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第2話
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私マイラ・ドラリザは伯爵家の次女で、私の家は魔法道具を経営する伯爵家と知られている。
魔法道具を作るためには魔石が必要になり、魔石の鉱山が領地にあるリーアス侯爵家とは親しい関係だった。
私の姉ファゾラは父の言う通りに行動して、そんな姉とは違い私は思いついたことを試したくなっている。
魔法道具の改良点を話すと非難されて「余計なことをするな」と父が言い、今まで従ってきた。
実物を見せれば納得すると考えていたけど、気づいた姉が止めて父が激怒する。
言われた通りの作業しかできなくなり、その後ラドス・リアースとの婚約が決まった。
ラドスとは婚約していたけど、会う機会がほとんどないまま結婚している。
結婚式もなくて私はいきなり侯爵領へ行くこととなり、夫となったラドスは他国へ旅行に行くと言い出した。
「これから他国へ行ってくる。その間に俺の妻として相応しい行動をとっておけ」
「……わかりました」
親から「ラドス様の命令を聞け」と言われていた私は、ラドスの発言に従うしかない。
執事長の指示を聞きながら、魔法道具に関係する仕事をやることになった。
仕事を押しつけたラドスは屋敷を出て、私は休む間もなく働いている。
魔法道具に関係する仕事ばかりで、膨大な仕事量だけど期待されていると思うことにした。
休日もなく働き続けていたけど、私は今まで親に避難されていた改良を試したし新しい魔法道具を作っていく。
それが評価されることとなり、昨日は城に招待されてアルベール第三王子と会話ができたほどだ。
この時の私は、侯爵家に相応しい行動をとっていた。
それと同時に最悪の事態を想像してしまい――想像通り、私は屋敷から追い出されることとなる。
■◇■◇■◇■◇■
「もうマイラに用はない。離婚することにしよう」
「マイラが働いてくれたおかげで、私とラドス様は楽しく旅行できたわ。もうマイラはドラリザ伯爵家にも必要ないから消えなさい!」
アルベールと話した翌日――屋敷に戻って来た夫ラドスが、私の部屋に来てそんなことを言い出す。
そこには私の姉ファゾラもいて、想定通りの出来事が起きていた。
ファゾラがラドスと旅行に行ったと知った時点で、こうなることは考えている。
私は聞きたいことがあり、夫ラドスを眺めて言う。
「あの、ラドス様はファゾラお姉様と旅行に行っていたのですか?」
ラドスひとりで屋敷を出たのに、その後ファゾラと合流したらしい。
これは以前から把握していたけど、今までラドスはファゾラとの旅行だと隠している。
何も知らないふりをして私が聞いてみると、ラドスは頷いて返答した。
「そうだ。ファゾラが様々な国を観光したいと言い、マイラを利用することにした」
「結婚したばかりの妻が張り切って働いたけど、仕事が嫌になり逃亡したことにするわ」
「愚かな妻が逃げ出し、結婚を後悔した俺を励ましてくれたファゾラと再婚するということになっている」
勝手に私が仕事が嫌になって逃げ出したことにされているけど、2人は本気で言っているらしい。
夫ラドスは私と離婚してファゾラと再婚したいようだから、考えが変わることはなさそうだ。
目論見はわかったけど、私は2人に聞きたいことがある。
「手続きとか、どうするつもりですか?」
「受け入れるのが早いな。侯爵家の妻に相応しくないのがよくわかる」
「お父様とお母様も納得しているから、マイラが気にすることは何もないわよ」
こうなると、何を言っても無意味でしょう。
それでも追い出される前に、言っておきたいことがあった。
「私はこの1ヶ月で成果を出せています。それでも追い出すつもりなのでしょうか?」
「それならマイラより優秀な私の方が妻に相応しいわね!」
姉のファゾラは「妹より優秀」とよく言い、未だにそんなことを思っているらしい。
実際は違うけど、この場で私が言っても信じることはなさそうだ。
呆れていると、ラドスがファゾラの発言に賛同する。
「ファゾラの言う通りだ。マイラは行方不明にして、理由を聞きドラリザ伯爵は勘当することとなっている」
「これからマイラは平民として生きることになるわね。愚かな妹が消えて清々するわ!」
ラドスとファゾラは、私の成果を聞く気もないらしい。
そんな人達と縁を切れるのだから、私は喜んで追い出されるとしよう。
魔法道具を作るためには魔石が必要になり、魔石の鉱山が領地にあるリーアス侯爵家とは親しい関係だった。
私の姉ファゾラは父の言う通りに行動して、そんな姉とは違い私は思いついたことを試したくなっている。
魔法道具の改良点を話すと非難されて「余計なことをするな」と父が言い、今まで従ってきた。
実物を見せれば納得すると考えていたけど、気づいた姉が止めて父が激怒する。
言われた通りの作業しかできなくなり、その後ラドス・リアースとの婚約が決まった。
ラドスとは婚約していたけど、会う機会がほとんどないまま結婚している。
結婚式もなくて私はいきなり侯爵領へ行くこととなり、夫となったラドスは他国へ旅行に行くと言い出した。
「これから他国へ行ってくる。その間に俺の妻として相応しい行動をとっておけ」
「……わかりました」
親から「ラドス様の命令を聞け」と言われていた私は、ラドスの発言に従うしかない。
執事長の指示を聞きながら、魔法道具に関係する仕事をやることになった。
仕事を押しつけたラドスは屋敷を出て、私は休む間もなく働いている。
魔法道具に関係する仕事ばかりで、膨大な仕事量だけど期待されていると思うことにした。
休日もなく働き続けていたけど、私は今まで親に避難されていた改良を試したし新しい魔法道具を作っていく。
それが評価されることとなり、昨日は城に招待されてアルベール第三王子と会話ができたほどだ。
この時の私は、侯爵家に相応しい行動をとっていた。
それと同時に最悪の事態を想像してしまい――想像通り、私は屋敷から追い出されることとなる。
■◇■◇■◇■◇■
「もうマイラに用はない。離婚することにしよう」
「マイラが働いてくれたおかげで、私とラドス様は楽しく旅行できたわ。もうマイラはドラリザ伯爵家にも必要ないから消えなさい!」
アルベールと話した翌日――屋敷に戻って来た夫ラドスが、私の部屋に来てそんなことを言い出す。
そこには私の姉ファゾラもいて、想定通りの出来事が起きていた。
ファゾラがラドスと旅行に行ったと知った時点で、こうなることは考えている。
私は聞きたいことがあり、夫ラドスを眺めて言う。
「あの、ラドス様はファゾラお姉様と旅行に行っていたのですか?」
ラドスひとりで屋敷を出たのに、その後ファゾラと合流したらしい。
これは以前から把握していたけど、今までラドスはファゾラとの旅行だと隠している。
何も知らないふりをして私が聞いてみると、ラドスは頷いて返答した。
「そうだ。ファゾラが様々な国を観光したいと言い、マイラを利用することにした」
「結婚したばかりの妻が張り切って働いたけど、仕事が嫌になり逃亡したことにするわ」
「愚かな妻が逃げ出し、結婚を後悔した俺を励ましてくれたファゾラと再婚するということになっている」
勝手に私が仕事が嫌になって逃げ出したことにされているけど、2人は本気で言っているらしい。
夫ラドスは私と離婚してファゾラと再婚したいようだから、考えが変わることはなさそうだ。
目論見はわかったけど、私は2人に聞きたいことがある。
「手続きとか、どうするつもりですか?」
「受け入れるのが早いな。侯爵家の妻に相応しくないのがよくわかる」
「お父様とお母様も納得しているから、マイラが気にすることは何もないわよ」
こうなると、何を言っても無意味でしょう。
それでも追い出される前に、言っておきたいことがあった。
「私はこの1ヶ月で成果を出せています。それでも追い出すつもりなのでしょうか?」
「それならマイラより優秀な私の方が妻に相応しいわね!」
姉のファゾラは「妹より優秀」とよく言い、未だにそんなことを思っているらしい。
実際は違うけど、この場で私が言っても信じることはなさそうだ。
呆れていると、ラドスがファゾラの発言に賛同する。
「ファゾラの言う通りだ。マイラは行方不明にして、理由を聞きドラリザ伯爵は勘当することとなっている」
「これからマイラは平民として生きることになるわね。愚かな妹が消えて清々するわ!」
ラドスとファゾラは、私の成果を聞く気もないらしい。
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