私が張っている結界など存在しないと言われたから、消えることにしました

天宮有

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第4話

 偶然助けた冒険者の少年ラーサーから、私は結界について話を聞こうとしていた。

 街に戻りラーサーが冒険者ギルドで依頼を報告して――テーブル席に座り、私とラーサーは対面している。

 冒険者ギルド内にはパーティが依頼について話したりする場があり、食事もできるようだ。
 
 正面に座るラーサーは、私に向かって頭を下げていた。

「改めて、助けてくださりありがとうございます……お名前を聞いてもよろしいでしょうか?」

 ラーサーの名前は聞いたけど、私はまだ名乗っていなかった。
 結界の話が気になりすぎていたせいだと考えながら、私は自己紹介をする。

「私はエルノア……えっと、ただのエルノアです」

 思わず家名を名乗りそうになったけど、止まることができた。
 もう勘当された身だから、私は家名のない平民のエルノアだ。

 名前を聞くと、ラーサーは目を輝かせながら私を眺めている。
 どうやら私の名前を知っただけで、ラーサーはとても嬉しかったようだ。

「エルノア様……私に聞きたいことがあれば、何でも仰ってください」

「えっと、あの、様付けはいりませんよ」

「いえ。命の恩人ですし、その……なんだか、貴族の方のように見受けられます」

「えっ!? い、今は貴族ではないですね……まあ、呼び方は好きにしてください」

 服装は平民のように見えそうなのを選んで持って来たはずだけど、客観的に見れていなかったのかもしれない。
 とにかく本題に入ろうと、私はラーサーに尋ねる。

「ラーサーさん。ここ最近の出来事について、教えてもらえないでしょうか」

「私のことはラーサーと呼んでください。知っていることは全てお教えいたします」

 それなら呼び捨てでよさそうと考えつつ、ここ最近の出来事を私はラーサーから聞く。
 
 どうやら3日ぐらい前からモンスターの行動が変化して、冒険者ギルドには依頼が多く出ているようだ。

 私が結界を破棄したのは一週間前だから……4日程度は、結界の力が残り平和だったのかもしれない。

「ここ3日間は様々な話を聞きますけど……モンスターは徐々に強くなっています」

「そうなんですか?」

「はい……駆け出しの冒険者は気を引き締めるか依頼を受けるなと言われていました」

 ラーサーは生活の為に、依頼を受けるしかなかったのかもしれない。
 今日の出来事を思い返したのか、俯きながらラーサーが呟く。

「まさか街を出てすぐモンスターの群れが現れるほどとは、思いませんでした」

「昨日まではなかったのですね」

「はい。やはりモンスターは徐々に強くなっているようです」

 それなら……結界の力が残っていて、それが徐々に弱まっていそう。
 結界の力が完全に失われた時どうなってしまうのか、私はこの国の末路が気になっていた。

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