3 / 68
第3話
しおりを挟む
ダーロス王子に婚約破棄を言い渡されて、家族にも暴言を吐かれてしまう。
愛することをやめた私は家を捨てて、他国に行くことを決意していた。
「それでも……他国に行く前に、全てを話したい人がいます」
今の私は、変身魔法で大人びた姿をしている。
本来の年齢は14歳で、侮られてしまうことを恐れたからだ。
日が暮れてきているから、私はすぐに行動するべきだと考えている。
1度行った場所に一瞬で移動する魔法が使えるから、目的地の冒険者ギルドへ向かうことにしていた。
■◇■◇■◇■◇■
私は冒険者ギルドのある街の外に、移動魔法を使い一瞬で移動する。
移動した際に物質と干渉しないようになっているみたいで、街に到着して安堵していた。
「リザは使えない魔法ですけど……この魔法が使えると知られたら、大変な目に合っていたはずです」
利用されるのは間違いなくて、魔法学園に入学した後でも伝えるか悩んでいた魔法だ。
もう家族ではなくなったのだから、心配事が消えたことに私は安堵する。
「私より優秀みたいですし、リザは他の魔法が凄いのでしょう」
凄いと聞いていたけど、私はリザの魔法を見たことがない。
リザの方が凄いと今まで思っていたけど、実際は違うようだ。
それを知るのは後のことで――今の私は、冒険者ギルドに到着していた。
大きな建物の扉を開けると、併設している飲食店が騒がしい。
「時間的に当然ですか」
私はパーティ会場で食事をとっていたから、今日はなにも食べなくてよさそうだ。
ここは依頼を受けて報酬をもらう冒険者が集まるギルドで、私は家族に内緒で冒険者をしている。
魔法を試す場所を探した結果、冒険者として依頼を受けるのが一番いいと判断したからだ。
そんなことを考えていると、女性の冒険者が声をかけてくる。
「リーゼさん。この時間にいるのは珍しいですね」
「えっ!? えっと……偶然です」
いきなり声をかけられたけど、この時間に私は冒険者ギルドにいることがなくて珍しいからだ。
今までは昼間の時間に冒険者ギルドに来て、すぐに終わる依頼ばかり受けている。
魔法を試したいだけで、軽く依頼を受けていただけなのに……冒険者の中でも、私は有名になっていた。
「偶然ですか……食事がまだでしたら私に支払わせてください。リーゼさんには命を助けてくれた恩があります!」
「偶然負傷している貴方達を助けただけです。気にしないでください」
「気にしますよ! 運悪く遭遇した強力な魔物を平然と倒して、私達に回復魔法まで使ってくれたのですから!!」
危険な状況を助けたから大げさに思っているだけだと、この時の私は考えている。
家の本で覚えた魔法を使って倒せる程度の敵で、回復魔法もすぐに覚えることができていた。
「今日は大丈夫です。ギルドマスターに話したいことがあって来ました」
「そうですか……何かありましたら仰ってください。力になります」
「ありがとうございます」
私は他国に行く予定だから、頼めないかもしれない。
今日は精神的に辛かったから、力になると言ってくれるだけで嬉しかった。
他国に行く前に――私はこの街で、会っておきたい人が2人いた。
1人はこの街の冒険者ギルドで一番偉い人、ギルドマスターだ
そしてもう1人、私は全てを話しておきたい人がいる。
「レインが依頼を終えて、ここに戻っているといいのですが……」
今まで親身になってくれた冒険者の少年レインには、会っておきたい。
私がこの街にはじめて来た時にレインは声をかけてくれて、冒険者登録を手伝ってくれた。
冒険者ギルドにいる時は、一緒に依頼をうけたりもした仲だ。
私が日帰りで明るい時間にしかいられないことを知っても、レインは気にせず付き合ってくれた。
周囲を見渡してもレインの姿がなかったから、先にギルドマスターに会おうとしている。
受付に行こうとした時に――冒険者ギルドの扉が開き、依頼を終えたレインが私の元にやって来ていた。
愛することをやめた私は家を捨てて、他国に行くことを決意していた。
「それでも……他国に行く前に、全てを話したい人がいます」
今の私は、変身魔法で大人びた姿をしている。
本来の年齢は14歳で、侮られてしまうことを恐れたからだ。
日が暮れてきているから、私はすぐに行動するべきだと考えている。
1度行った場所に一瞬で移動する魔法が使えるから、目的地の冒険者ギルドへ向かうことにしていた。
■◇■◇■◇■◇■
私は冒険者ギルドのある街の外に、移動魔法を使い一瞬で移動する。
移動した際に物質と干渉しないようになっているみたいで、街に到着して安堵していた。
「リザは使えない魔法ですけど……この魔法が使えると知られたら、大変な目に合っていたはずです」
利用されるのは間違いなくて、魔法学園に入学した後でも伝えるか悩んでいた魔法だ。
もう家族ではなくなったのだから、心配事が消えたことに私は安堵する。
「私より優秀みたいですし、リザは他の魔法が凄いのでしょう」
凄いと聞いていたけど、私はリザの魔法を見たことがない。
リザの方が凄いと今まで思っていたけど、実際は違うようだ。
それを知るのは後のことで――今の私は、冒険者ギルドに到着していた。
大きな建物の扉を開けると、併設している飲食店が騒がしい。
「時間的に当然ですか」
私はパーティ会場で食事をとっていたから、今日はなにも食べなくてよさそうだ。
ここは依頼を受けて報酬をもらう冒険者が集まるギルドで、私は家族に内緒で冒険者をしている。
魔法を試す場所を探した結果、冒険者として依頼を受けるのが一番いいと判断したからだ。
そんなことを考えていると、女性の冒険者が声をかけてくる。
「リーゼさん。この時間にいるのは珍しいですね」
「えっ!? えっと……偶然です」
いきなり声をかけられたけど、この時間に私は冒険者ギルドにいることがなくて珍しいからだ。
今までは昼間の時間に冒険者ギルドに来て、すぐに終わる依頼ばかり受けている。
魔法を試したいだけで、軽く依頼を受けていただけなのに……冒険者の中でも、私は有名になっていた。
「偶然ですか……食事がまだでしたら私に支払わせてください。リーゼさんには命を助けてくれた恩があります!」
「偶然負傷している貴方達を助けただけです。気にしないでください」
「気にしますよ! 運悪く遭遇した強力な魔物を平然と倒して、私達に回復魔法まで使ってくれたのですから!!」
危険な状況を助けたから大げさに思っているだけだと、この時の私は考えている。
家の本で覚えた魔法を使って倒せる程度の敵で、回復魔法もすぐに覚えることができていた。
「今日は大丈夫です。ギルドマスターに話したいことがあって来ました」
「そうですか……何かありましたら仰ってください。力になります」
「ありがとうございます」
私は他国に行く予定だから、頼めないかもしれない。
今日は精神的に辛かったから、力になると言ってくれるだけで嬉しかった。
他国に行く前に――私はこの街で、会っておきたい人が2人いた。
1人はこの街の冒険者ギルドで一番偉い人、ギルドマスターだ
そしてもう1人、私は全てを話しておきたい人がいる。
「レインが依頼を終えて、ここに戻っているといいのですが……」
今まで親身になってくれた冒険者の少年レインには、会っておきたい。
私がこの街にはじめて来た時にレインは声をかけてくれて、冒険者登録を手伝ってくれた。
冒険者ギルドにいる時は、一緒に依頼をうけたりもした仲だ。
私が日帰りで明るい時間にしかいられないことを知っても、レインは気にせず付き合ってくれた。
周囲を見渡してもレインの姿がなかったから、先にギルドマスターに会おうとしている。
受付に行こうとした時に――冒険者ギルドの扉が開き、依頼を終えたレインが私の元にやって来ていた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
3,719
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる