そもそも王家が伯爵家のミリス如きを婚約者に認めるのかも疑問で、思案しながら今後について呟く。
「これからミリスは、本来の実力を出すだろう。それでも大したことはない」
本来の実力を出したとしても、魔法使いとして優秀なレドナ以下だ。
杖の強化に関しても、優秀な職人に強化してもらった方が性能はいい。
命令したのはただの嫌がらせで、ミリスの苦しむ姿が見たかったからだ。
「マルクはミリスの実力に期待しているようだが、これから後悔するだろう」
この時の俺は、ミリスが全力を出しても結果は出せないと確信する。
捨てられて誰とも婚約できなくなった時に、謝罪させて愛人にすればいいだろう。
今後について考えることで、俺は冷静になろうとしていた。
■◇■◇■◇■◇■
ミリスとの婚約を破棄した翌日になり、学園は2日間の休日だ。
恐らく今頃マルク王子は婚約の手続きを進めながら、俺とミリスが婚約破棄したことを広めているだろう。
家族に婚約を破棄したことを伝える必要があり、食事を終えた俺が父に報告する。
最初は驚いていたが、これから公爵令嬢のレドナと婚約できると話せば納得してくれた。
「そうか……ミリスは優秀な魔法使いと聞き婚約者に選んだが、ルミリカ伯爵に騙されたようだ」
「はい。マルク殿下がミリスと婚約したいようですが、すぐに後悔するでしょう」
「なんだと!?」
言わなくてもいずれ知られるだろうから昨日の出来事を報告すると、なぜか父が叫び出す。
頭を抱えている父の姿を眺めて、俺は今後の推測を話すことにした。
「ミリスはマルク殿下の婚約者に相応しくありません。婚約破棄された後に、俺の愛人となるでしょう」
「それならよいが……もしミリスが活躍することになれば、お前の評価が下がる。本当に大丈夫だろうな?」
「……父上は心配しすぎです。ミリス如きが活躍するわけありません」
そう言いながらも、俺はミリスが魔法で強化した杖のことを思い返す。
魔法道具である杖に干渉する魔法を使える者は珍しく、本来なら職人に依頼する必要がある。
職人は数が少ないから予約しても強化までに日数がかかり、優秀な職人なら1年以上待つ必要があるらしい。
俺はミリスに杖を強化してもらい、その魔法が使えることを隠すよう命令していた。
伯爵家の令嬢が俺より優れていると思われたくなかったし、実際に俺の方が優れているはずだ。
成績も目立たないよう抑えろと命令したが、抑えていないだろう。
杖の強化で徹夜させたことにより授業を聞けていないのだから、俺の方が成績は上に違いない。
「それもそうか。お前から聞くミリスの実力は大したことがなかったし、マルク殿下から婚約を破棄された後に拾ってやればよい」
「わかりました。1ヶ月も経たずにそうなるでしょう」
これからレドナと婚約して、マルク王子に婚約を破棄されたミリスを従える。
それが無理だということを、この時の俺は知らなかった。
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