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第3話

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 ダーロス王子に婚約破棄を言い渡されて、家族にも暴言を吐かれてしまう。
 愛することをやめた私は家を捨てて、他国に行くことを決意していた。

「それでも……他国に行く前に、全てを話したい人がいます」

 今の私は、変身魔法で大人びた姿をしている。
 本来の年齢は14歳で、侮られてしまうことを恐れたからだ。

 日が暮れてきているから、私はすぐに行動するべきだと考えている。
 1度行った場所に一瞬で移動する魔法が使えるから、目的地の冒険者ギルドへ向かうことにしていた。

■◇■◇■◇■◇■

 私は冒険者ギルドのある街の外に、移動魔法を使い一瞬で移動する。
 移動した際に物質と干渉しないようになっているみたいで、街に到着して安堵していた。

「リザは使えない魔法ですけど……この魔法が使えると知られたら、大変な目に合っていたはずです」

 利用されるのは間違いなくて、魔法学園に入学した後でも伝えるか悩んでいた魔法だ。
 もう家族ではなくなったのだから、心配事が消えたことに私は安堵する。

「私より優秀みたいですし、リザは他の魔法が凄いのでしょう」

 凄いと聞いていたけど、私はリザの魔法を見たことがない。
 リザの方が凄いと今まで思っていたけど、実際は違うようだ。

 それを知るのは後のことで――今の私は、冒険者ギルドに到着していた。
 大きな建物の扉を開けると、併設している飲食店が騒がしい。

「時間的に当然ですか」

 私はパーティ会場で食事をとっていたから、今日はなにも食べなくてよさそうだ。

 ここは依頼を受けて報酬をもらう冒険者が集まるギルドで、私は家族に内緒で冒険者をしている。
 魔法を試す場所を探した結果、冒険者として依頼を受けるのが一番いいと判断したからだ。
 そんなことを考えていると、女性の冒険者が声をかけてくる。

「リーゼさん。この時間にいるのは珍しいですね」

「えっ!? えっと……偶然です」

 いきなり声をかけられたけど、この時間に私は冒険者ギルドにいることがなくて珍しいからだ。
 今までは昼間の時間に冒険者ギルドに来て、すぐに終わる依頼ばかり受けている。
 魔法を試したいだけで、軽く依頼を受けていただけなのに……冒険者の中でも、私は有名になっていた。

「偶然ですか……食事がまだでしたら私に支払わせてください。リーゼさんには命を助けてくれた恩があります!」

「偶然負傷している貴方達を助けただけです。気にしないでください」

「気にしますよ! 運悪く遭遇した強力な魔物を平然と倒して、私達に回復魔法まで使ってくれたのですから!!」

 危険な状況を助けたから大げさに思っているだけだと、この時の私は考えている。
 家の本で覚えた魔法を使って倒せる程度の敵で、回復魔法もすぐに覚えることができていた。

「今日は大丈夫です。ギルドマスターに話したいことがあって来ました」

「そうですか……何かありましたら仰ってください。力になります」

「ありがとうございます」

 私は他国に行く予定だから、頼めないかもしれない。
 今日は精神的に辛かったから、力になると言ってくれるだけで嬉しかった。

 他国に行く前に――私はこの街で、会っておきたい人が2人いた。

 1人はこの街の冒険者ギルドで一番偉い人、ギルドマスターだ
 そしてもう1人、私は全てを話しておきたい人がいる。

「レインが依頼を終えて、ここに戻っているといいのですが……」

 今まで親身になってくれた冒険者の少年レインには、会っておきたい。
 私がこの街にはじめて来た時にレインは声をかけてくれて、冒険者登録を手伝ってくれた。
 
 冒険者ギルドにいる時は、一緒に依頼をうけたりもした仲だ。
 私が日帰りで明るい時間にしかいられないことを知っても、レインは気にせず付き合ってくれた。

 周囲を見渡してもレインの姿がなかったから、先にギルドマスターに会おうとしている。
 受付に行こうとした時に――冒険者ギルドの扉が開き、依頼を終えたレインが私の元にやって来ていた。
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