1 / 11
第1話
しおりを挟む
「結婚したばかりのマイラに仕事を押しつけて、夫のラドスは他国へ旅行か。信じられないな」
「そうですね……恐らく、ファゾラお姉様も一緒です」
「ラドスは妻のマイラではなく、マイラの姉ファゾラを旅行に同行させているのも信じられん」
城の応接室で、私マイラは対面しているアルベール第三王子の発言に頷く。
結婚してから1カ月が経ち、私の夫ラドスは結婚してすぐ他国へ旅行に行ったからだ。
結婚する前――伯爵家の次女だった私は、2つ年上のラドス・リアースと婚約が決まる。
婚約者と会う機会は年に数回しかなかったけど、私が16歳になると結婚の手続きが終わっていたようだ。
結婚式もしていないのに、私は家族に命令されて侯爵家の屋敷に暮らすこととなる。
そして夫らしいことは何もせず、ラドスは仕事を押しつけて旅行に行ってしまった。
それは1カ月前の出来事で、私は言われた通り休まずリアース侯爵家の代表として働いている。
執事長の指示通りに行動していたけど、私は成果を出せていた。
今日は城で取引があり、応接室に来てくれたアルベール第三王子と謁見している。
アルベール王子は長い赤髪の美少年で、年齢は私と同じ16歳だ。
今日は私が取引する魔法道具に興味を持ち、会って話したいと聞いている。
談笑しながら、今は私の現状について気になっているようだ。
「マイラのドラリザ伯爵家は魔法道具店があると聞いているが、ここまで性能がいい魔法道具を作れるのに有名ではない理由がわからないな」
「それは……今まで私のアイデアを、店主であるお父様に止められていたからです」
この1ヶ月は誰も止められていないから、自由に魔法道具を改良して提供できている。
今までそれができなかったのは、店主の父が私の行動を非難したからだ。
私の父は自身の作る魔法道具が正しいと考え、私の意見を聞こうとしない。
今まで言われた通りの作業しかできなくて、退屈な日々を送っていた。
そのことを話すと、アルベールは呆れた様子で言う。
「ドラリザ伯爵は、娘の方が優秀と認めたくなかったのだろうか……今は家族に止められないから、自由にできているということか」
「はい。成果を出せていますし、戻ってきたラドス様も納得するでしょう」
「そうだな……何か問題が発生した場合は、城に来て欲しい。私が力になると約束しよう」
「わかりました。ありがとうございます」
アルベール王子に私の魔法道具が評価されて、力になることを約束してくれる。
リアース侯爵家のために貢献できたと、この時の私は確信していた。
結婚してから1カ月の間に私が作ったり加工した魔法道具は好評だから、侯爵家の妻として相応しいはずだ。
それは間違いないのに――旅行から戻って気た夫ラドスから、私は離婚を言い渡されることになる。
「そうですね……恐らく、ファゾラお姉様も一緒です」
「ラドスは妻のマイラではなく、マイラの姉ファゾラを旅行に同行させているのも信じられん」
城の応接室で、私マイラは対面しているアルベール第三王子の発言に頷く。
結婚してから1カ月が経ち、私の夫ラドスは結婚してすぐ他国へ旅行に行ったからだ。
結婚する前――伯爵家の次女だった私は、2つ年上のラドス・リアースと婚約が決まる。
婚約者と会う機会は年に数回しかなかったけど、私が16歳になると結婚の手続きが終わっていたようだ。
結婚式もしていないのに、私は家族に命令されて侯爵家の屋敷に暮らすこととなる。
そして夫らしいことは何もせず、ラドスは仕事を押しつけて旅行に行ってしまった。
それは1カ月前の出来事で、私は言われた通り休まずリアース侯爵家の代表として働いている。
執事長の指示通りに行動していたけど、私は成果を出せていた。
今日は城で取引があり、応接室に来てくれたアルベール第三王子と謁見している。
アルベール王子は長い赤髪の美少年で、年齢は私と同じ16歳だ。
今日は私が取引する魔法道具に興味を持ち、会って話したいと聞いている。
談笑しながら、今は私の現状について気になっているようだ。
「マイラのドラリザ伯爵家は魔法道具店があると聞いているが、ここまで性能がいい魔法道具を作れるのに有名ではない理由がわからないな」
「それは……今まで私のアイデアを、店主であるお父様に止められていたからです」
この1ヶ月は誰も止められていないから、自由に魔法道具を改良して提供できている。
今までそれができなかったのは、店主の父が私の行動を非難したからだ。
私の父は自身の作る魔法道具が正しいと考え、私の意見を聞こうとしない。
今まで言われた通りの作業しかできなくて、退屈な日々を送っていた。
そのことを話すと、アルベールは呆れた様子で言う。
「ドラリザ伯爵は、娘の方が優秀と認めたくなかったのだろうか……今は家族に止められないから、自由にできているということか」
「はい。成果を出せていますし、戻ってきたラドス様も納得するでしょう」
「そうだな……何か問題が発生した場合は、城に来て欲しい。私が力になると約束しよう」
「わかりました。ありがとうございます」
アルベール王子に私の魔法道具が評価されて、力になることを約束してくれる。
リアース侯爵家のために貢献できたと、この時の私は確信していた。
結婚してから1カ月の間に私が作ったり加工した魔法道具は好評だから、侯爵家の妻として相応しいはずだ。
それは間違いないのに――旅行から戻って気た夫ラドスから、私は離婚を言い渡されることになる。
203
あなたにおすすめの小説
ごきげんよう、元婚約者様
藍田ひびき
恋愛
「最後にお会いしたのは、貴方から婚約破棄を言い渡された日ですね――」
ローゼンハイン侯爵令嬢クリスティーネからアレクシス王太子へと送られてきた手紙は、そんな書き出しから始まっていた。アレクシスはフュルスト男爵令嬢グレーテに入れ込み、クリスティーネとの婚約を一方的に破棄した過去があったのだ。
手紙は語る。クリスティーネの思いと、アレクシスが辿るであろう末路を。
※ 3/29 王太子視点、男爵令嬢視点を追加しました。
※ 3/25 誤字修正しました。
※ なろうにも投稿しています。
貴方が要らないと言ったのです
藍田ひびき
恋愛
「アイリス、お前はもう必要ない」
ケヴィン・サージェント伯爵から一方的に離縁を告げられたアイリス。
彼女の実家の資金援助を目当てにした結婚だったため、財政が立て直された今では結婚を続ける意味がなくなったとケヴィンは語る。
屈辱に怒りを覚えながらも、アイリスは離縁に同意した。
しかしアイリスが去った後、伯爵家は次々と困難に見舞われていく――。
※ 他サイトにも投稿しています。
貴方の子ではありません
藍田ひびき
恋愛
国で唯一の聖樹の護り手「盟樹者」であるアーサー・レッツェル子爵は、妻のいる身でありながら平民の女性セリーヌへ手を出していた。しかし妻が身籠るとあっさりセリーヌを捨ててしまう。
数年後、次代の盟樹者を見定める儀式が行われることになり、アーサーは意気揚々と息子エリアスを連れて儀式に挑む。しかしエリアスに全く反応しない聖樹にアーサーは焦る。そこへセリーヌが現れて…?
サクッと読める短編です。
※ 他サイトにも投稿しています。
王子を助けたのは妹だと勘違いされた令嬢は人魚姫の嘆きを知る
リオール
恋愛
子供の頃に溺れてる子を助けたのは姉のフィリア。
けれど助けたのは妹メリッサだと勘違いされ、妹はその助けた相手の婚約者となるのだった。
助けた相手──第一王子へ生まれかけた恋心に蓋をして、フィリアは二人の幸せを願う。
真実を隠し続けた人魚姫はこんなにも苦しかったの?
知って欲しい、知って欲しくない。
相反する思いを胸に、フィリアはその思いを秘め続ける。
※最初の方は明るいですが、すぐにシリアスとなります。ギャグ無いです。
※全24話+プロローグ,エピローグ(執筆済み。順次UP予定)
※当初の予定と少し違う展開に、ここの紹介文を慌てて修正しました。色々ツッコミどころ満載だと思いますが、海のように広い心でスルーしてください(汗
今、婚約破棄宣言した2人に聞きたいことがある!
白雪なこ
恋愛
学園の卒業と成人を祝うパーティ会場に響く、婚約破棄宣言。
婚約破棄された貴族令嬢は現れないが、代わりにパーティの主催者が、婚約破棄を宣言した貴族令息とその恋人という当事者の2名と話をし出した。
君に愛は囁けない
しーしび
恋愛
姉が亡くなり、かつて姉の婚約者だったジルベールと婚約したセシル。
彼は社交界で引く手数多の美しい青年で、令嬢たちはこぞって彼に夢中。
愛らしいと噂の公爵令嬢だって彼への好意を隠そうとはしない。
けれど、彼はセシルに愛を囁く事はない。
セシルも彼に愛を囁けない。
だから、セシルは決めた。
*****
※ゆるゆる設定
※誤字脱字を何故か見つけられない病なので、ご容赦ください。努力はします。
※日本語の勘違いもよくあります。方言もよく分かっていない田舎っぺです。
[完結]だってあなたが望んだことでしょう?
青空一夏
恋愛
マールバラ王国には王家の血をひくオルグレーン公爵家の二人の姉妹がいる。幼いころから、妹マデリーンは姉アンジェリーナのドレスにわざとジュースをこぼして汚したり、意地悪をされたと嘘をついて両親に小言を言わせて楽しんでいた。
アンジェリーナの生真面目な性格をけなし、勤勉で努力家な姉を本の虫とからかう。妹は金髪碧眼の愛らしい容姿。天使のような無邪気な微笑みで親を味方につけるのが得意だった。姉は栗色の髪と緑の瞳で一見すると妹よりは派手ではないが清楚で繊細な美しさをもち、知性あふれる美貌だ。
やがて、マールバラ王国の王太子妃に二人が候補にあがり、天使のような愛らしい自分がふさわしいと、妹は自分がなると主張。しかし、膨大な王太子妃教育に我慢ができず、姉に代わってと頼むのだがーー
あなたの破滅のはじまり
nanahi
恋愛
家同士の契約で結婚した私。夫は男爵令嬢を愛人にし、私の事は放ったらかし。でも我慢も今日まで。あなたとの婚姻契約は今日で終わるのですから。
え?離縁をやめる?今更何を慌てているのです?契約条件に目を通していなかったんですか?
あなたを待っているのは破滅ですよ。
※Ep.2 追加しました。
マルグリッタの魔女の血を色濃く受け継ぐ娘ヴィヴィアン。そんなヴィヴィアンの元に隣の大陸の王ジェハスより婚姻の話が舞い込む。
子爵の五男アレクに淡い恋心を抱くも、行き違いから失恋したと思い込んでいるヴィヴィアン。アレクのことが忘れられずにいたヴィヴィアンは婚姻話を断るつもりだったが、王命により強制的に婚姻させられてしまう。
だが、ジェハス王はゴールダー家の巨万の富が目的だった。王妃として迎えられたヴィヴィアンだったが、お飾りの王妃として扱われて冷遇される。しかも、ジェハスには側妃がすでに5人もいた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる