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第5話
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私が離婚と勘当を言い渡されてから、数日が経っていた。
最悪の事態を想定していたから、追い出された時の準備はしている。
馬車に乗って王都に到着し、私は城に入ろうとしていた。
1ヶ月の間に何度も城には来たことがあり、兵士の人も私のことを覚えている。
私が来たことを報告した後は、すぐに応接室へ案内されていた。
リアース侯爵家の妻として働いていた時に、王家から私が取引した魔法道具が評価されている。
特に魔法道具の知識に長けたアルベール第三王子は、城に来るたびに会いに来て話をする仲となっていた。
応接室で待っていると、数分後にはアルベール王子が現れる。
椅子に座り対面してから、私を眺めてアルベールが言う。
「魔法道具の取引をするのは今日ではないと思うのだが、何かあったのだろうか?」
「はい。数日前ラドス様が屋敷に戻ってきました」
「長い旅行だったな……そのラドスに、何か言われたようだ」
私が城に来た理由を推測して、アルベールが呟く。
命令されてここに来たと思われていそうだから、私は全て話すことにした。
「はい。ラドス様から離婚を言い渡されました」
「信じられないな。ドラリザ伯爵家が抗議しなかったのか?」
「家族には勘当を言い渡されています」
そう言ってから、私は数日前に起きた出来事をアルベールに話す。
元姉ファゾラが私より優秀と言い、元夫と元父はファゾラの発言を信じている。
私は仕事を投げ出して行方不明となったことにするつもりで、実際は屋敷から追い出されていた。
全て説明すると、アルベールは唖然としながら話す。
「まさかラドスが、そこまで愚かだと思わなかった……城に来たのは、私が力になると言ったからだな」
「はい。アルベール様には、何が起きたのか報告したくてここまで来ました」
平民となった私の力になってくれるかはわからないけど、アルベール王子とは1ヶ月で親しくなっている。
アルベールには現状を全て話したくなり、来てよかったと確信している。
これからどうするかは、報告の後で考えようと決めていた。
報告できたことに安堵すると、アルベールが言う。
「報告してくれてありがとう……マイラがよければ、城で働かないか?」
「えっ?」
「城にある魔法道具の調整や改良を頼みたい。ラドスやドラリザ伯爵家とは無関係なのだから、何も気にしなくていいだろう」
アルベールが提案して、私は今後について思案する。
これから元夫ラドスや元家族が私を捜索する可能性が高くて、城で働けば連れ戻すことはできないはずだ。
私が城で働くことも、ラドス達は知ることができない。
アルベールの提案を聞き、私は尋ねておきたいことがある。
「私としては嬉しいのですが、アルベール様がこの場で決めてよろしいのでしょうか?」
「問題ない。君の魔法道具が優れていることは父上も知っているし、理由を話せば納得してくれるだろう」
「確かに、そうかもしれません」
王家にも評価されていたから、私は城で働くことができそうだ。
数日前に屋敷を追い出されたけど、アルベールはそんなことをしない確信があった。
思案していると、アルベールが私を眺めて言う。
「城で働かなくても、マイラなら魔法道具店で成果を出せそうだが……どうだろうか?」
「私としては、アルベール様の元で働きたいと思っています」
「そ、そうか。それならよかった」
本心を話すと、アルベールは笑顔を浮かべる。
城で働くことが決まり、私の新生活がはじまろうとしていた。
最悪の事態を想定していたから、追い出された時の準備はしている。
馬車に乗って王都に到着し、私は城に入ろうとしていた。
1ヶ月の間に何度も城には来たことがあり、兵士の人も私のことを覚えている。
私が来たことを報告した後は、すぐに応接室へ案内されていた。
リアース侯爵家の妻として働いていた時に、王家から私が取引した魔法道具が評価されている。
特に魔法道具の知識に長けたアルベール第三王子は、城に来るたびに会いに来て話をする仲となっていた。
応接室で待っていると、数分後にはアルベール王子が現れる。
椅子に座り対面してから、私を眺めてアルベールが言う。
「魔法道具の取引をするのは今日ではないと思うのだが、何かあったのだろうか?」
「はい。数日前ラドス様が屋敷に戻ってきました」
「長い旅行だったな……そのラドスに、何か言われたようだ」
私が城に来た理由を推測して、アルベールが呟く。
命令されてここに来たと思われていそうだから、私は全て話すことにした。
「はい。ラドス様から離婚を言い渡されました」
「信じられないな。ドラリザ伯爵家が抗議しなかったのか?」
「家族には勘当を言い渡されています」
そう言ってから、私は数日前に起きた出来事をアルベールに話す。
元姉ファゾラが私より優秀と言い、元夫と元父はファゾラの発言を信じている。
私は仕事を投げ出して行方不明となったことにするつもりで、実際は屋敷から追い出されていた。
全て説明すると、アルベールは唖然としながら話す。
「まさかラドスが、そこまで愚かだと思わなかった……城に来たのは、私が力になると言ったからだな」
「はい。アルベール様には、何が起きたのか報告したくてここまで来ました」
平民となった私の力になってくれるかはわからないけど、アルベール王子とは1ヶ月で親しくなっている。
アルベールには現状を全て話したくなり、来てよかったと確信している。
これからどうするかは、報告の後で考えようと決めていた。
報告できたことに安堵すると、アルベールが言う。
「報告してくれてありがとう……マイラがよければ、城で働かないか?」
「えっ?」
「城にある魔法道具の調整や改良を頼みたい。ラドスやドラリザ伯爵家とは無関係なのだから、何も気にしなくていいだろう」
アルベールが提案して、私は今後について思案する。
これから元夫ラドスや元家族が私を捜索する可能性が高くて、城で働けば連れ戻すことはできないはずだ。
私が城で働くことも、ラドス達は知ることができない。
アルベールの提案を聞き、私は尋ねておきたいことがある。
「私としては嬉しいのですが、アルベール様がこの場で決めてよろしいのでしょうか?」
「問題ない。君の魔法道具が優れていることは父上も知っているし、理由を話せば納得してくれるだろう」
「確かに、そうかもしれません」
王家にも評価されていたから、私は城で働くことができそうだ。
数日前に屋敷を追い出されたけど、アルベールはそんなことをしない確信があった。
思案していると、アルベールが私を眺めて言う。
「城で働かなくても、マイラなら魔法道具店で成果を出せそうだが……どうだろうか?」
「私としては、アルベール様の元で働きたいと思っています」
「そ、そうか。それならよかった」
本心を話すと、アルベールは笑顔を浮かべる。
城で働くことが決まり、私の新生活がはじまろうとしていた。
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