74 / 109
第74話
しおりを挟む
ジェイク視点
俺とローナは、平原を歩きながらサイール国から離れようとしていた。
街や村に行って俺とローナが生きていることを知られれば、捕まって最期を迎えるだろう。
そうなると俺達のことを知っている可能性がある場所には行けず、野宿をして生きることだけを考えていた。
「他国に行けば、回復魔法が使えるローナがいれば生活は保障されるだろう……今は我慢の時だ」
「そうですね。私が持つ聖女の力なら、生きていくことはできるはずです」
そう言って――俺は魔法で動物を狩って、なんとか生きていく。
大洲襲撃の後だからか魔物の力は弱く、何も問題がないと考えていた。
そして――俺達の前に、巨大な黒い犬の魔物が現れる。
それは魔物と呼ぶしかない巨躯をした、凶暴そうな化物だった。
「なっっ――これは、どうしようもないぞ……」
頭部だけでも俺の上半身ぐらいはあり、双眸で威圧された俺は動けない。
恐怖で怯んでいる俺が振り向くと、逃げようとしているローナの姿があった。
どうやらローナは俺を囮にして、魔物から逃げたいようだ。
「ローナッッ!?」
「ジェイク様は私を守ると言いました! それなら私の為に犠牲となってください!!」
「なっっ――!?」
俺はローナの発言に唖然とするが、それと同時に魔物が動く。
ローナの正面まですぐに移動して――俺とローナは、逃げることができなくなっていた。
俺とローナは、平原を歩きながらサイール国から離れようとしていた。
街や村に行って俺とローナが生きていることを知られれば、捕まって最期を迎えるだろう。
そうなると俺達のことを知っている可能性がある場所には行けず、野宿をして生きることだけを考えていた。
「他国に行けば、回復魔法が使えるローナがいれば生活は保障されるだろう……今は我慢の時だ」
「そうですね。私が持つ聖女の力なら、生きていくことはできるはずです」
そう言って――俺は魔法で動物を狩って、なんとか生きていく。
大洲襲撃の後だからか魔物の力は弱く、何も問題がないと考えていた。
そして――俺達の前に、巨大な黒い犬の魔物が現れる。
それは魔物と呼ぶしかない巨躯をした、凶暴そうな化物だった。
「なっっ――これは、どうしようもないぞ……」
頭部だけでも俺の上半身ぐらいはあり、双眸で威圧された俺は動けない。
恐怖で怯んでいる俺が振り向くと、逃げようとしているローナの姿があった。
どうやらローナは俺を囮にして、魔物から逃げたいようだ。
「ローナッッ!?」
「ジェイク様は私を守ると言いました! それなら私の為に犠牲となってください!!」
「なっっ――!?」
俺はローナの発言に唖然とするが、それと同時に魔物が動く。
ローナの正面まですぐに移動して――俺とローナは、逃げることができなくなっていた。
17
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
義母と義妹に虐げられていましたが、陰からじっくり復讐させていただきます〜おしとやか令嬢の裏の顔〜
有賀冬馬
ファンタジー
貴族の令嬢リディアは、父の再婚によりやってきた継母と義妹から、日々いじめと侮蔑を受けていた。
「あら、またそのみすぼらしいドレス? まるで使用人ね」
本当の母は早くに亡くなり、父も病死。残されたのは、冷たい屋敷と陰湿な支配。
けれど、リディアは泣き寝入りする女じゃなかった――。
おしとやかで無力な令嬢を演じながら、彼女はじわじわと仕返しを始める。
貴族社会の裏の裏。人の噂。人間関係。
「ふふ、気づいた時には遅いのよ」
優しげな仮面の下に、冷たい微笑みを宿すリディアの復讐劇が今、始まる。
ざまぁ×恋愛×ファンタジーの三拍子で贈る、スカッと復讐劇!
勧善懲悪が好きな方、読後感すっきりしたい方にオススメです!
婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
【完結】王妃はもうここにいられません
なか
恋愛
「受け入れろ、ラツィア。側妃となって僕をこれからも支えてくれればいいだろう?」
長年王妃として支え続け、貴方の立場を守ってきた。
だけど国王であり、私の伴侶であるクドスは、私ではない女性を王妃とする。
私––ラツィアは、貴方を心から愛していた。
だからずっと、支えてきたのだ。
貴方に被せられた汚名も、寝る間も惜しんで捧げてきた苦労も全て無視をして……
もう振り向いてくれない貴方のため、人生を捧げていたのに。
「君は王妃に相応しくはない」と一蹴して、貴方は私を捨てる。
胸を穿つ悲しみ、耐え切れぬ悔しさ。
周囲の貴族は私を嘲笑している中で……私は思い出す。
自らの前世と、感覚を。
「うそでしょ…………」
取り戻した感覚が、全力でクドスを拒否する。
ある強烈な苦痛が……前世の感覚によって感じるのだ。
「むしろ、廃妃にしてください!」
長年の愛さえ潰えて、耐え切れず、そう言ってしまう程に…………
◇◇◇
強く、前世の知識を活かして成り上がっていく女性の物語です。
ぜひ読んでくださると嬉しいです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる