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第1話
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「お前の評判は最悪だ! 俺はお前との婚約を破棄し、ダリアと婚約する!」
パーティ会場で貴族達が集まり、中央でクースラ侯爵家のバルターが、伯爵令嬢の私シエルに対して宣言する。
魔法学園の新学期が始まる前日に行われるパーティで、集まっているのは生徒が主だ。
私達が通っている魔法学園は貴族が多くて、全員が証人となる。
侯爵令嬢のダリアと婚約することを貴族達に報告するのが一番の目的だと考えていると、バルターの話が続く。
「禍々しい模様の仮面で顔が半分隠れ、外すことができない……お前が傍にいるだけで不愉快だ!」
バルターが叫び、私は仮面を着けることになった時を思い出す。
数年前――婚約者になったばかりの頃、バルターが私に顔が半分隠れる仮面を渡した。
魔法が上達する魔法道具で「婚約者になるのだから、俺の役に立て」と、無理矢理バルターは私に仮面を着けてきた。
仮面の力で魔法の腕は上達するけど、その代償なのか仮面は外れなくなってしまう。
それでも魔法が優秀だから、魔法学園に入学して活躍すればいいと、バルターは言っている。
そして、魔法学園に入学した時……私は仮面のせいで、周囲から恐れられていた。
バルターは私の悪評を聞き「ただでさえ恐怖されているお前の魔法が凄ければ、化物扱いされるに違いない」と、私に魔法の実力を隠すように言い出す。
立場が下の私はバルターの命令を聞くしかなくて、学園では「仮面が怖く、魔法の実力は並程度」と評価を受けていた。
周囲の生徒達には蔑まれて、それがバルターは気に入らなかったのか……侯爵令嬢のダリアと婚約して、私との婚約を破棄するつもりのようだ。
「バルター様、この仮面は貴方が私に着けるよう命令しました」
不愉快だと言い放ったバルターに対して、私は仮面をつけた経緯を話す。
「違う、お前が勝手に着けたのだ……外れない仮面を着けて何の力も得ていない奴など、婚約破棄するに決まっている!」
バルターは事実を認めず、更に私の魔法が上達していることを知っているのに、何の力も得ていないと言い出した。
今、この場で周囲を驚かす魔法を使おうかと考えたけど……その場合、バルターは私のことを化物の扱いしてくるに違いない。
全てバルターのせいなのに……そう考えると、バルターに対する憎しみの感情が強まっていく。
婚約者になってすぐ、私に魔法道具の外すことができない仮面を着けたから、婚約者らしいことは何一つしていない。
周囲の評判を見て自分の保身を優先し、私がどうなっても構わない思考で……私に、婚約破棄を言い渡した。
バルターは許せないけど、この場で魔法を使い倒せば家族に迷惑がかかってしまう。
この場は婚約破棄を受け入れて……報復は、これから考えよう。
「……わかりました。私は、バルター様の婚約破棄を受け入れます」
「当然だ。もう二度と俺に関わるな!」
この場にいる人全てが証人だから、バルターが何を言っても婚約破棄を取り返すことは不可能だ。
クースラ侯爵家は書類を出していたらしく、すぐ私の婚約は破棄されて、侯爵令嬢ダリアがバルターの新たな婚約者になっていた。
その後、私は仮面を外すことができて――評判が大きく変わり、バルターは後悔することとなっていた。
パーティ会場で貴族達が集まり、中央でクースラ侯爵家のバルターが、伯爵令嬢の私シエルに対して宣言する。
魔法学園の新学期が始まる前日に行われるパーティで、集まっているのは生徒が主だ。
私達が通っている魔法学園は貴族が多くて、全員が証人となる。
侯爵令嬢のダリアと婚約することを貴族達に報告するのが一番の目的だと考えていると、バルターの話が続く。
「禍々しい模様の仮面で顔が半分隠れ、外すことができない……お前が傍にいるだけで不愉快だ!」
バルターが叫び、私は仮面を着けることになった時を思い出す。
数年前――婚約者になったばかりの頃、バルターが私に顔が半分隠れる仮面を渡した。
魔法が上達する魔法道具で「婚約者になるのだから、俺の役に立て」と、無理矢理バルターは私に仮面を着けてきた。
仮面の力で魔法の腕は上達するけど、その代償なのか仮面は外れなくなってしまう。
それでも魔法が優秀だから、魔法学園に入学して活躍すればいいと、バルターは言っている。
そして、魔法学園に入学した時……私は仮面のせいで、周囲から恐れられていた。
バルターは私の悪評を聞き「ただでさえ恐怖されているお前の魔法が凄ければ、化物扱いされるに違いない」と、私に魔法の実力を隠すように言い出す。
立場が下の私はバルターの命令を聞くしかなくて、学園では「仮面が怖く、魔法の実力は並程度」と評価を受けていた。
周囲の生徒達には蔑まれて、それがバルターは気に入らなかったのか……侯爵令嬢のダリアと婚約して、私との婚約を破棄するつもりのようだ。
「バルター様、この仮面は貴方が私に着けるよう命令しました」
不愉快だと言い放ったバルターに対して、私は仮面をつけた経緯を話す。
「違う、お前が勝手に着けたのだ……外れない仮面を着けて何の力も得ていない奴など、婚約破棄するに決まっている!」
バルターは事実を認めず、更に私の魔法が上達していることを知っているのに、何の力も得ていないと言い出した。
今、この場で周囲を驚かす魔法を使おうかと考えたけど……その場合、バルターは私のことを化物の扱いしてくるに違いない。
全てバルターのせいなのに……そう考えると、バルターに対する憎しみの感情が強まっていく。
婚約者になってすぐ、私に魔法道具の外すことができない仮面を着けたから、婚約者らしいことは何一つしていない。
周囲の評判を見て自分の保身を優先し、私がどうなっても構わない思考で……私に、婚約破棄を言い渡した。
バルターは許せないけど、この場で魔法を使い倒せば家族に迷惑がかかってしまう。
この場は婚約破棄を受け入れて……報復は、これから考えよう。
「……わかりました。私は、バルター様の婚約破棄を受け入れます」
「当然だ。もう二度と俺に関わるな!」
この場にいる人全てが証人だから、バルターが何を言っても婚約破棄を取り返すことは不可能だ。
クースラ侯爵家は書類を出していたらしく、すぐ私の婚約は破棄されて、侯爵令嬢ダリアがバルターの新たな婚約者になっていた。
その後、私は仮面を外すことができて――評判が大きく変わり、バルターは後悔することとなっていた。
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